(事件の審判)
第三条前条第一項の規定による制裁は、裁判所が科する。
2前条第一項に該当する行為があつたときは、裁判所は、その場で直ちに、裁判所職員又は警察官に行為者を拘束させることができる。この場合において、拘束の時から二十四時間以内に監置に処する裁判がなされないときは、裁判所は、直ちにその拘束を解かなければならない。
3前条第一項に該当する行為を直接に知り得た裁判所又は裁判官は、自ら裁判をする場合を除き、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める裁判所に対し、同項の規定による制裁を科すべき旨の請求をすることができる。
一裁判所が請求する場合その裁判所を構成する裁判官所属の裁判所
4前項の請求があつたときは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める裁判所が、裁判をする。
一裁判所が請求した場合その裁判所を構成する裁判官以外の裁判官をもつて構成する裁判所
二裁判官が請求した場合その裁判官以外の裁判官をもつて構成する裁判所
(裁判)
2前項の裁判は、第二条第一項に該当する行為が終わつた時から一箇月を経過した後は、することができない。
3裁判所は、裁判をするについて必要があるときは、証人尋問その他の証拠調べをすることができる。
4前項の場合においては、民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第二編第四章第一節から第六節までの規定(同法第百七十九条、第百八十二条、第二百七条第二項、第二百八条、第二百二十四条(同法第二百二十九条第二項、第二百三十一条の三第一項及び第二百三十二条第一項において準用する場合を含む。)並びに第二百二十九条第三項及び第四項の規定を除く。)を準用する。この場合において、同法第二百二十七条第二項中「第百三十二条の十三」とあるのは、「法廷等の秩序維持に関する法律第六条の五」と読み替えるものとする。
5制裁を科する裁判をしたときは、手続に要した費用の全部又は一部を本人に負担させることができる。
(抗告及び異議の申立て)
第五条地方裁判所、家庭裁判所若しくは簡易裁判所又はその裁判官のした制裁を科する裁判に対しては、本人は、裁判が告知された日から五日以内に、その裁判が法令に違反することを理由として、高等裁判所に抗告をすることができる。
2前項の抗告をするには、申立書を、原裁判所に提出しなければならない。原裁判所は、抗告を理由があるものと認めるとき、その他原裁判を更正することを適当と認めるときは、その裁判を取り消し、又は本人の利益に変更することができる。
3第一項の抗告は、裁判の執行を停止する効力を有しない。ただし、抗告裁判所及び原裁判所は、抗告について裁判があるまで、裁判の執行を停止することができる。
4第一項の抗告をする場合には、本人は、弁護士を代理人に選任することができる。
5高等裁判所又はその裁判官のした制裁を科する裁判に対しては、本人は、その高等裁判所に異議の申立てをすることができる。異議の申立てには、抗告に関する規定を準用する。
(電子情報処理組織による申立て等)
第六条の二制裁を科する裁判に関する手続における申立て、請求その他の申述(以下「申立て等」という。)のうち、当該申立て等に関するこの法律その他の法令の規定により書面等(書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人の知覚によつて認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下同じ。)をもつてするものとされているものであつて、裁判所又は裁判官に対してするもの(当該裁判所の裁判長若しくは受命裁判官又は受託裁判官に対してするものを含む。)については、当該法令の規定にかかわらず、最高裁判所規則で定めるところにより、最高裁判所規則で定める電子情報処理組織(裁判所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。第六条の五を除き、以下同じ。)と申立て等をする者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。以下同じ。)を使用して当該書面等に記載すべき事項を裁判所の使用に係る電子計算機に備えられたファイル(以下単に「ファイル」という。)に記録する方法により行うことができる。
2前項の方法によりされた申立て等(次項において「電子情報処理組織を使用する申立て等」という。)については、当該申立て等を書面等をもつてするものとして規定した申立て等に関する法令の規定に規定する書面等をもつてされたものとみなして、当該法令その他の当該申立て等に関する法令の規定を適用する。
3電子情報処理組織を使用する申立て等は、当該電子情報処理組織を使用する申立て等に係る事項がファイルに記録された時に、当該裁判所に到達したものとみなす。
(執行)
第七条制裁を科する裁判は、裁判官の命令で執行する。
2監置の裁判を執行するため必要があるときは、裁判官は、収容状を発することができる。収容状は、勾引状と同一の効力を有するものとし、裁判官の指揮によつて執行する。
3刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第六十二条第二項、第六十四条(第一項各号を除く。)、第七十条第一項本文、第七十一条、第七十二条、第七十三条第一項前段及び第三項、第七十四条、第百二十六条並びに第百二十七条の規定は、収容状について準用する。この場合において、これらの規定中「被告人」とあるのは、「制裁を科する裁判を受けた者」と読み替えるほか、次の表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。
第六十四条第一項 | 氏名及び住居、罪名、公訴事実の要旨、引致すべき場所又は勾留すべき刑事施設、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める事項並びに発付の年月日その他裁判所の規則で定める事項 | 氏名、住居、年齢、監置の期間その他収容に必要な事項 |
第六十四条第二項及び第七十三条第一項第二号 | 裁判長又は受命裁判官 | 裁判官 |
第七十条第一項 | 検察官 | 裁判官 |
第七十二条第一項 | 裁判長 | 裁判官 |
第七十三条第三項 | ついて第一項各号又は前項各号 | ついて第一項各号 |
| 前二項 | 同項前段 |
| 公訴事実の要旨及び令状 | 収容状 |
| 、第一項各号又は前項各号 | 、同項各号 |
4第一項の命令で過料に係るものは、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。
5過料の裁判の執行は、民事執行法(昭和五十四年法律第四号)その他強制執行の手続に関する法令の規定に従つてする。ただし、執行前に裁判の送達をすることを要しない。
6第一項及び前二項の規定は、第四条第五項の規定による裁判の執行について準用する。
7監置の裁判の執行は、当該裁判があつた時から三箇月を経過した後は、開始することができない。
8監置の裁判を受けた者について、当該裁判の執行によつて著しく健康を害するおそれがあるとき、その他重大な事由があるときは、裁判所は、本人の請求又は職権により、当該裁判の執行を停止することができる。