(定義)
第二条この法律において「建築物」とは、建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第一号に規定する建築物をいう。
2この法律において「公共建築物」とは、次に掲げる建築物をいう。
一国又は地方公共団体が整備する公共の用又は公用に供する建築物
二国又は地方公共団体以外の者が整備する学校、老人ホームその他の前号に掲げる建築物に準ずる建築物として政令で定めるもの
3この法律において「木材の利用」とは、建築基準法第二条第五号に規定する主要構造部その他の建築物の部分の建築材料、工作物の資材、製品の原材料及びエネルギー源として国内で生産された木材その他の木材を使用すること(これらの木材を使用した木製品を使用することを含む。)をいう。
4この法律において「建築用木材」とは、建築材料として使用される木材をいう。
5この法律において「木材製造の高度化」とは、木材の製造を業として行う者が、公共建築物に係る建築用木材の製造のために必要な施設の整備、高度な知識又は技術を有する人材の確保その他の措置を行うことにより、公共建築物に係る建築用木材の供給能力の向上を図ることをいう。
(基本理念)
第三条木材の利用の促進は、地球温暖化を防止することが人類共通の課題であり、そのための脱炭素社会の実現が我が国の緊要な課題となっていることに鑑み、森林における造林、保育及び伐採、木材の製造、建築物等における木材の利用並びに森林における伐採後の造林という循環が安定的かつ持続的に行われることにより、森林による二酸化炭素の吸収作用の保全及び強化が十分に図られることを旨として行われなければならない。
2木材の利用の促進は、製造過程における多量の二酸化炭素の排出等による環境への負荷の程度が高い資材又は化石資源(原油、石油ガス、可燃性天然ガス及び石炭をいう。以下同じ。)に代替して、森林から再生産することが可能である木材を利用することにより、二酸化炭素の排出の抑制その他の環境への負荷の低減が図られることを旨として行われなければならない。
3木材の利用の促進は、森林の有する国土の保全、水源の涵養その他の多面的機能が持続的に発揮されるとともに、林業及び木材産業の持続的かつ健全な発展を通じて山村その他の地域の経済の活性化に資することを旨として行われなければならない。
(国の責務)
第四条国は、前条の基本理念(以下単に「基本理念」という。)にのっとり、木材の利用の促進に関する施策を総合的に策定し、及び実施するとともに、地方公共団体が実施する木材の利用の促進に関する施策を推進するために必要な助言その他の措置を講ずるよう努めなければならない。
2国は、一般の利用に供されるものであることその他の第二条第二項第一号に掲げる建築物の性質に鑑み、木材に対する需要の増進に資するため、自ら率先してその整備する公共建築物における木材の利用に努めなければならない。
3国は、木材に対する需要の増進を図るため、木材の利用の促進に係る取組を支援するために必要な財政上及び金融上の措置を講ずるよう努めなければならない。
4国は、木材の利用の促進に当たっては、建築用木材等が適切かつ安定的に供給されることが重要であることに鑑み、木材製造の高度化の促進その他の建築用木材等の適切かつ安定的な供給の確保のために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
5国は、建築物における建築材料としての木材の利用を促進するため、木造の建築物(第十三条において「木造建築物」という。)に係る建築基準法等の規制の在り方について、木材の耐火性等に関する研究の成果、建築の専門家等の専門的な知見に基づく意見、諸外国における規制の状況等を踏まえて検討を加え、その結果に基づき、規制の撤廃又は緩和のために必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。
6国は、木材の利用の促進に関する研究、技術の開発及び普及、人材の育成その他の木材の利用の促進を図るために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
7国は、教育活動、広報活動等を通じて、木材の利用の促進に関する国民の理解を深めるとともに、その実施に関する国民の協力を求めるよう努めなければならない。