(損害賠償命令事件の記録の閲覧等)
第四十四条当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、損害賠償命令事件の記録について、次に掲げる請求をすることができる。
一非電磁的損害賠償命令事件記録(損害賠償命令事件の記録中次号に規定する電磁的損害賠償命令事件記録を除いた部分をいう。以下この号及び次項において同じ。)の閲覧等(非電磁的損害賠償命令事件記録の閲覧若しくは謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付をいう。)の請求
二電磁的損害賠償命令事件記録(損害賠償命令事件の記録中この法律その他の法令の規定によりファイルに記録された事項に係る部分をいう。)の閲覧若しくは複写又はその内容の全部若しくは一部を証明した書面の交付若しくはその内容の全部若しくは一部を証明した電磁的記録の提供(第九項において「電磁的損害賠償命令事件記録の閲覧等」という。)の請求
三損害賠償命令事件に関する事項を証明した書面の交付又は当該事項を証明した電磁的記録の提供の請求
2前項の規定は、非電磁的損害賠償命令事件記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。この場合において、これらの物について当事者又は利害関係を疎明した第三者の請求があるときは、裁判所書記官は、その複製を許さなければならない。
3前二項の規定にかかわらず、刑事関係記録の閲覧、謄写若しくは複写、その正本、謄本若しくは抄本の交付若しくはその内容の全部若しくは一部を証明した書面の交付若しくはその内容の全部若しくは一部を証明した電磁的記録の提供又はその複製(次項及び第五項において「刑事関係記録の閲覧等」という。)の請求については、裁判所が許可したときに限り、することができる。
4裁判所は、当事者から刑事関係記録の閲覧等の許可の申立てがあったときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見(刑事被告事件に係る訴訟が終結した後においては、当該訴訟の記録を保管する検察官の意見)を聴き、不当な目的によるものと認める場合、関係者の名誉又は生活の平穏を著しく害するおそれがあると認める場合、捜査又は公判に支障を及ぼすおそれがあると認める場合その他相当でないと認める場合を除き、刑事関係記録の閲覧等を許可しなければならない。
5裁判所は、利害関係を疎明した第三者から刑事関係記録の閲覧等の許可の申立てがあったときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見(刑事被告事件に係る訴訟が終結した後においては、当該訴訟の記録を保管する検察官の意見)を聴き、正当な理由がある場合であって、関係者の名誉又は生活の平穏を害するおそれの有無、捜査又は公判に支障を及ぼすおそれの有無その他の事情を考慮して相当と認めるときは、刑事関係記録の閲覧等を許可することができる。
6損害賠償命令事件の記録の閲覧、謄写、複写及び複製の請求は、当該記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。
7第四項の申立てを却下する決定に対しては、即時抗告をすることができる。
8第五項の申立てを却下する決定に対しては、不服を申し立てることができない。
9第二十条第四項の規定は電磁的損害賠償命令事件記録の閲覧等について、同条第五項の規定は損害賠償命令事件に関する事項を証明した書面の交付について、同条第六項の規定は当該事項を証明した電磁的記録の提供について、それぞれ準用する。
(個人特定事項の秘匿)
第四十六条裁判所は、刑事被告事件の手続において刑事訴訟法第二百七十一条の二第四項の規定による措置をとった場合において、同条第一項の規定による求めに係る個人特定事項(同法第二百七十一条の五第一項の決定により通知することとされたものを除く。)が同法第二百七十一条の二第一項第一号又は第二号に掲げる者のものに該当すると認める場合であって、相当と認めるときは、損害賠償命令事件に関する手続において、前条において準用する民事訴訟法第百三十三条第二項に規定する秘匿事項のほか、当該個人特定事項について、決定で、その全部又は一部を秘匿する旨の裁判をすることができる。刑事被告事件の手続において刑事訴訟法第三百十二条の二第三項の規定による措置をとった場合において、同条第一項の規定による求めに係る個人特定事項(同条第四項において読み替えて準用する同法第二百七十一条の五第一項の決定により通知することとされたものを除く。)が同法第二百七十一条の二第一項第一号又は第二号に掲げる者のものに該当すると認める場合であって、相当と認めるときも、同様とする。
