(市町村長の警戒区域設定権等)
第六十三条災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、人の生命又は身体に対する危険を防止するため特に必要があると認めるときは、市町村長は、警戒区域を設定し、災害応急対策に従事する者以外の者に対して当該区域への立入りを制限し、若しくは禁止し、又は当該区域からの退去を命ずることができる。
2前項の場合において、市町村長若しくはその委任を受けて同項に規定する市町村長の職権を行なう市町村の職員が現場にいないとき、又はこれらの者から要求があつたときは、警察官又は海上保安官は、同項に規定する市町村長の職権を行なうことができる。この場合において、同項に規定する市町村長の職権を行なつたときは、警察官又は海上保安官は、直ちに、その旨を市町村長に通知しなければならない。
3第一項の規定は、市町村長その他同項に規定する市町村長の職権を行うことができる者がその場にいない場合に限り、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第八十三条第二項の規定により派遣を命ぜられた同法第八条に規定する部隊等の自衛官(以下「災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官」という。)の職務の執行について準用する。この場合において、第一項に規定する措置をとつたときは、当該災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官は、直ちに、その旨を市町村長に通知しなければならない。
4第六十一条の二の規定は、第一項の規定により警戒区域を設定しようとする場合について準用する。
(応急公用負担等)
第六十四条市町村長は、当該市町村の地域に係る災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、応急措置を実施するため緊急の必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、当該市町村の区域内の他人の土地、建物その他の工作物を一時使用し、又は土石、竹木その他の物件を使用し、若しくは収用することができる。
2市町村長は、当該市町村の地域に係る災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、応急措置を実施するため緊急の必要があると認めるときは、現場の災害を受けた工作物又は物件で当該応急措置の実施の支障となるもの(以下この条において「工作物等」という。)の除去その他必要な措置をとることができる。この場合において、工作物等を除去したときは、市町村長は、当該工作物等を保管しなければならない。
3市町村長は、前項後段の規定により工作物等を保管したときは、当該工作物等の占有者、所有者その他当該工作物等について権原を有する者(以下この条において「占有者等」という。)に対し当該工作物等を返還するため、政令で定めるところにより、政令で定める事項を公示しなければならない。
4市町村長は、第二項後段の規定により保管した工作物等が滅失し、若しくは破損するおそれがあるとき、又はその保管に不相当な費用若しくは手数を要するときは、政令で定めるところにより、当該工作物等を売却し、その売却した代金を保管することができる。
5前三項に規定する工作物等の保管、売却、公示等に要した費用は、当該工作物等の返還を受けるべき占有者等の負担とし、その費用の徴収については、行政代執行法(昭和二十三年法律第四十三号)第五条及び第六条の規定を準用する。
6第三項に規定する公示の日から起算して六月を経過してもなお第二項後段の規定により保管した工作物等(第四項の規定により売却した代金を含む。以下この項において同じ。)を返還することができないときは、当該工作物等の所有権は、当該市町村長の統轄する市町村に帰属する。
7前条第二項の規定は、第一項及び第二項前段の場合について準用する。
8第一項及び第二項前段の規定は、市町村長その他第一項又は第二項前段に規定する市町村長の職権を行うことができる者がその場にいない場合に限り、災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官の職務の執行について準用する。この場合において、第一項又は第二項前段に規定する措置をとつたときは、当該災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官は、直ちに、その旨を市町村長に通知しなければならない。
