(離島振興基本方針)
第三条主務大臣は、離島振興対策実施地域の振興を図るため、離島振興基本方針を定めるものとする。
2離島振興基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。
二本土と離島及び離島と離島並びに離島内の交通通信を確保するための航路、航空路、港湾(橋梁を含む。次条第二項第四号において同じ。)、空港、道路(橋を含む。同号において同じ。)等の交通施設及び通信施設の整備、人の往来及び物資の流通(廃棄物の運搬を含む。同号及び第十二条において同じ。)に要する費用の低廉化その他の必要な措置に関する基本的な事項
三農林水産業、商工業、情報通信産業等の産業の振興及び資源開発を促進するための漁港、林道、農地、電力施設等の整備その他の必要な措置に関する基本的な事項
四雇用機会の拡充、職業能力の開発その他の就業の促進に関する基本的な事項
五生活環境の整備(廃棄物の減量その他その適正な処理を含む。次条第二項第七号及び第十四条の三において同じ。)に関する基本的な事項
六医療の確保等(妊婦が健康診査を受診し、及び出産に必要な医療を受ける機会を確保するための支援を含む。次条第二項第八号及び第十条において同じ。)に関する基本的な事項
八高齢者の福祉その他の福祉の増進に関する基本的な事項
九教育及び文化の振興(子どもの修学の機会を確保するための支援を含む。次条第二項第十一号において同じ。)に関する基本的な事項
十一国内及び国外の地域との交流の促進に関する基本的な事項
十三再生可能エネルギーの利用その他のエネルギー対策に関する基本的な事項
十四水害、風害、地震災害(地震に伴い発生する津波等により生ずる被害を含む。次条第二項第十六号において同じ。)その他の災害を防除するために必要な国土保全施設等の整備その他の防災対策に関する基本的な事項
十五離島の振興に寄与する人材の確保及び育成に関する基本的な事項
十六前各号に掲げるもののほか、離島の振興に関する基本的な事項
3主務大臣は、離島振興基本方針を定めようとするときは、関係行政機関の長に協議するとともに、国土審議会の意見を聴かなければならない。
4主務大臣は、離島振興基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
5前二項の規定は、離島振興基本方針の変更について準用する。
(離島振興計画)
第四条第二条第一項の規定により離島振興対策実施地域の指定があつた場合においては、関係都道府県は、離島振興基本方針に基づき、当該地域について離島振興計画を定めるよう努めるものとする。
2離島振興計画は、おおむね次に掲げる事項について定めるものとする。
四本土と離島及び離島と離島並びに離島内の交通通信を確保するための航路、航空路、港湾、空港、道路等の交通施設及び通信施設の整備、人の往来及び物資の流通に要する費用の低廉化その他の必要な措置に関する事項
五農林水産業、商工業、情報通信産業等の産業の振興及び資源開発を促進するための漁港、林道、農地、電力施設等の整備その他の必要な措置に関する事項
六雇用機会の拡充、職業能力の開発その他の就業の促進に関する事項
十五再生可能エネルギーの利用その他のエネルギー対策に関する事項
十六水害、風害、地震災害その他の災害を防除するために必要な国土保全施設等の整備その他の防災対策に関する事項
十七離島の振興に寄与する人材の確保及び育成に関する事項
十九前各号に掲げるもののほか、離島振興対策実施地域の振興に関し必要な事項
3離島振興計画には、前項第五号及び第十二号に掲げる事項その他必要とされる事項に関し、離島振興対策実施地域の特性に応じた産業の振興の促進に関する事項(次項及び第十四条第四項において「産業振興促進事項」という。)を記載することができる。
4産業振興促進事項は、次に掲げる事項を定めるものとする。
三前号の業種の振興を促進するために行う事業の内容に関する事項
5都道府県は、離島振興対策実施地域について離島振興計画を定めようとするときは、あらかじめ、その全部又は一部の区域が当該地域である市町村(次項の規定による要請があつた場合における当該要請をした市町村を除く。以下この項において同じ。)に対し、当該市町村に係る離島振興計画の案を作成し、当該都道府県に提出するよう求めなければならない。この場合において、一の離島振興対策実施地域が二以上の市町村の区域にわたるときは、当該市町村は、共同して、離島振興計画の案を作成し、及び提出することができる。
6その全部又は一部の区域が一の離島振興対策実施地域である市町村は、当該地域に係る離島振興計画が定められていない場合には、単独で又は共同して、都道府県に対し、当該地域について離島振興計画を定めることを要請することができる。この場合においては、当該市町村に係る離島振興計画の案を添えなければならない。
