(定義)
第二条この法律で「製造委託」とは、事業者が業として行う販売若しくは業として請け負う製造(加工を含む。以下同じ。)の目的物たる物品若しくはその半製品、部品、附属品若しくは原材料若しくは専らこれらの製造に用いる金型、木型その他の物品の成形用の型若しくは工作物保持具その他の特殊な工具又は業として行う物品の修理に必要な部品若しくは原材料の製造を他の事業者に委託すること及び事業者がその使用し又は消費する物品の製造を業として行う場合にその物品若しくはその半製品、部品、附属品若しくは原材料又は専らこれらの製造に用いる当該型若しくは工具の製造を他の事業者に委託することをいう。
2この法律で「修理委託」とは、事業者が業として請け負う物品の修理の行為の全部又は一部を他の事業者に委託すること及び事業者がその使用する物品の修理を業として行う場合にその修理の行為の一部を他の事業者に委託することをいう。
3この法律で「情報成果物作成委託」とは、事業者が業として行う提供若しくは業として請け負う作成の目的たる情報成果物の作成の行為の全部又は一部を他の事業者に委託すること及び事業者がその使用する情報成果物の作成を業として行う場合にその情報成果物の作成の行為の全部又は一部を他の事業者に委託することをいう。
4この法律で「役務提供委託」とは、事業者が業として行う提供の目的たる役務の提供の行為の全部又は一部を他の事業者に委託すること(建設業(建設業法(昭和二十四年法律第百号)第二条第二項に規定する建設業をいう。以下この項において同じ。)を営む者が業として請け負う建設工事(同条第一項に規定する建設工事をいう。)の全部又は一部を他の建設業を営む者に請け負わせることを除く。)をいう。
5この法律で「特定運送委託」とは、事業者が業として行う販売、業として請け負う製造若しくは業として請け負う修理の目的物たる物品又は業として請け負う作成の目的たる情報成果物が記載され、記録され、若しくは化体された物品の当該販売、製造、修理又は作成における取引の相手方(当該相手方が指定する者を含む。)に対する運送の行為の全部又は一部を他の事業者に委託することをいう。
6この法律で「製造委託等」とは、製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託及び特定運送委託をいう。
7この法律で「情報成果物」とは、次に掲げるものをいう。
一プログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。)
二映画、放送番組その他影像又は音声その他の音響により構成されるもの
三文字、図形若しくは記号若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合により構成されるもの
四前三号に掲げるもののほか、これらに類するもので政令で定めるもの
8この法律で「委託事業者」とは、次の各号のいずれかに該当する者をいう。
一資本金の額又は出資の総額が三億円を超える法人たる事業者(政府契約の支払遅延防止等に関する法律(昭和二十四年法律第二百五十六号)第十四条に規定する者を除く。)であつて、個人又は資本金の額若しくは出資の総額が三億円以下の法人たる事業者に対し製造委託等(情報成果物作成委託及び役務提供委託にあつては、それぞれ政令で定める情報成果物及び役務に係るものに限る。次号及び第五号並びに次項第一号、第二号及び第五号において同じ。)をするもの
二資本金の額又は出資の総額が千万円を超え三億円以下の法人たる事業者(政府契約の支払遅延防止等に関する法律第十四条に規定する者を除く。)であつて、個人又は資本金の額若しくは出資の総額が千万円以下の法人たる事業者に対し製造委託等をするもの
三資本金の額又は出資の総額が五千万円を超える法人たる事業者(政府契約の支払遅延防止等に関する法律第十四条に規定する者を除く。)であつて、個人又は資本金の額若しくは出資の総額が五千万円以下の法人たる事業者に対し情報成果物作成委託又は役務提供委託(それぞれ第一号の政令で定める情報成果物又は役務に係るものを除く。次号及び第六号並びに次項第三号、第四号及び第六号において同じ。)をするもの
四資本金の額又は出資の総額が千万円を超え五千万円以下の法人たる事業者(政府契約の支払遅延防止等に関する法律第十四条に規定する者を除く。)であつて、個人又は資本金の額若しくは出資の総額が千万円以下の法人たる事業者に対し情報成果物作成委託又は役務提供委託をするもの
五常時使用する従業員の数が三百人を超える法人たる事業者(国及び政府契約の支払遅延防止等に関する法律第十四条に規定する者を除く。)であつて、常時使用する従業員の数が三百人以下の個人又は法人たる事業者に対し製造委託等をするもの(第一号又は第二号に該当する者がそれぞれ次項第一号又は第二号に該当する者に対し製造委託等をする場合を除く。)
六常時使用する従業員の数が百人を超える法人たる事業者(国及び政府契約の支払遅延防止等に関する法律第十四条に規定する者を除く。)であつて、常時使用する従業員の数が百人以下の個人又は法人たる事業者に対し情報成果物作成委託又は役務提供委託をするもの(第三号又は第四号に該当する者がそれぞれ次項第三号又は第四号に該当する者に対し情報成果物作成委託又は役務提供委託をする場合を除く。)