9警察官、海上保安官又は災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官は、第七項において準用する前条第二項又は前項において準用する第二項前段の規定により工作物等を除去したときは、当該工作物等を当該工作物等が設置されていた場所を管轄する警察署長等又は内閣府令で定める自衛隊法第八条に規定する部隊等の長(以下この条において「自衛隊の部隊等の長」という。)に差し出さなければならない。この場合において、警察署長等又は自衛隊の部隊等の長は、当該工作物等を保管しなければならない。
10前項の規定により警察署長等又は自衛隊の部隊等の長が行う工作物等の保管については、第三項から第六項までの規定の例によるものとする。ただし、第三項の規定の例により公示した日から起算して六月を経過してもなお返還することができない工作物等の所有権は、警察署長が保管する工作物等にあつては当該警察署の属する都道府県に、政令で定める管区海上保安本部の事務所の長又は自衛隊の部隊等の長が保管する工作物等にあつては国に、それぞれ帰属するものとする。
(災害派遣の要請の要求等)
第六十八条の二市町村長は、当該市町村の地域に係る災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、応急措置を実施するため必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、自衛隊法第八十三条第一項の規定による要請(次項において「要請」という。)をするよう求めることができる。この場合において、市町村長は、その旨及び当該市町村の地域に係る災害の状況を防衛大臣又はその指定する者に通知することができる。
2市町村長は、前項の要求ができない場合には、その旨及び当該市町村の地域に係る災害の状況を防衛大臣又はその指定する者に通知することができる。この場合において、当該通知を受けた防衛大臣又はその指定する者は、その事態に照らし特に緊急を要し、要請を待ついとまがないと認められるときは、人命又は財産の保護のため、要請を待たないで、自衛隊法第八条に規定する部隊等を派遣することができる。
3市町村長は、前二項の通知をしたときは、速やかに、その旨を都道府県知事に通知しなければならない。
(都道府県の応急措置)
第七十条都道府県知事は、当該都道府県の地域に係る災害が発生し、又はまさに発生しようとしているときは、法令又は地域防災計画の定めるところにより、その所掌事務に係る応急措置をすみやかに実施しなければならない。この場合において、都道府県知事は、その区域内の市町村の実施する応急措置が的確かつ円滑に行なわれることとなるように努めなければならない。
2都道府県の委員会又は委員は、当該都道府県の地域に係る災害が発生し、又はまさに発生しようとしているときは、法令又は地域防災計画の定めるところにより、都道府県知事の所轄の下にその所掌事務に係る応急措置を実施しなければならない。
3第一項の場合において、応急措置を実施するため、又はその区域内の市町村の実施する応急措置が的確かつ円滑に行われるようにするため必要があると認めるときは、都道府県知事は、指定行政機関の長若しくは指定地方行政機関の長又は当該都道府県の他の執行機関、指定公共機関若しくは指定地方公共機関に対し、応急措置の実施を要請し、又は求めることができる。この場合において、応急措置の実施を要請された指定行政機関の長又は指定地方行政機関の長は、正当な理由がない限り、応急措置の実施を拒んではならない。
(都道府県知事による応援の要求)
第七十四条の二都道府県知事は、当該都道府県の地域に係る災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、第七十二条第一項の規定による指示又は同条第二項の規定による要求のみによつては当該都道府県の区域内の市町村の実施する災害応急対策に係る応援が円滑に実施されないと認めるときは、他の都道府県知事に対し、当該災害が発生し又は発生するおそれがある市町村の市町村長(次項及び次条において「災害発生市町村長」という。)を応援することを求めることができる。
2前項の規定による要求を受けた都道府県知事は、当該要求に応じ応援をする場合において、災害発生市町村長の実施する災害応急対策が的確かつ円滑に行われるようにするため特に必要があると認めるときは、当該都道府県の区域内の市町村の市町村長に対し、当該災害発生市町村長を応援することを求めることができる。
3前二項の規定による都道府県知事の要求に係る応援に従事する者は、災害応急対策の実施については、当該応援を受ける市町村長の指揮の下に行動するものとする。
(内閣総理大臣による応援の要求等)
第七十四条の三都道府県知事は、当該都道府県の地域に係る災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、第七十二条第一項の規定による指示又は同条第二項、第七十四条第一項若しくは前条第一項の規定による要求のみによつては災害応急対策に係る応援が円滑に実施されないと認めるときは、内閣総理大臣に対し、他の都道府県の知事に対し当該災害が発生し又は発生するおそれがある都道府県の知事(以下この条において「災害発生都道府県知事」という。)又は災害発生市町村長を応援することを求めるよう求めることができる。
