(質問)
第二条警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。
2その場で前項の質問をすることが本人に対して不利であり、又は交通の妨害になると認められる場合においては、質問するため、その者に附近の警察署、派出所又は駐在所に同行することを求めることができる。
3前二項に規定する者は、刑事訴訟に関する法律の規定によらない限り、身柄を拘束され、又はその意に反して警察署、派出所若しくは駐在所に連行され、若しくは答弁を強要されることはない。
4警察官は、刑事訴訟に関する法律により逮捕されている者については、その身体について凶器を所持しているかどうかを調べることができる。
(保護)
第三条警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して次の各号のいずれかに該当することが明らかであり、かつ、応急の救護を要すると信ずるに足りる相当な理由のある者を発見したときは、取りあえず警察署、病院、救護施設等の適当な場所において、これを保護しなければならない。
一精神錯乱又は泥酔のため、自己又は他人の生命、身体又は財産に危害を及ぼすおそれのある者
二迷い子、病人、負傷者等で適当な保護者を伴わず、応急の救護を要すると認められる者(本人がこれを拒んだ場合を除く。)
2前項の措置をとつた場合においては、警察官は、できるだけすみやかに、その者の家族、知人その他の関係者にこれを通知し、その者の引取方について必要な手配をしなければならない。責任ある家族、知人等が見つからないときは、すみやかにその事件を適当な公衆保健若しくは公共福祉のための機関又はこの種の者の処置について法令により責任を負う他の公の機関に、その事件を引き継がなければならない。
3第一項の規定による警察の保護は、二十四時間をこえてはならない。但し、引き続き保護することを承認する簡易裁判所(当該保護をした警察官の属する警察署所在地を管轄する簡易裁判所をいう。以下同じ。)の裁判官の許可状のある場合は、この限りでない。
4前項但書の許可状は、警察官の請求に基き、裁判官において已むを得ない事情があると認めた場合に限り、これを発するものとし、その延長に係る期間は、通じて五日をこえてはならない。この許可状には已むを得ないと認められる事情を明記しなければならない。
5警察官は、第一項の規定により警察で保護をした者の氏名、住所、保護の理由、保護及び引渡の時日並びに引渡先を毎週簡易裁判所に通知しなければならない。
(立入)
第六条警察官は、前二条に規定する危険な事態が発生し、人の生命、身体又は財産に対し危害が切迫した場合において、その危害を予防し、損害の拡大を防ぎ、又は被害者を救助するため、已むを得ないと認めるときは、合理的に必要と判断される限度において他人の土地、建物又は船車の中に立ち入ることができる。
2興行場、旅館、料理屋、駅その他多数の客の来集する場所の管理者又はこれに準ずる者は、その公開時間中において、警察官が犯罪の予防又は人の生命、身体若しくは財産に対する危害予防のため、その場所に立ち入ることを要求した場合においては、正当の理由なくして、これを拒むことができない。
3警察官は、前二項の規定による立入に際しては、みだりに関係者の正当な業務を妨害してはならない。
4警察官は、第一項又は第二項の規定による立入に際して、その場所の管理者又はこれに準ずる者から要求された場合には、その理由を告げ、且つ、その身分を示す証票を呈示しなければならない。
(サイバー危害防止措置執行官による措置)
第六条の二警察庁長官は、警察庁又は都道府県警察の警察官のうちから、次項の規定による処置を適正にとるために必要な知識及び能力を有すると認められる警察官をサイバー危害防止措置執行官として指名するものとする。
2サイバー危害防止措置執行官は、サイバーセキュリティ(サイバーセキュリティ基本法(平成二十六年法律第百四号)第二条に規定するサイバーセキュリティをいう。)を害することその他情報技術を用いた不正な行為(以下この項において「情報技術利用不正行為」という。)に用いられる電気通信若しくはその疑いがある電気通信(以下この項及び第四項ただし書において「加害関係電気通信」という。)又は情報技術利用不正行為に用いられる電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この項において同じ。)若しくはその疑いがある電磁的記録(以下この項において「加害関係電磁的記録」という。)を認めた場合であつて、そのまま放置すれば人の生命、身体又は財産に対する重大な危害が発生するおそれがあるため緊急の必要があるときは、加害関係電気通信の送信元若しくは送信先である電子計算機又は加害関係電磁的記録が記録された電子計算機(以下この条において「加害関係電子計算機」と総称する。)の管理者その他関係者に対し、加害関係電子計算機に記録されている加害関係電磁的記録の消去その他の危害防止のため通常必要と認められる措置であつて電気通信回線を介して行う加害関係電子計算機の動作に係るもの(適切に危害防止を図るために通常必要と認められる限度において、電気通信回線を介して当該加害関係電子計算機に接続して当該加害関係電子計算機に記録されたその動作に係る電磁的記録を確認することを含む。)をとることを命じ、又は自らその措置をとることができる。
3加害関係電子計算機が国内に設置されていると認める相当な理由がない場合における当該加害関係電子計算機の動作に係る前項の規定による処置は、警察庁の警察官であるサイバー危害防止措置執行官に限り、とることができるものとする。この場合において、当該サイバー危害防止措置執行官は、あらかじめ、警察庁長官を通じて、外務大臣に協議しなければならない。
4サイバー危害防止措置執行官は、第二項の規定による処置をとる場合には、あらかじめ、サイバー通信情報監理委員会の承認を得なければならない。ただし、当該加害関係電子計算機から重要電子計算機(重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律(令和七年法律第四十二号)第二条第二項に規定する重要電子計算機をいう。)に対してその機能に重大な障害を生じさせ、又は生じさせるおそれのある加害関係電気通信が現に送信されている場合その他の当該危害防止のためにはサイバー通信情報監理委員会の承認を得るいとまがないと認める特段の事由がある場合は、この限りでない。
5第三項に規定する場合における前項の承認の求めは、第三項の規定による協議の結果を添えて行わなければならない。
6サイバー通信情報監理委員会は、第四項の承認の求めがあつた場合において、当該求めが第二項及び第三項の規定に照らして適切であると認めるときは、当該承認をするものとする。
7サイバー危害防止措置執行官は、第二項の規定による処置をとるに際しては、みだりに関係者の正当な業務を妨害してはならない。
8サイバー危害防止措置執行官は、第二項の規定による処置をとつたときは、当該加害関係電子計算機の管理者に同項に規定する措置をとることを命じた場合を除き、国家公安委員会規則で定めるところにより、遅滞なく、その旨を当該管理者に通知するものとする。ただし、当該加害関係電子計算機に関係する危害の防止に支障がある場合及び当該管理者の所在が不明である場合は、この限りでない。
9サイバー危害防止措置執行官は、第四項ただし書の規定によりサイバー通信情報監理委員会の承認を得ないで第二項の規定による処置をとつたときは、速やかに、当該処置についてサイバー通信情報監理委員会に通知しなければならない。
10前項の規定による通知を受けたサイバー通信情報監理委員会は、当該通知に係る処置が第二項、第三項及び第四項ただし書の規定に照らして適切に行われたかどうかを確認し、第二項の規定による処置に係る事務の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、当該確認の結果に基づき、当該通知を行つたサイバー危害防止措置執行官が所属する警察庁又は都道府県警察の警察庁長官又は警視総監若しくは道府県警察本部長(次項において「警察庁長官等」という。)に対し、必要な措置をとるべきことを勧告するものとする。
11サイバー危害防止措置執行官は、この条の規定による措置の実施について、警察庁長官等(第三項に規定する場合にあつては、警察庁長官)の指揮を受けなければならない。