(土地及び土地の定着物の使用)
第百六十五条漁業者、漁業協同組合又は漁業協同組合連合会は、土地又は土地の定着物が海草乾場、船揚場、漁舎その他漁業上の施設として利用することが必要かつ適当であつて他のものをもつて代えることが著しく困難であるときは、都道府県知事の認可を受けて、当該土地又は当該定着物の所有者その他これに関して権利を有する者に対し、これを使用する権利(次条において「使用権」という。)の設定に関する協議を求めることができる。
2前項の認可の申請があつたときは、都道府県知事は、同項の土地又は土地の定着物の所有者その他これに関して権利を有する者、同項の認可を受けようとする者及び海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
3都道府県知事は、第一項の認可をしたときは、その旨を土地又は土地の定着物の所有者その他これに関して権利を有する者に通知しなければならない。
4前項の通知を受けた後は、土地又は土地の定着物の所有者その他これに関して権利を有する者は、第一項の協議が調うまでは、使用の目的たる漁業に支障を及ぼすおそれがない場合を除き、都道府県知事の許可を受けなければ、当該土地の形質を変更し、又は当該定着物を損壊し、若しくは収去することができない。ただし、その協議が調わない場合において、次条第一項ただし書の期間内に同項の裁定の申請がないときは、この限りでない。
5前項の許可の申請があつたときは、都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
(使用権設定の裁定)
第百六十六条前条第一項の場合において、協議が調わず、又は協議をすることができないときは、同項の認可を受けた者は、使用権の設定に関する海区漁業調整委員会の裁定を申請することができる。ただし、同項の認可を受けた日から二月を経過したときは、この限りでない。
2前項の規定による裁定の申請があつたときは、海区漁業調整委員会は、当該申請に係る土地又は土地の定着物の所有者その他これに関して権利を有する者にその旨を通知し、かつ、これを公示しなければならない。
3第一項の規定による裁定の申請に係る土地又は土地の定着物の所有者その他これに関して権利を有する者は、前項の公示の日から二週間以内に海区漁業調整委員会に意見書を差し出すことができる。
4裁定の申請に係る土地又は土地の定着物の所有者は、前項の意見書において、海区漁業調整委員会に対し、当該土地若しくは当該定着物の使用が三年以上にわたり、又は当該土地若しくは当該定着物の形質の変更を来すような使用権の設定をすべき旨の裁定をしようとする場合には、これに代えて、当該土地又は当該定着物を買い取るべき旨の裁定をすべきことを申請することができる。
5裁定の申請に係る土地の上に定着物を有する者は、第三項の意見書において、海区漁業調整委員会に対し、使用権を設定すべき旨の裁定をしようとする場合には当該工作物の移転料に関する裁定をすべきことを申請することができる。ただし、当該工作物が前条第三項の通知があつた後に設置されたものであるときは、この限りでない。
6海区漁業調整委員会は、第三項の期間を経過した後に審議を開始しなければならない。
8海区漁業調整委員会は、土地若しくは土地の定着物の使用が三年以上にわたり、又は土地若しくは土地の定着物の形質の変更を来すような使用権の設定をすべき旨の裁定をしようとする場合において第四項の申請があつたときは、これに代えて、当該土地又は当該定着物を買い取るべき旨の裁定をしなければならない。
9海区漁業調整委員会は、使用権を設定すべき旨の裁定をしようとする場合において第五項の申請があつたときは、当該工作物の移転料に関する裁定をしなければならない。
10使用権を設定すべき旨の裁定又は買い取るべき旨の裁定においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
一使用権を設定すべき土地若しくは土地の定着物並びに設定すべき使用権の内容及び存続期間又は買い取るべき土地若しくは土地の定着物
五第五項の申請があつた場合においては移転料並びにその支払方法及び時期
11海区漁業調整委員会は、裁定をしたときは、遅滞なく、その旨を当該土地又は当該定着物の所有者その他これに関して権利を有する者に通知し、かつ、これを公示しなければならない。
12前項の公示があつたときは、裁定の定めるところにより当事者間に協議が調つたものとみなす。
13民法第六百十二条の規定は、前項の場合には適用しない。
14第一項若しくは第四項の裁定において定める使用権の設定若しくは買取りの対価又は第五項の裁定において定める移転料の額に不服がある者は、第十一項の公示の日から六月以内に訴えをもつてその増減を請求することができる。
15前項の訴えにおいては、申請者又は当該土地若しくは当該定着物の所有者その他これに関して権利を有する者を被告とする。
(土地及び土地の定着物の貸付契約に関する裁定)
第百六十七条漁業者、漁業協同組合又は漁業協同組合連合会が第百六十五条第一項の土地又は土地の定着物を漁業に使用するため貸付けを受けている場合において経済事情の変動その他事情の変更によりその契約の内容が適正でなくなつたと認めるときは、当事者は、海区漁業調整委員会に対して、当該貸付契約の内容の変更又は解除に関する裁定を申請することができる。
2前項の申請があつた場合には、前条第二項、第三項、第六項及び第七項の規定を準用する。
3第一項の裁定においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
一変更に関する裁定の申請の場合にあつては、変更するかどうか、変更する場合はその内容及び変更の時期
二解除に関する裁定の申請の場合にあつては、解除するかどうか、解除する場合は解除の時期
4前項の裁定があつた場合には、前条第十一項、第十二項、第十四項及び第十五項の規定を準用する。