2内閣総理大臣は、前項の規定による要求があつた場合において、災害発生都道府県知事及び災害発生市町村長の実施する災害応急対策が的確かつ円滑に行われるようにするため特に必要があると認めるときは、当該災害発生都道府県知事以外の都道府県知事に対し、当該災害発生都道府県知事又は当該災害発生市町村長を応援することを求めることができる。
3内閣総理大臣は、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合であつて、災害発生都道府県知事及び災害発生市町村長の実施する災害応急対策が的確かつ円滑に行われるようにするため特に必要があると認める場合において、その事態に照らし特に緊急を要し、第一項の規定による要求を待ついとまがないと認められるときは、当該要求を待たないで、当該災害発生都道府県知事以外の都道府県知事に対し、当該災害発生都道府県知事又は当該災害発生市町村長を応援することを求めることができる。この場合において、内閣総理大臣は、当該災害発生都道府県知事に対し、速やかにその旨を通知するものとする。
4災害発生都道府県知事以外の都道府県知事は、前二項の規定による内閣総理大臣の要求に応じ応援をする場合において、災害発生市町村長の実施する災害応急対策が的確かつ円滑に行われるようにするため特に必要があると認めるときは、当該都道府県の区域内の市町村の市町村長に対し、当該災害発生市町村長を応援することを求めることができる。
5第二項又は第三項の規定による内閣総理大臣の要求に係る応援に従事する者は、災害応急対策の実施については、当該応援を受ける都道府県知事の指揮の下に行動するものとする。
6第四項の規定による都道府県知事の要求に係る応援に従事する者は、災害応急対策の実施については、当該応援を受ける市町村長の指揮の下に行動するものとする。
第七十六条の二道路の区間に係る通行禁止等が行われたときは、当該道路の区間に在る通行禁止等の対象とされる車両の運転者は、速やかに、当該車両を当該道路の区間以外の場所へ移動しなければならない。この場合において、当該車両を速やかに当該道路の区間以外の場所へ移動することが困難なときは、当該車両をできる限り道路の左側端に沿つて駐車する等緊急通行車両の通行の妨害とならない方法により駐車しなければならない。
2区域に係る通行禁止等が行われたときは、当該区域に在る通行禁止等の対象とされる車両の運転者は、速やかに、当該車両を道路外の場所へ移動しなければならない。この場合において、当該車両を速やかに道路外の場所へ移動することが困難なときは、当該車両をできる限り道路の左側端に沿つて駐車する等緊急通行車両の通行の妨害とならない方法により駐車しなければならない。
3前二項の規定による駐車については、道路交通法第三章第九節及び第七十五条の八の規定は、適用しない。
4第一項及び第二項の規定にかかわらず、通行禁止区域等に在る車両の運転者は、警察官の指示を受けたときは、その指示に従つて車両を移動し、又は駐車しなければならない。
5第一項、第二項又は前項の規定による車両の移動又は駐車については、前条第一項の規定による車両の通行の禁止及び制限は、適用しない。
第七十六条の三警察官は、通行禁止区域等において、車両その他の物件が緊急通行車両の通行の妨害となることにより災害応急対策の実施に著しい支障が生じるおそれがあると認めるときは、当該車両その他の物件の占有者、所有者又は管理者に対し、当該車両その他の物件を付近の道路外の場所へ移動することその他当該通行禁止区域等における緊急通行車両の円滑な通行を確保するため必要な措置をとることを命ずることができる。
2前項の場合において、同項の規定による措置をとることを命ぜられた者が当該措置をとらないとき又はその命令の相手方が現場にいないために当該措置をとることを命ずることができないときは、警察官は、自ら当該措置をとることができる。この場合において、警察官は、当該措置をとるためやむを得ない限度において、当該措置に係る車両その他の物件を破損することができる。
3前二項の規定は、警察官がその場にいない場合に限り、災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官の職務の執行について準用する。この場合において、第一項中「緊急通行車両の通行」とあるのは「自衛隊用緊急通行車両(自衛隊の使用する緊急通行車両で災害応急対策の実施のため運転中のものをいう。以下この項において同じ。)の通行」と、「緊急通行車両の円滑な通行」とあるのは「自衛隊用緊急通行車両の円滑な通行」と読み替えるものとする。
