(振興山村の指定)
第七条主務大臣は、都道府県知事の申請に基づき、関係行政機関の長に協議し、かつ、国土審議会の意見を聴いて、山村振興に関する計画を作成しこれに基づいてその振興を図ることが必要かつ適当である山村を振興山村として指定することができる。
2都道府県知事は、振興山村の指定を受けようとするときは、当該山村の区域を管轄する市町村長に協議し、政令で定めるところにより、主務大臣に申請書を提出しなければならない。
3第一項の規定による振興山村の指定は、前条第一項の規定により行う調査の結果に基づいてしなければならない。
4主務大臣は、第一項の規定により振興山村の指定をするときは、その旨及び当該振興山村の区域を官報で公示しなければならない。
(山村振興基本方針)
第七条の二都道府県は、当該都道府県における振興山村の振興に関する基本方針(以下「山村振興基本方針」という。)を定めることができる。
2山村振興基本方針は、おおむね次に掲げる事項について定めるものとする。
二の二山村におけるデジタル社会の形成の促進のための施策に関する基本的な事項
三農林水産業の生産性の向上、農業生産の基盤及び林業生産の基盤の整備及び保全、農業経営及び林業経営の近代化、観光の開発、地域の特性を生かした農林水産物の加工業及び販売業等の導入、地域資源の活用による特産物の生産の育成、再生可能エネルギーの利用の推進、木材の利用の促進等産業の振興のための施策に関する基本的な事項
三の二防災体制の強化のための施策に関する基本的な事項
四医療の確保、介護サービス及び障害福祉サービスの確保、高齢者及び児童の福祉その他の福祉の増進、子育て環境の確保、教育環境の整備、生活改善、労働条件の改善等のための施策に関する基本的な事項
六山村への移住並びに山村における定住及び特定居住の促進、地域間交流の促進、地域社会の担い手となる人材の育成等のための施策に関する基本的な事項
3山村振興基本方針は、国土形成計画法(昭和二十五年法律第二百五号)の規定による国土形成計画その他法令の規定による地域振興に関する計画並びに災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第二条第八号に掲げる防災基本計画、強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法(平成二十五年法律第九十五号)第十条第一項に規定する国土強靱化基本計画及び水循環基本法(平成二十六年法律第十六号)第十三条第一項に規定する水循環基本計画との調和について適切な考慮が払われたものでなければならない。
4都道府県は、山村振興基本方針を作成するに当たつては、振興山村を広域的な経済社会生活圏の整備の体系に組み入れるよう配慮しなければならない。
5都道府県は、山村振興基本方針を定めたときは、直ちに、主務大臣にこれを提出しなければならない。
6主務大臣は、前項の規定により山村振興基本方針の提出があつた場合においては、直ちに、その内容を関係行政機関の長に通知しなければならない。
7前二項の規定は、山村振興基本方針の変更について準用する。
(山村振興計画)
第八条第七条第一項の規定により振興山村の指定があつたときは、当該振興山村の区域を管轄する市町村(以下「振興山村市町村」という。)は、山村振興基本方針に基づき、当該振興山村に係る山村振興に関する計画(以下「山村振興計画」という。)を作成することができる。この場合においては、あらかじめ、都道府県に協議し、その同意を得なければならない。
2山村振興計画は、おおむね次に掲げる事項について定めるものとする。
二の二山村におけるデジタル社会の形成の促進のための施策に関する事項
三農林水産業の生産性の向上、農業生産の基盤及び林業生産の基盤の整備及び保全、農業経営及び林業経営の近代化、観光の開発、地域の特性を生かした農林水産物の加工業及び農林水産物等販売業(振興山村において生産された農林水産物又は当該農林水産物を原料若しくは材料として製造、加工若しくは調理をしたものを店舗において主に他の地域の者に販売することを目的とする事業をいう。以下同じ。)等の導入、地域資源の活用による特産物の生産の育成、再生可能エネルギーの利用の推進、木材の利用の促進等産業の振興のための施策に関する事項
四医療の確保、介護サービス及び障害福祉サービスの確保、高齢者及び児童の福祉その他の福祉の増進、子育て環境の確保、教育環境の整備、生活改善、労働条件の改善等のための施策に関する事項
六山村への移住並びに山村における定住及び特定居住の促進、地域間交流の促進、地域社会の担い手となる人材の育成等のための施策に関する事項
3山村振興計画には、前項第三号に掲げる事項に関し、当該振興山村の区域の特性に応じた農林水産業の振興、商工業の振興、観光の振興その他の産業の振興のための施策の促進に関する事項(以下「産業振興施策促進事項」という。)を記載することができる。