7前項の規定による要請があつたときは、都道府県は、速やかに、当該要請に係る離島振興対策実施地域について離島振興計画を定めなければならない。
8市町村は、第五項又は第六項の案を作成しようとするときは、あらかじめ、その離島振興対策実施地域の住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。
9第五項又は第六項の案の提出を受けた都道府県は、離島振興計画を定めるに当たつては、当該案の内容をできる限り反映させるよう努めるものとする。
10離島振興計画に第二項第四号から第十七号までに掲げる事項を記載するに当たつては、その全部又は一部の区域が離島振興対策実施地域である市町村相互間の広域的な連携の確保及びこれらの市町村に対する離島の振興のために必要な情報の提供その他の援助についても、必要に応じて記載するよう、努めるものとする。
11都道府県は、離島振興計画を定めたときは、直ちに、これを主務大臣に提出するとともに、その内容を関係市町村に通知しなければならない。
12主務大臣は、前項の規定により離島振興計画の提出があつた場合においては、直ちに、その内容を関係行政機関の長に通知しなければならない。この場合において、関係行政機関の長は、当該離島振興計画についてその意見を主務大臣に申し出ることができる。
13主務大臣は、第十一項の規定により提出された離島振興計画が離島振興基本方針に適合していないと認めるときは、当該都道府県に対し、これを変更すべきことを求めることができる。
14主務大臣は、第十一項の規定により提出された離島振興計画について前項の規定による措置を執る必要がないと認めるときは、その旨を当該都道府県に通知しなければならない。
15第五項、第六項及び第八項から前項までの規定は、離島振興計画の変更について準用する。
(国の負担又は補助の割合の特例等)
第七条離島振興計画に基づく事業のうち別表に掲げるものに要する費用について国が負担し又は補助する割合は、当該事業に関する法令の規定にかかわらず、同表に掲げる割合とする。
2国は、離島振興計画に基づく事業のうち、別表に掲げるものに要する経費に充てるため政令で定める交付金を交付する場合においては、政令で定めるところにより、当該経費について前項の規定を適用したとするならば国が負担し、又は補助することとなる割合を参酌して、当該交付金の額を算定するものとする。
3第一項の場合において、地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)第十条に規定する普通交付税の交付を受けない地方公共団体については、別表で定める国庫の負担割合及び補助割合を減ずることができる。ただし、同表に掲げる法律に規定する国庫の負担割合又は補助割合を下ることはできない。
4離島振興対策実施地域における災害復旧事業については、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和二十六年法律第九十七号)第三条の規定により地方公共団体に対して国がその費用の一部を負担する場合における当該災害復旧事業費に対する国の負担率は、同法第四条の規定によつて算定した率が五分の四に満たない場合においては、同条の規定にかかわらず、五分の四とし、公立学校施設災害復旧費国庫負担法(昭和二十八年法律第二百四十七号)第三条の規定により国がその経費の一部を負担する場合における当該公立学校の施設の災害復旧に要する経費に対する国の負担率は、同条の規定にかかわらず、五分の四とする。
5国は、離島振興計画に基づき簡易水道の用に供する水道施設の新設又は増設をする地方公共団体に対し、予算の範囲内において、政令の定めるところにより、その新設又は増設に要する費用の二分の一以内を補助することができる。
6政府は、別表に掲げる費用以外の費用についても、これに対し国が補助する割合及び対象を定める政令がある場合においては、第一項の規定に準じ当該政令の特例を設けるものとする。
7国は、義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律(昭和三十三年法律第八十一号)第十二条第一項の規定により地方公共団体に対して交付金を交付する場合において、当該地方公共団体が同条第二項の規定により作成した施設整備計画に記載された改築等事業(同法第十一条第一項に規定する「改築等事業」をいう。)として、離島振興計画に基づく次に掲げる事業がある場合においては、当該事業に要する費用の十分の五・五を下回らない額の交付金が充当されるように算定するものとする。
一公立の小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校の前期課程又は公立の特別支援学校(視覚障害者又は聴覚障害者である児童又は生徒に対する教育を主として行うものに限る。別表(五)において同じ。)の小学部若しくは中学部に勤務する教員又は職員のための住宅の建築(買収その他これに準ずる方法による取得を含む。)をすること。