4第一項及び第二項の規定は、警察官がその場にいない場合に限り、消防吏員の職務の執行について準用する。この場合において、第一項中「緊急通行車両の通行」とあるのは「消防用緊急通行車両(消防機関の使用する緊急通行車両で災害応急対策の実施のため運転中のものをいう。以下この項において同じ。)の通行」と、「緊急通行車両の円滑な通行」とあるのは「消防用緊急通行車両の円滑な通行」と読み替えるものとする。
5第一項(前二項において準用する場合を含む。)の規定による命令に従つて行う措置及び第二項(前二項において準用する場合を含む。)の規定により行う措置については、第七十六条第一項の規定による車両の通行の禁止及び制限並びに前条第一項、第二項及び第四項の規定は、適用しない。
6災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官又は消防吏員は、第三項若しくは第四項において準用する第一項の規定による命令をし、又は第三項若しくは第四項において準用する第二項の規定による措置をとつたときは、直ちに、その旨を、当該命令をし、又は措置をとつた場所を管轄する警察署長に通知しなければならない。
第七十六条の四都道府県公安委員会は、通行禁止等を行うため必要があると認めるときは、道路管理者等に対し、当該通行禁止等を行おうとする道路の区間において、第七十六条の六第一項の規定による指定若しくは命令をし、又は同条第三項若しくは第四項の規定による措置をとるべきことを要請することができる。
2前項の「道路管理者等」とは、道路管理者(高速自動車国道法(昭和三十二年法律第七十九号)第四条第一項に規定する高速自動車国道にあつては国土交通大臣、その他の道路にあつては道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第十八条第一項に規定する道路管理者をいう。以下同じ。)、港湾管理者(港湾法第二条第一項に規定する港湾管理者をいい、同条第五項第四号の道路(同条第六項の規定により同号の道路とみなされたものを含む。)を管理している者に限る。第七十六条の七第二項において同じ。)又は漁港管理者(漁港及び漁場の整備等に関する法律(昭和二十五年法律第百三十七号)第二十五条の規定により決定された地方公共団体をいい、同法第三条第二号イの道路(同法第六十六条第一項又は第三項の規定により同号イの道路とみなされたものを含む。)を管理している者に限る。第七十六条の七第三項において同じ。)をいう。
3会社管理高速道路(道路整備特別措置法(昭和三十一年法律第七号)第二条第四項に規定する会社(第七十六条の六第六項及び第七項において「会社」という。)が同法第四条の規定により維持、修繕及び災害復旧を行う高速道路(高速道路株式会社法(平成十六年法律第九十九号)第二条第二項に規定する高速道路をいう。)をいう。第七十六条の六において同じ。)の区間について第一項の規定による要請をする場合における同項の規定の適用については、同項中「道路管理者等」とあるのは「独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構(以下この項において「機構」という。)」と、「第七十六条の六第一項」とあるのは「第七十六条の六第五項の規定により会社管理高速道路の道路管理者に代わつて機構が行う同条第一項」とする。
4公社管理道路(地方道路公社(地方道路公社法(昭和四十五年法律第八十二号)第一条の地方道路公社をいう。以下同じ。)が道路整備特別措置法第十四条の規定により維持、修繕及び災害復旧を行い、又は同法第十五条第一項の許可を受けて維持、修繕及び災害復旧を行う道路をいう。第七十六条の六第八項及び第九項において同じ。)の区間について第一項の規定による要請をする場合における同項の規定の適用については、同項中「道路管理者等」とあるのは「地方道路公社(第四項に規定する地方道路公社をいう。以下この項において同じ。)」と、「第七十六条の六第一項」とあるのは「第七十六条の六第八項の規定により公社管理道路の道路管理者に代わつて地方道路公社が行う同条第一項」とする。
(災害時における車両の移動等)
第七十六条の六第七十六条の四第二項に規定する道路管理者等(以下この条において「道路管理者等」という。)は、その管理する道路の存する都道府県又はこれに隣接し若しくは近接する都道府県の地域に係る災害が発生した場合において、道路における車両の通行が停止し、又は著しく停滞し、車両その他の物件が緊急通行車両の通行の妨害となることにより災害応急対策の実施に著しい支障が生じるおそれがあり、かつ、緊急通行車両の通行を確保するため緊急の必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、その管理する道路についてその区間を指定して、当該車両その他の物件の占有者、所有者又は管理者(第三項第三号において「車両等の占有者等」という。)に対し、当該車両その他の物件を付近の道路外の場所へ移動することその他当該指定をした道路の区間における緊急通行車両の通行を確保するため必要な措置をとることを命ずることができる。