4産業振興施策促進事項は、次に掲げる事項を定めるものとする。
一産業の振興のための施策を促進する区域(以下「産業振興施策促進区域」という。)
二地域資源を活用する製造業(振興山村において生産されたものを原料又は材料とする製造又は加工の事業をいう。)、農林水産物等販売業その他の当該産業振興施策促進区域において振興すべき業種
三前号の業種の振興を促進するために行う事業の内容及び実施主体に関する事項
5前項各号に掲げるもののほか、山村振興計画に産業振興施策促進事項を記載する場合には、次に掲げる事項を記載するよう努めるものとする。
6第四項第三号に掲げる事項には、次に掲げる事項を記載することができる。
一森林資源活用型地域活性化事業(産業振興施策促進区域において、林業者若しくは木材製造業を営む者(林業若しくは木材製造業を営もうとする者又は林業若しくは木材製造業を営む法人を設立しようとする者を含む。)又はこれらの者の組織する団体が、未利用又は利用の程度の低い森林資源を活用することにより、産業振興施策促進区域における産業の振興を図る事業をいう。以下この条及び第八条の六において同じ。)に関する事項
二補助金等交付財産活用事業(補助金等交付財産(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和三十年法律第百七十九号)第二十二条に規定する財産をいう。)を当該補助金等交付財産に充てられた補助金等(同法第二条第一項に規定する補助金等をいう。)の交付の目的以外の目的に使用し、譲渡し、交換し、貸し付け、又は担保に供することにより行う事業をいう。第八条の七において同じ。)に関する事項
7振興山村市町村は、山村振興計画に産業振興施策促進事項を記載しようとするときは、当該産業振興施策促進事項について、あらかじめ、主務省令で定めるところにより、主務大臣に協議し、その同意を得なければならない。
8振興山村市町村は、山村振興計画に産業振興施策促進事項として第四項第三号に掲げる事項を記載しようとするときは、あらかじめ、同号の実施主体として定めようとする者の同意を得なければならない。
9次に掲げる者は、振興山村市町村に対して、第一項の同意を得た当該振興山村市町村の山村振興計画に産業振興施策促進事項を記載することを提案することができる。この場合においては、当該山村振興計画に即して、当該提案に係る産業振興施策促進事項の素案を作成して、これを提示しなければならない。
一当該提案に係る産業振興施策促進事項として記載しようとする第四項第三号に規定する事業を実施しようとする者
二前号に掲げる者のほか、同号の産業振興施策促進事項に関し密接な関係を有する者
10前項の規定による提案を受けた振興山村市町村は、当該提案に基づき山村振興計画に産業振興施策促進事項を記載するか否かについて、遅滞なく、当該提案をした者に通知しなければならない。この場合において、産業振興施策促進事項を記載しないこととするときは、その理由を明らかにしなければならない。
11主務大臣は、第七項の規定による協議があつた場合において、産業振興施策促進事項が次に掲げる基準に適合すると認めるときは、同項の同意をするものとする。
二産業振興施策促進事項の実施が産業振興施策促進区域における産業の振興及び雇用機会の拡充に相当程度寄与するものであると認められること。
三円滑かつ確実に実施されると見込まれるものであること。
四森林資源活用型地域活性化事業に関する事項を記載した産業振興施策促進事項については、当該森林資源活用型地域活性化事業を実施しようとする者の当該森林資源活用型地域活性化事業に係る次に掲げる事項が記載されており、かつ、その事項が当該森林資源活用型地域活性化事業を確実に遂行するため適切なものであると認められること。
ハ森林資源活用型地域活性化事業の用に供する施設を整備しようとする場合にあつては、当該施設の種類及び規模
ニ森林資源活用型地域活性化事業を実施するために必要な資金の額及びその調達方法
12主務大臣は、山村振興計画に産業振興施策促進事項として第六項各号に掲げる事項が記載されている場合において、第七項の同意をしようとするときは、当該事項に係る関係行政機関の長の同意を得なければならない。
13主務大臣は、産業振興施策促進事項について第七項の同意をしたときは、遅滞なく、その旨を公示しなければならない。
14振興山村市町村は、山村振興計画を定めたときは、直ちに、主務大臣にこれを提出しなければならない。
15主務大臣は、前項の規定により山村振興計画の提出があつた場合においては、直ちに、その内容を関係行政機関の長に通知しなければならない。この場合において、関係行政機関の長は、当該山村振興計画(産業振興施策促進事項に係る部分を除く。)についてその意見を主務大臣に申し出ることができる。
(山村振興計画の変更)
