(基本理念)
第三条再犯の防止等に関する施策は、犯罪をした者等の多くが安定した職業に就くこと及び住居を確保することができないこと等のために円滑な社会復帰をすることが困難な状況にあることを踏まえ、犯罪をした者等が、社会において孤立することなく、国民の理解と協力を得て再び社会を構成する一員となることを支援することにより、犯罪をした者等が円滑に社会に復帰することができるようにすることを旨として、講ぜられるものとする。
2再犯の防止等に関する施策は、犯罪をした者等が、その特性に応じ、矯正施設(刑務所、少年刑務所、拘置所、少年院及び少年鑑別所をいう。以下同じ。)に収容されている間のみならず、社会に復帰した後も途切れることなく、必要な指導及び支援を受けられるよう、矯正施設における適切な収容及び処遇のための施策と職業及び住居の確保に係る支援をはじめとする円滑な社会復帰のための施策との有機的な連携を図りつつ、関係行政機関の相互の密接な連携の下に、総合的に講ぜられるものとする。
3再犯の防止等に関する施策は、犯罪をした者等が、犯罪の責任等を自覚すること及び被害者等の心情を理解すること並びに自ら社会復帰のために努力することが、再犯の防止等に重要であるとの認識の下に、講ぜられるものとする。
4再犯の防止等に関する施策は、犯罪及び非行の実態、再犯の防止等に関する各般の施策の有効性等に関する調査研究の成果等を踏まえ、効果的に講ぜられるものとする。
(連携、情報の提供等)
第五条国及び地方公共団体は、再犯の防止等に関する施策が円滑に実施されるよう、相互に連携を図らなければならない。
2国及び地方公共団体は、再犯の防止等に関する施策の実施に当たっては、再犯の防止等に関する活動を行う民間の団体その他の関係者との緊密な連携協力の確保に努めなければならない。
3国及び地方公共団体は、再犯の防止等に関する施策の実施に当たっては、再犯の防止等に関する活動を行う民間の団体その他の関係者に対して必要な情報を適切に提供するものとする。
4再犯の防止等に関する活動を行う民間の団体その他の関係者は、前項の規定により提供を受けた犯罪をした者等の個人情報その他の犯罪をした者等の個人情報を適切に取り扱わなければならない。
(再犯防止推進計画)
第七条政府は、再犯の防止等に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、再犯の防止等に関する施策の推進に関する計画(以下「再犯防止推進計画」という。)を定めなければならない。
2再犯防止推進計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一再犯の防止等に関する施策の推進に関する基本的な事項
二再犯の防止等に向けた教育及び職業訓練の充実に関する事項
三犯罪をした者等の社会における職業及び住居の確保並びに保健医療サービス及び福祉サービスの利用に係る支援に関する事項
四矯正施設における収容及び処遇並びに保護観察に関する体制その他の関係機関における体制の整備に関する事項
五その他再犯の防止等に関する施策の推進に関する重要事項
3法務大臣は、再犯防止推進計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
4法務大臣は、再犯防止推進計画の案を作成しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長と協議しなければならない。
5法務大臣は、第三項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、再犯防止推進計画を公表しなければならない。
6政府は、少なくとも五年ごとに、再犯防止推進計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更しなければならない。
7第三項から第五項までの規定は、再犯防止推進計画の変更について準用する。