2道路管理者等は、前項の規定による指定をしたときは、直ちに、当該指定をした道路の区間(以下この項において「指定道路区間」という。)内に在る者に対し、当該指定道路区間を周知させる措置をとらなければならない。
3次に掲げる場合においては、道路管理者等は、自ら第一項の規定による措置をとることができる。この場合において、道路管理者等は、当該措置をとるためやむを得ない限度において、当該措置に係る車両その他の物件を破損することができる。
一第一項の規定による措置をとることを命ぜられた者が、当該措置をとらない場合
二道路管理者等が、第一項の規定による命令の相手方が現場にいないために同項の規定による措置をとることを命ずることができない場合
三道路管理者等が、道路の状況その他の事情により車両等の占有者等に第一項の規定による措置をとらせることができないと認めて同項の規定による命令をしないこととした場合
4道路管理者等は、第一項又は前項の規定による措置をとるためやむを得ない必要があるときは、その必要な限度において、他人の土地を一時使用し、又は竹木その他の障害物を処分することができる。
5独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構(以下「機構」という。)は、会社管理高速道路の道路管理者に代わつて、第一項から前項までの規定による権限を行うものとする。
6機構は、前項の規定により会社管理高速道路の道路管理者に代わつてその権限を行つた場合においては、遅滞なく、その旨を会社に通知しなければならない。
7機構は、第五項の規定により会社管理高速道路の道路管理者に代わつて行う権限に係る事務の一部を会社に委託しようとするときは、その委託する事務の円滑かつ効率的な実施を確保するため、あらかじめ、会社と協議し、当該委託する事務の内容及びこれに要する費用の負担の方法を定めておかなければならない。
8地方道路公社は、公社管理道路の道路管理者に代わつて、第一項から第四項までの規定による権限を行うものとする。
9第五項の規定により機構が会社管理高速道路の道路管理者に代わつて行う権限は、道路整備特別措置法第二十五条第一項の規定により公告する料金の徴収期間の満了の日までに限り行うことができるものとする。前項の規定により地方道路公社が公社管理道路の道路管理者に代わつて行う権限についても、同様とする。
第七十六条の七国土交通大臣は道路法第十三条第一項に規定する指定区間外の国道(同法第三条第二号に掲げる一般国道をいう。)、都道府県道(同法第三条第三号に掲げる都道府県道をいう。)及び市町村道(同法第三条第四号に掲げる市町村道をいう。以下この項において同じ。)に関し、都道府県知事は地方自治法第二百五十二条の十九第一項に規定する指定都市の市道以外の市町村道に関し、緊急通行車両の通行を確保し、災害応急対策が的確かつ円滑に行われるようにするため特に必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、それぞれ当該道路の道路管理者に対し、前条第一項の規定による指定若しくは命令をし、又は同条第三項若しくは第四項の規定による措置をとるべきことを指示することができる。
2国土交通大臣は、港湾管理者が管理する道路に関し、緊急通行車両の通行を確保し、災害応急対策が的確かつ円滑に行われるようにするため特に必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、当該港湾管理者に対し、前条第一項の規定による指定若しくは命令をし、又は同条第三項若しくは第四項の規定による措置をとるべきことを指示することができる。
3農林水産大臣は、漁港管理者が管理する道路に関し、緊急通行車両の通行を確保し、災害応急対策が的確かつ円滑に行われるようにするため特に必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、当該漁港管理者に対し、前条第一項の規定による指定若しくは命令をし、又は同条第三項若しくは第四項の規定による措置をとるべきことを指示することができる。
(指定行政機関の長等の収用等)
第七十八条災害が発生した場合において、第五十条第一項第四号から第九号までに掲げる事項について応急措置を実施するため特に必要があると認めるときは、指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長は、防災業務計画の定めるところにより、当該応急措置の実施に必要な物資の生産、集荷、販売、配給、保管若しくは輸送を業とする者に対し、その取り扱う物資の保管を命じ、又は当該応急措置の実施に必要な物資を収用することができる。