第八条の三振興山村市町村は、第八条第一項の同意を得た山村振興計画の変更(主務省令で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときは、都道府県に協議し、その同意を得なければならない。
2第八条第十四項及び第十五項の規定は、前項の山村振興計画の変更について準用する。
3第一項の場合において、当該変更が第八条第七項の同意を得た産業振興施策促進事項の変更(主務省令で定める軽微な変更を除く。)を含むものであるときは、振興山村市町村は、当該産業振興施策促進事項の変更について、あらかじめ、主務大臣に協議し、その同意を得なければならない。
4第八条第八項から第十三項までの規定は、前項の産業振興施策促進事項の変更について準用する。
(山村振興計画に基づく事業の助成等)
第十条国は、山村振興計画に基づく事業が円滑に実施されるように、関係地方公共団体の財政事情等につき配慮して、助成その他必要な措置を講じなければならない。
2国は、山村振興計画に基づく事業のうち、農林水産物等販売業の導入、地域資源の活用による特産物の生産の育成、山村の振興に寄与する人材の育成及び確保等による産業の振興に係る取組を推進する事業が効果的かつ安定的に実施されるよう、当該事業に主体的かつ積極的に取り組む振興山村市町村その他の者に対し、その実施に要する費用に対する助成その他の必要な措置を講ずるものとする。
3国は、振興山村のうち自然的、経済的、社会的諸条件に特に恵まれず、かつ、産業基盤及び生活環境の整備の程度が著しく低いため振興の緊要度が高い振興山村に係る山村振興計画に基づく事業であつて当該振興山村の振興のために特に重要と認められるものについては、その円滑な実施が促進されるよう配慮するものとする。
(基幹道路の整備)
第十一条振興山村における基幹的な市町村道並びに市町村が管理する基幹的な農道、林道及び漁港関連道(振興山村とその他の地域を連絡する基幹的な市町村道並びに市町村が管理する基幹的な農道、林道及び漁港関連道を含む。)で政令で定める関係行政機関の長がその整備を図ることが特に緊要であると認めて指定するもの(以下この条において「基幹道路」という。)の新設及び改築については、他の法令の規定にかかわらず、山村振興基本方針及び山村振興計画に基づいて、都道府県が行うことができる。
2都道府県は、前項の規定により市町村道の新設又は改築を行う場合においては、政令で定めるところにより、当該市町村道の道路管理者(道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第十八条第一項に規定する道路管理者をいう。)に代わつてその権限を行うものとする。
3第一項の規定により都道府県が行う基幹道路の新設及び改築に係る事業(以下この条において「基幹道路整備事業」という。)に要する経費については、当該都道府県が負担する。
4基幹道路整備事業に要する経費に係る国の負担又は補助については、基幹道路を都道府県道又は都道府県が管理する農道、林道若しくは漁港関連道とみなす。
5第三項の規定により基幹道路整備事業に要する経費を負担する都道府県が後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律(昭和三十六年法律第百十二号。以下この条において「負担特例法」という。)第二条第一項に規定する適用団体である場合においては、基幹道路整備事業(北海道及び奄美群島の区域における基幹道路整備事業で当該事業に係る経費に対する国の負担又は補助の割合(以下この条において「国の負担割合」という。)がこれらの区域以外の区域における当該事業に相当する事業に係る経費に対する通常の国の負担割合と異なるものを除く。)を同条第二項に規定する開発指定事業とみなして、負担特例法の規定を適用する。
6北海道及び奄美群島の区域における基幹道路整備事業で当該事業に係る経費に対する国の負担割合がこれらの区域以外の区域における当該事業に相当する事業に係る経費に対する通常の国の負担割合と異なるものについては、第三項の規定により当該基幹道路整備事業に要する経費を負担する道県が負担特例法第二条第一項に規定する適用団体である場合においては、国は、第一号に掲げる国の負担割合が第二号に掲げる国の負担割合を超えるものにあつては第一号に掲げる国の負担割合により算定した額に相当する額を、第一号に掲げる国の負担割合が第二号に掲げる国の負担割合を超えないものにあつては第二号に掲げる国の負担割合により算定した額に相当する額を負担し、又は補助するものとする。
一北海道及び奄美群島の区域以外の区域における当該基幹道路整備事業に相当する事業に係る経費に対する通常の国の負担割合をこれらの区域における当該基幹道路整備事業に係る経費に対する国の負担割合として負担特例法第三条第一項及び第二項の規定により算定した国の負担割合
二北海道及び奄美群島の区域における当該基幹道路整備事業に係る経費に対する国の負担割合