第八条部分閉囲型救命艇は、次に掲げる要件に適合するものでなければならない。
一摂氏零下三十度から摂氏六十五度までの範囲の温度を通じて積付けに耐えられるものであること。
二水中で摂氏零下一度から摂氏三十度までの範囲の温度を通じて作動するものであること。
六海上において十分な復原性並びに人員及び艤装品を満載した場合に十分なフリーボードを有する形状及び寸法比のものであること。
七穏やかな水面において、人員及び艤装品を満載し、かつ、水面下の一箇所に穴が開いた場合に正の復原力を有すること。
八定員の半分が中心線の片側の明示された位置に着席した場合においても十分な復原性及び十分なフリーボードを有するものであること。
九海水に洗われ、かつ、人員及び艤装品を満載している場合において、十分な浮揚性を有するもの又はそれと同等の浮力を有する浮体が取り付けられたものであること。この場合において、一人当たりに必要な浮力は、二百八十ニュートンとする。
十前号の浮体は、浮揚性を有する材料で作られたものであり、かつ、救命艇の内部に取り付けられていること。
十一人員及び艤装品を満載したまま水上に安全におろすために十分な強さのものであり、かつ、過大な力を受けた場合に残留たわみを生じないような強さのものであること。
十二人員及び艤装品を満載した場合において、毎秒三・五メートルの衝撃速度の横衝撃力に耐えられるものであり、かつ、三メートルの高さから水上に投下したときに損傷しないものであること。
十三穏やかな水面において船舶が五ノットの速力で前進している場合においても、進水及びえい航に耐えられるものであること。
十四次に掲げる要件に適合する推進装置が取り付けられていること。
ロ引火点(密閉容器試験による。以下同じ。)が摂氏四十三度以下の燃料を使用するものでないこと。
ハ次に掲げる要件に適合する始動装置が取り付けられていること。
(1)摂氏零下十五度の温度において、手動又は二の独立した再充電することができる動力源により二分以内に始動させることができるものであること。
(2)機関のケーシング、スオートその他の障害物により始動作業を妨げられないように取り付けられていること。
(3)始動用電池は、水密のケーシングで囲まれていること。この場合において、ケーシングの頂部には、ふたを有するガス通気孔が設けられていなければならない。
(4)始動用電源は、無線用電源から独立していること。
ニ救命艇が水から離れた状態において、冷温から始動後五分間以上連続して作動するものであること。
ホクランク軸の中心まで浸水している場合において確実に作動するものであること。
ヘプロペラを原動機から切り離すための装置が取り付けられていること。
チ排気管は、機関への浸水を防止するように配置されていること。
リプロペラによる人員の傷害及び浮遊物によるプロペラの損傷を受けるおそれがないようにプロペラの周囲に適当な保護装置が取り付けられていること。
ヌ機関及びその附属品は、高温の部分及び回転する部分への人の接触を防止し、かつ、荒天状態においても確実に操作することができるように、難燃性の囲壁で囲まれていること。
ル機関及びその附属品は、無線信号装置の作動を妨げないものであること。
ワ始動用、無線用及び探照灯用の電池の再充電のための発電機が備え付けられたものであること。
カ五十ボルト以下の供給電圧で船舶から救命艇の電池を再充電することができる装置(救命艇の乗艇場所において船舶から切り離すことができる措置が講じられているものに限る。)又は救命艇の電池を再充電することができる太陽電池が取り付けられていること。
十五穏やかな水面における次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める前進速力を有すること。
イ人員及び艤装品を満載し、かつ、補機が作動している場合(ロに掲げる場合を除く。)六ノット以上
ロ人員及び艤装品を満載し、かつ、補機が作動している場合において、船舶に備え付けられている最大の定員を有する救命いかだであつて人員及び艤装品を満載したものをえい航している場合二ノット以上
十六前号イの六ノット以上の前進速力における二十四時間の連続運転に十分な燃料を備えていること。この場合において、燃料は、船舶が航行する水域で予想されるすべての範囲の温度を通じて使用できるものでなければならない。
十七機関の始動及び作動のための防水措置が施された手引書が機関の始動を制御する場所に備え付けられていること。
十八人員が乗艇場所から迅速に乗り込めるものであり、かつ、傷病者を担架に乗せたまま乗り込ませることができるものであること。
十九遭難者を海中から引き上げることができるものであること。
二十十分な強さのスオート、サイドシート又はいすが取り付けられていること。