2民事訴訟法第百三十三条第五項の規定は、前項の決定をする場合について準用する。この場合において、同条第五項中「当該秘匿決定」とあるのは「犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律第四十六条第一項の決定」と、「当該秘匿対象者の住所又は氏名」とあるのは「当該決定に係る個人特定事項」と、「当該事件並びにその事件」とあるのは「損害賠償命令事件(同法第三十九条第二項に規定する損害賠償命令事件をいう。)に関する手続並びにその手続」と読み替えるものとする。
3第一項の決定があった場合における第二十五条及び第三十九条第一項(第四十三条第四項において準用する場合を含む。第五項において同じ。)の規定の適用については、これらの規定中「書面を」とあるのは、「書面中第四十六条第一項の決定に係る個人特定事項が記載された部分について、当該個人特定事項に代えて同条第二項において読み替えて準用する民事訴訟法第百三十三条第五項前段の規定により定めた事項を記載した書面を」とする。
4民事訴訟法第百三十三条の二第二項、第五項及び第六項並びに第百三十三条の四(第四項第二号を除く。)の規定は、第一項の決定があった場合について準用する。この場合において、次の表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。
第百三十三条の二第二項 | 申立てにより、決定で | 決定で |
訴訟記録等中秘匿事項届出部分以外のものであって秘匿事項又は秘匿事項を推知することができる事項 | 損害賠償命令事件(犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律第三十九条第二項に規定する損害賠償命令事件をいう。)の記録(同法第四十条第一項に規定する刑事関係記録に係る部分を除く。)又は同法第四十五条において準用する第百三十二条の四第一項の処分の申立てに係る事件の記録(以下「損害賠償命令事件の記録等」という。)中同法第四十六条第一項の決定(第百三十三条の四第一項及び第四項第一号において「秘匿決定」という。)に係る個人特定事項 |
| 訴訟記録等の閲覧等 | 損害賠償命令事件の記録等の閲覧等(非電磁的損害賠償命令事件記録の閲覧等(同法第四十四条第一項第一号に規定する非電磁的損害賠償命令事件記録の閲覧等をいう。)、電磁的損害賠償命令事件記録の閲覧等(同項第二号に規定する電磁的損害賠償命令事件記録の閲覧等をいう。)、非電磁的処分記録の閲覧等(同法第三十二条第一項第一号に規定する非電磁的処分記録の閲覧等をいう。)又は電磁的処分記録の閲覧等(同項第二号に規定する電磁的処分記録の閲覧等をいう。)をいう。第百三十三条の四第二項において同じ。) |
| 秘匿決定に係る秘匿対象者 | 個人特定事項に係る者 |
第百三十三条の二第五項 | 申立てが | 決定が |
| 電磁的訴訟記録等(電磁的訴訟記録又は第百三十二条の四第一項の処分の申立てに係る事件の記録中ファイル記録事項に係る部分 | 電磁的損害賠償命令事件記録等(電磁的損害賠償命令事件記録(犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律第四十四条第一項第二号に規定する電磁的損害賠償命令事件記録をいう。)又は電磁的処分記録(同法第三十二条第一項第二号に規定する電磁的処分記録をいう。) |
第百三十三条の二第五項及び第六項 | 電磁的訴訟記録等から | 電磁的損害賠償命令事件記録等から |
第百三十三条の四第一項 | 者は、訴訟記録等 | 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、損害賠償命令事件の記録等 |
第百三十三条の四第二項 | 訴訟記録等の存する | 損害賠償命令事件の記録等の存する |
訴訟記録等の閲覧等 | 損害賠償命令事件の記録等の閲覧等 |
第百三十三条の四第四項第一号 | 秘匿対象者 | 個人特定事項に係る者 |
5第一項の決定があった場合において、第三十九条第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされたときは、裁判所は、損害賠償命令事件の記録(刑事関係記録を除く。)中、当該決定に係る個人特定事項が記載され、又は記録されたものであって、同項の地方裁判所又は簡易裁判所に送付することが相当でないと認めるものを特定しなければならない。この場合における第四十条第二項の規定の適用については、同項中「前項」とあるのは、「前項又は第四十六条第五項前段」とする。