事業者が、平成25年~同27年の各課税期間に係る消費税及び地方消費税の確定申告において、上記各課税期間中に転売目的で行った全部又は一部が住宅として賃貸されている建物の購入を、消費税法(平成27年法律第9号による改正前のもの及び同改正後のもの)30条2項1号にいう「課税資産の譲渡等にのみ要する」課税仕入れに区分して、上記購入に係る消費税額の全額を当該課税期間の課税標準額に対する消費税額から控除したところ、上記購入は同号にいう「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する」課税仕入れに区分されるべきであり上記全額を控除することはできないとして更正処分がされた場合において、次の⑴~⑷など判示の事情の下では、上記全額を控除したことにつき、国税通則法(平成28年法律第15号による改正前のもの)65条4項にいう「正当な理由」があると認めることはできない。
⑴ 税務当局は、遅くとも平成17年以降、上記購入と同様の課税仕入れを、購入した建物が住宅として賃貸されることに着目して上記「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する」課税仕入れに区分すべきであるとの見解を採っており、そのことは、上記各申告当時、税務当局の職員が執筆した公刊物や、公表されている国税不服審判所の裁決例及び下級審の裁判例を通じて、一般の納税者も知り得た。
⑵ 上記⑴以前に税務当局が作成した部内資料や税務当局関係者が編者である公刊物等には、事業者の目的に着目して同号所定の区分を判定していたとも理解され得る記載等があるものの、これらは、上記購入と同様の課税仕入れに直接言及するものでなく、その趣旨や前提となる事実関係が明らかでない。
⑶ 税務当局は、平成9年頃、関係機関からの照会に対し、上記購入と同様の課税仕入れを上記「課税資産の譲渡等にのみ要する」課税仕入れに区分すべき旨の回答をしているが、上記回答が公表されるなどしたとの事情はうかがわれない。
⑷ 上記各申告当時、上記購入と同様の課税仕入れを事業者の目的に着目して上記「課税資産の譲渡等にのみ要する」課税仕入れに区分すべきものとした裁判例等があったことはうかがわれない。
|