二体育、音楽等の学校教育及び社会教育の用に供するための施設を公立の小学校、中学校若しくは義務教育学校又は中等教育学校の前期課程に設けること。
(離島活性化交付金等事業計画の作成)
第七条の二都道府県は、離島振興計画に基づく事業又は事務(以下「事業等」という。)のうち、離島振興対策実施地域の活性化に資する事業等(その全部又は一部の区域が離島振興対策実施地域である市町村その他の者(以下「離島関係市町村等」という。)が実施する離島振興対策実施地域の活性化に資する事業等を含む。)を実施するための計画(以下「離島活性化交付金等事業計画」という。)を作成することができる。
2離島活性化交付金等事業計画には、次に掲げる事項を記載するものとする。
一離島振興対策実施地域の活性化に資する事業等で政令で定めるものに関する事項
3離島活性化交付金等事業計画には、前項に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を記載するよう努めるものとする。
4都道府県は、離島活性化交付金等事業計画を作成しようとするときは、あらかじめ、離島関係市町村等の意見を聴くよう努めるものとする。
5都道府県は、離島活性化交付金等事業計画に離島関係市町村等が実施する事業等に係る事項を記載しようとするときは、当該事項について、あらかじめ、当該離島関係市町村等の同意を得なければならない。
6前二項の規定は、離島活性化交付金等事業計画の変更について準用する。
(医療の確保等)
第十条都道府県は、離島振興対策実施地域における医療を確保するため、離島振興計画に基づいて、無医地区に関し次に掲げる事業を実施しなければならない。
五医療機関の協力体制(救急医療用の機器を装備したヘリコプター等により患者を輸送し、かつ、患者の輸送中に医療を行う体制を含む。以下同じ。)の整備
2都道府県は、前項に規定する事業を実施する場合において特に必要があると認めるときは、病院又は診療所の開設者又は管理者に対し、次に掲げる事業につき、協力を要請することができる。
3国及び都道府県は、離島振興対策実施地域内の無医地区における診療に従事する医師若しくは歯科医師又はこれを補助する看護師(以下「医師等」という。)の確保その他当該無医地区における医療の確保(当該診療に従事する医師又は歯科医師を派遣する病院に対する助成を含む。)に努めなければならない。
4都道府県は、第一項及び第二項に規定する事業の実施に要する費用を負担する。
5国は、前項の費用のうち第一項第一号から第三号までに掲げる事業及び第二項に規定する事業に係るものについて、政令の定めるところにより、その二分の一を補助するものとする。
6国及び都道府県は、離島振興対策実施地域における医療を確保するため、市町村が離島振興計画に基づいて第一項各号に掲げる事業を実施しようとするときは、当該事業が円滑に実施されるよう適切な配慮をするものとする。
7国及び地方公共団体は、離島振興対策実施地域に居住する妊婦が健康診査を受診し、及び出産に必要な医療を受ける機会を確保するため、妊婦が居住する離島に妊婦の健康診査又は出産に係る保健医療サービスを提供する病院、診療所等が設置されていないことにより当該離島の区域外の病院、診療所等に健康診査の受診又は出産のために必要な通院又は入院をしなければならない場合における当該通院又は入院に対する支援について適切な配慮をするものとする。
8都道府県は、医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第三十条の四第一項に規定する医療計画を作成するに当たつては、離島振興対策実施地域における医療の特殊事情に鑑み、当該地域において医師等の確保、病床の確保等により必要な医療が確保されるよう適切な配慮をするものとする。
9前各項に定めるもののほか、国及び地方公共団体は、離島振興対策実施地域において、必要な医師等の確保、定期的な巡回診療、離島に係る遠隔医療(離島の住民等又は医療機関等と当該離島の区域内又は区域外の医療機関等との間で高度情報通信ネットワーク及び情報通信機器を用いて行われる医療をいう。)の実施、医療機関の協力体制の整備等により医療の充実が図られるよう特別の配慮をするものとする。
(農林水産業その他の産業の振興)
第十四条国及び地方公共団体は、離島振興対策実施地域の特性に即した農林水産業の振興を図るため、生産基盤の強化、地域特産物の開発並びに流通及び消費の増進並びに観光業との連携の推進について適切な配慮をするものとする。
2国及び地方公共団体は、離島における水産業の重要性に鑑み、離島振興対策実施地域の漁業者がその周辺の海域の漁場において安定的に水産業を営むことができるよう、水産動植物の生育環境の保全及び改善について適切な配慮をするものとする。