二十二乗員が歩く表面には、滑止めのための措置が講じられていること。
二十三次に掲げる要件に適合する固定覆いが救命艇の前端及び後端に取り付けられていること。
イ救命艇の前端又は後端から長さの二十パーセント以上を覆うことができること。
ハ風雨密の閉鎖装置を取り付けた出入口を有すること。
二十四前号の固定覆いが取り付けられていない箇所を覆うことができる次に掲げる要件に適合する風雨密の天幕が取り付けられていること。
イ暴露による傷害から乗員を保護することができること。
ロ折りたたむことができ、かつ、乗員二人により容易に展張できるものであること。
ハ二以上の幕で断熱効果のある空気層が構成されているか、又はそれと同等の断熱効果を有すること。
ニハの空気層を有する天幕には、当該空気層に水が滞留することを防止するための措置が講じられていること。
ホ内外から容易に開閉することができる風雨密の閉鎖装置を取り付けた乗込口を有すること。この場合において、当該装置は、開けた状態及び閉じた状態を保持することができなければならない。
二十五第二十三号の固定覆い及び前号の天幕により形成される覆いは、次に掲げる要件に適合するものであること。
イ前号の天幕を展張し、かつ、乗込口を閉じた場合においても、十分な空気を乗員に供給することができる措置が講じられていること。
ハ次に掲げる要件に適合する灯が覆いの頂部及び救命艇の内部に取り付けられていること。
(2)十二時間以上連続して使用できるものであること。
(4)白色の光を上方のすべての方向に発することができること(覆いの頂部に取り付けられている灯に限る。)。
二十六天幕の展張のための固型部分又は骨組みが取り付けられていること。
二十七進水のための作業位置及び操だ位置において、十分な視界を有するものであること。
二十八いずれの乗込口においても使用することができる乗込用のはしごが備え付けられていること。
二十九艇体の最下点付近に、次に掲げる要件に適合するドレン弁が取り付けられていること。
イ救命艇が、船上にあるときは排水するため自動的に開き、かつ、水上にあるときは水の流入を防ぐため自動的に閉じるものであること。
ロ弁を閉じるための栓が取り付けられていること。この場合において、当該栓は、索、鎖等により救命艇に取り付けられていなければならない。
ハ救命艇の内部から容易に近づくことができる場所に取り付けられており、かつ、その場所が明示されていること。
三十次に掲げる要件に適合するかじ及びチラーが取り付けられていること。
イかじは、恒久的に救命艇に取り付けられていること。
ロチラーは、恒久的にだ頭材に取り付けられていること。ただし、救命艇が遠隔操だ装置を有する場合には、当該装置が故障したときにかじを制御できるチラーをだ頭材の近くに備え付けることとすることができる。
ハかじ及びチラーは、離脱装置又はプロペラの作動により破損しないように取り付けられていること。
三十一かじ及びプロペラの周辺を除き、救命艇の喫水線の上方の外周に水中の人がつかまることができる装置又は浮揚性の救命索が取り付けられていること。
三十二小型の艤装品、水及び食糧を格納するための水密の格納箱又は区画室を有すること。
三十三雨水を貯蔵するための装置が備え付けられていること。
三十四次に掲げる要件に適合するつり索の離脱装置が取り付けられていること。
ロつり索にかかる張力によつてフックが解放しない構造のものであること。
ハつり索に張力がかかつていない場合において作動するものであること。
ニつり索に張力がかかつている場合において不時の作動を防止するための安全装置が取り付けられていること。
ホニの安全装置が作用していることが明確に識別できるものであること。
ヘつり索に張力がかかつている場合において、ニの安全装置を解除することができ、かつ、安全装置の解除後は容易に作動するものであること。
ト操作部分は、その周辺と対照的な色で明示されていること。
リ救命艇内の乗組員がつり上げのための準備が完了したことを明確に識別できるものであること。
三十五つり索の離脱装置の操作のための手引書が備え付けられていること。
三十六もやい綱の離脱装置が取り付けられていること。この場合において、当該装置は、当該もやい綱に張力がかかつている場合にも作動することができるものでなければならない。
三十七スケート及び防舷材が取り付けられていること。
三十八分離した空中線を有する固定式双方向無線電話装置が取り付けられる場合には、当該空中線を展張するための装置が取り付けられていること。
三十九転覆した場合に、人が救命艇につかまることができる装置が取り付けられていること。
四十一第十四条第一項の規定により備え付けるコンパスを入れるビナクルを設置するための装置が取り付けられていること。