9この法律で「中小受託事業者」とは、次の各号のいずれかに該当する者をいう。
一個人又は資本金の額若しくは出資の総額が三億円以下の法人たる事業者であつて、前項第一号に規定する委託事業者から製造委託等を受けるもの
二個人又は資本金の額若しくは出資の総額が千万円以下の法人たる事業者であつて、前項第二号に規定する委託事業者から製造委託等を受けるもの
三個人又は資本金の額若しくは出資の総額が五千万円以下の法人たる事業者であつて、前項第三号に規定する委託事業者から情報成果物作成委託又は役務提供委託を受けるもの
四個人又は資本金の額若しくは出資の総額が千万円以下の法人たる事業者であつて、前項第四号に規定する委託事業者から情報成果物作成委託又は役務提供委託を受けるもの
五常時使用する従業員の数が三百人以下の個人又は法人たる事業者であつて、前項第五号に規定する委託事業者から製造委託等を受けるもの
六常時使用する従業員の数が百人以下の個人又は法人たる事業者であつて、前項第六号に規定する委託事業者から情報成果物作成委託又は役務提供委託を受けるもの
10資本金の額若しくは出資の総額が千万円を超える法人又は常時使用する従業員の数が百人を超える法人たる事業者から役員の任免、業務の執行又は存立について支配を受け、かつ、その事業者から製造委託等を受ける法人たる事業者が、その製造委託等に係る製造、修理、作成、提供又は運送の行為の全部又は相当部分について再委託をする場合(第八項第一号、第二号又は第五号に該当する者がそれぞれ前項第一号、第二号又は第五号に該当する者に対し製造委託等をする場合及び第八項第三号、第四号又は第六号に該当する者がそれぞれ前項第三号、第四号又は第六号に該当する者に対し情報成果物作成委託又は役務提供委託をする場合を除く。)において、再委託を受ける事業者が、役員の任免、業務の執行又は存立について支配をし、かつ、製造委託等をする当該事業者から直接製造委託等を受けるものとすれば同項各号のいずれかに該当することとなる事業者であるときは、この法律の適用については、再委託をする事業者は委託事業者と、再委託を受ける事業者は中小受託事業者とみなす。
11この法律で「製造委託等代金」とは、委託事業者が製造委託等をした場合に中小受託事業者の給付(役務提供委託又は特定運送委託をした場合にあつては、役務の提供。以下同じ。)に対し支払うべき代金をいう。
(報告及び検査)
第十二条公正取引委員会は、委託事業者(委託事業者が合併により消滅した場合にあつては合併後存続し、又は合併により設立された法人、委託事業者の分割により製造委託等に関する取引に係る事業の全部又は一部の承継があつた場合にあつては当該事業の全部又は一部を承継した法人、委託事業者の当該取引に係る事業の全部又は一部の譲渡があつた場合にあつては当該事業の全部又は一部を譲り受けた事業者。以下この条及び次条において同じ。)の中小受託事業者(中小受託事業者(法人に限る。)が合併により消滅した場合にあつては合併後存続し、又は合併により設立された法人、中小受託事業者(法人に限る。)の分割により当該取引に係る事業の全部又は一部の承継があつた場合にあつては当該事業の全部又は一部を承継した法人、中小受託事業者の当該取引に係る事業の全部又は一部の譲渡があつた場合にあつては当該事業の全部又は一部を譲り受けた事業者。以下この条及び次条において同じ。)に対する製造委託等に関する取引を公正にするため必要があると認めるときは、委託事業者若しくは中小受託事業者に対し、その委託事業者の中小受託事業者に対する製造委託等に関する取引に関する報告をさせ、又はその職員に委託事業者若しくは中小受託事業者の事務所若しくは事業所に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2中小企業庁長官は、中小受託事業者の利益を保護するため特に必要があると認めるときは、委託事業者若しくは中小受託事業者に対し、その委託事業者の中小受託事業者に対する製造委託等に関する取引に関する報告をさせ、又はその職員に委託事業者若しくは中小受託事業者の事務所若しくは事業所に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
3製造委託等に関する取引に係る事業を所管する大臣は、中小企業庁長官の第九条の規定による調査に協力するため特に必要があると認めるときは、所管事業を営む委託事業者若しくは中小受託事業者に対し、その委託事業者の中小受託事業者に対する製造委託等に関する取引に関する報告をさせ、又はその職員にこれらの者の事務所若しくは事業所に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
4前三項の規定により職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
5第一項から第三項までの規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。