3前二項に規定するもののほか、国及び地方公共団体は、情報通信技術の進展、これを活用した場所に制約されない働き方の普及等の社会の変化を踏まえつつ、離島振興対策実施地域の特性に即した産業の振興を図るため、生産性の向上、産業の振興に寄与する人材の育成及び確保、起業を志望する者に対する支援、先端的な技術の導入並びに他の産業との連携の推進について適切な配慮をするものとする。
4国及び地方公共団体は、離島振興計画に産業振興促進事項が記載されている場合には、当該産業振興促進事項に基づく事業の円滑な実施のために必要な情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう適切な配慮をするものとする。
(教育の充実)
第十五条国及び地方公共団体は、離島振興対策実施地域における教育の特殊事情に鑑み、子どもの修学の機会の確保に資するため、離島の区域(当該離島の区域が二以上の市町村の区域にわたる場合にあつては、当該離島のうち一の市町村の区域に属する区域。以下この項において同じ。)内に高等学校、中等教育学校の後期課程その他これらに準ずる教育施設(以下「高等学校等」という。)が設置されていないことにより当該離島の区域内から当該離島の区域外に所在する高等学校等へ通学する場合又は当該離島の区域外に居住して当該高等学校等へ通学する場合における当該通学又は居住に対する支援について適切な配慮をするものとする。
2国又は地方公共団体は、離島振興対策実施地域における教育の特殊事情に鑑み、公立学校の教職員(公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律(昭和三十三年法律第百十六号)第二条第三項に規定する教職員及び公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律(昭和三十六年法律第百八十八号)第二条第一項に規定する教職員をいう。以下この項及び次項において同じ。)の定数の算定又は離島振興対策実施地域に係る公立学校の教職員の配置について特別の配慮をするものとする。
3国及び地方公共団体は、離島振興対策実施地域における教育の充実に資するよう、離島振興対策実施地域に係る公立学校の教職員の処遇について適切な配慮をするものとする。
4前三項に定めるもののほか、国及び地方公共団体は、離島振興対策実施地域において、その教育の特殊事情に鑑み、学校教育及び社会教育(離島に係る遠隔教育(離島の学校その他の教育機関又は住民と当該離島の区域外の学校その他の教育機関との間で高度情報通信ネットワーク及び情報通信技術を用いて行われる教育をいう。)を含む。)の充実に努めるとともに、離島留学(離島の文化、自然等と触れ合うため、離島の区域外に居住していた児童若しくは生徒が、当該離島に設置された小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校若しくは特別支援学校の小学部、中学部若しくは高等部において行われる教育を受けること又は離島に滞在する児童若しくは生徒が当該離島において社会教育を受けることをいう。)その他の多様な交流の機会を通じた学習及び地域社会の特性に応じた生涯学習の振興に資するための施策の充実について適切な配慮をするものとする。
(主務大臣等)
第二十一条の三第二条及び前条における主務大臣は、国土交通大臣、総務大臣及び農林水産大臣とする。
2第三条第一項、第三項及び第四項(同条第五項において準用する場合を含む。)における主務大臣は、離島振興基本方針のうち、同条第二項第三号及び第十五号に掲げる事項に係る部分については国土交通大臣、総務大臣、農林水産大臣及び経済産業大臣、同項第四号及び第六号から第八号までに掲げる事項に係る部分については国土交通大臣、総務大臣、農林水産大臣及び厚生労働大臣、同項第五号及び第十二号に掲げる事項に係る部分については国土交通大臣、総務大臣、農林水産大臣及び環境大臣、同項第九号に掲げる事項に係る部分については国土交通大臣、総務大臣、農林水産大臣及び文部科学大臣、同項第十三号に掲げる事項に係る部分については国土交通大臣、総務大臣、農林水産大臣、経済産業大臣及び環境大臣とし、その他の部分については国土交通大臣、総務大臣及び農林水産大臣とする。
3第四条第十一項から第十四項まで(同条第十五項において準用する場合を含む。)における主務大臣は、国土交通大臣、総務大臣、農林水産大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、経済産業大臣及び環境大臣とする。
4第七条の二第三項第二号における主務省令は、前項に規定する主務大臣の共同で発する命令とする。
5第七条の三第三項における主務省令は、事業等所管大臣の発する命令とする。