2指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長は、前項の規定により物資の保管を命じ、又は物資を収用するため必要があると認めるときは、その職員に物資を保管させる場所又は物資の所在する場所に立ち入り検査をさせることができる。
3指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長は、第一項の規定により物資を保管させた者から、必要な報告を取り、又はその職員に当該物資を保管させてある場所に立ち入り検査をさせることができる。
(廃棄物処理の特例)
第八十六条の五著しく異常かつ激甚な非常災害であつて、当該災害による生活環境の悪化を防止することが特に必要と認められるものが発生した場合には、当該災害を政令で指定するものとする。
2環境大臣は、前項の規定による指定があつたときは、その指定を受けた災害により生じた廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号。以下この条において「廃棄物処理法」という。)第二条第一項に規定する廃棄物をいう。以下この条において同じ。)(以下この条において「指定災害廃棄物」という。)の円滑かつ迅速な処理を図るため、廃棄物処理法第五条の二第一項に規定する基本方針にのつとり、指定災害廃棄物の処理に関する基本的な指針(以下この条において「処理指針」という。)を定め、これを公表するものとする。
3処理指針には、次に掲げる事項を定めるものとする。
二指定災害廃棄物の処理についての国、地方公共団体、事業者その他の関係者の適切な役割分担及び相互の連携協力の確保に関する事項
三前二号に掲げるもののほか、指定災害廃棄物の円滑かつ迅速な処理の確保に関し必要な事項
4環境大臣は、第一項の規定による指定があつたときは、期間を限り、廃棄物の処理を迅速に行わなければならない地域を廃棄物処理特例地域として指定することができる。
5環境大臣は、前項の規定により廃棄物処理特例地域を指定したときは、廃棄物処理特例地域において適用する廃棄物の収集、運搬及び処分(再生を含む。以下この条において同じ。)に関する基準並びに廃棄物の収集、運搬又は処分を市町村以外の者に委託する場合の基準を定めるものとする。この場合において、これらの基準(以下この条において「廃棄物処理特例基準」という。)は、廃棄物処理法第六条の二第二項及び第三項、第十二条第一項並びに第十二条の二第一項に規定する基準とみなす。
6廃棄物処理特例地域において地方公共団体の委託を受けて廃棄物の収集、運搬又は処分を業として行う者は、廃棄物処理法第七条第一項若しくは第六項、第十四条第一項若しくは第六項又は第十四条の四第一項若しくは第六項の規定にかかわらず、これらの規定による許可を受けないで、当該委託に係る廃棄物の収集、運搬又は処分を業として行うことができる。
7前項の場合において、地方公共団体の長は、同項の規定により廃棄物の収集、運搬又は処分を業として行う者により廃棄物処理特例基準に適合しない廃棄物の収集、運搬又は処分が行われたときは、その者に対し、期限を定めて、当該廃棄物の収集、運搬又は処分の方法の変更その他必要な措置を講ずべきことを指示することができる。
8環境大臣は、第四項の規定により廃棄物処理特例地域を指定し、又は第五項の規定により廃棄物処理特例基準を定めたときは、その旨を公示しなければならない。
9環境大臣は、廃棄物処理特例地域内の市町村の長から要請があり、かつ、次に掲げる事項を勘案して指定災害廃棄物を円滑かつ迅速に処理するため必要があると認めるときは、その事務の遂行に支障のない範囲内で、処理指針に基づき、当該市町村に代わつて自ら当該市町村の指定災害廃棄物の収集、運搬及び処分を行うことができる。
一当該市町村における指定災害廃棄物の処理の実施体制
二当該指定災害廃棄物の処理に関する専門的な知識及び技術の必要性
10第六項及び第七項の規定は、前項の規定により指定災害廃棄物の収集、運搬又は処分を行う環境大臣が当該収集、運搬又は処分を他の者に委託する場合について準用する。この場合において、第六項中「若しくは第六項、第十四条第一項若しくは第六項又は第十四条の四第一項若しくは」とあるのは、「又は」と読み替えるものとする。
11第九項の規定により指定災害廃棄物の収集、運搬又は処分を行つた環境大臣については、廃棄物処理法第十九条の四第一項の規定は、適用しない。
12第九項の規定により環境大臣が行う指定災害廃棄物の収集、運搬及び処分に要する費用は、国の負担とする。この場合において、同項の市町村は、当該費用の額から、自ら当該指定災害廃棄物の収集、運搬及び処分を行うこととした場合に国が当該市町村に交付すべき補助金の額に相当する額を控除した額を負担する。
13国は、前項後段の規定により市町村が負担する費用について、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。