(近郊緑地保全区域の指定)
第三条国土交通大臣は、近郊緑地のうち、無秩序な市街地化のおそれが大であり、かつ、これを保全することによつて得られる首都及びその周辺の地域の住民の健全な心身の保持及び増進又はこれらの地域における公害若しくは災害の防止の効果が著しい近郊緑地の土地の区域を、近郊緑地保全区域(以下「保全区域」という。)として指定することができる。
2国土交通大臣は、保全区域の指定をしようとするときは、広域的かつ長期的な見地から行なうようにしなければならない。
3国土交通大臣は、保全区域の指定をしようとするときは、関係地方公共団体及び国土審議会の意見を聴くとともに、環境大臣その他関係行政機関の長に協議しなければならない。この場合において、国土交通大臣は、関係地方公共団体から意見の申出を受けたときは、遅滞なくこれに回答するものとする。
4保全区域の指定は、国土交通大臣が官報に告示することによつて、その効力を生ずる。
5前二項の規定は、保全区域の変更について準用する。
(指定の準備のための土地の立入り等)
第六条国土交通大臣は、保全区域の指定の準備のため他人の占有する土地に立ち入つて調査を行なう必要がある場合においては、その必要な限度において、他人の占有する土地に、自ら立ち入り、又はその命じた者若しくは委任した者に立ち入らせることができる。
2前項の規定により他人の占有する土地に立ち入ろうとする者は、立ち入ろうとする日の三日前までに、その旨を土地の占有者に通知しなければならない。
3第一項の規定により、建築物が所在し、又はかき、さく等で囲まれた他人の占有する土地に立ち入ろうとする場合においては、その立ち入ろうとする者は、立入りの際、あらかじめ、その旨を土地の占有者に告げなければならない。
4日出前及び日没後においては、土地の占有者の承諾があつた場合を除き、前項に規定する土地に立ち入つてはならない。
5土地の占有者は、正当な理由がない限り、第一項の規定による立入りを拒み、又は妨げてはならない。
6第一項の規定により他人の占有する土地に立ち入ろうとする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつた場合においては、これを提示しなければならない。
7国は、第一項の規定による行為により他人に損失を与えた場合においては、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償する。
8前項の規定による損失の補償については、国土交通大臣と損失を受けた者が協議しなければならない。
9前項の規定による協議が成立しない場合においては、国土交通大臣又は損失を受けた者は、政令で定めるところにより、収用委員会に土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第九十四条第二項の規定による裁決を申請することができる。
(保全区域における行為の届出)
第七条保全区域(緑地保全地域及び特別緑地保全地区を除く。以下この条及び次条第一項において同じ。)内において、次に掲げる行為をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、都県知事にその旨を届け出なければならない。
二宅地の造成、土地の開墾、土石の採取、鉱物の掘採その他の土地の形質の変更
五前各号に掲げるもののほか、当該近郊緑地の保全に影響を及ぼすおそれのある行為で政令で定めるもの
2都県知事は、前項の届出があつた場合において、当該近郊緑地の保全のため必要があると認めるときは、届出をした者に対して、必要な助言又は勧告をすることができる。
3国の機関は、第一項の規定による届出を要する行為をしようとするときは、あらかじめ、都県知事にその旨を通知しなければならない。
4次に掲げる行為については、前三項の規定は、適用しない。
二次条第一項の規定による管理協定において定められた当該管理協定区域内の近郊緑地の保全に関連して必要とされる施設の整備に関する事項に従つて行う行為
三通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの
四保全区域が指定され、又はその区域が拡張された際既に着手していた行為
六前各号に掲げるもののほか、公益性が特に高いと認められる事業の実施に係る行為のうち当該近郊緑地の保全上著しい支障を及ぼすおそれがないと認められるものであつて、政令で定めるもの
(管理協定の締結等)
第八条地方公共団体又は都市緑地法(昭和四十八年法律第七十二号)第八十一条第一項の規定により指定された緑地保全・緑化推進法人(第十六条第一項第一号に掲げる業務を行うものに限る。)は、保全区域内の近郊緑地の保全のため必要があると認めるときは、当該保全区域内の土地又は木竹の所有者又は使用及び収益を目的とする権利(臨時設備その他一時使用のため設定されたことが明らかなものを除く。)を有する者(以下「土地の所有者等」と総称する。)と次に掲げる事項を定めた協定(以下「管理協定」という。)を締結して、当該土地の区域内の近郊緑地の管理を行うことができる。
一管理協定の目的となる土地の区域(以下「管理協定区域」という。)
二管理協定区域内の近郊緑地の管理の方法に関する事項
三管理協定区域内の近郊緑地の保全に関連して必要とされる施設の整備が必要な場合にあつては、当該施設の整備に関する事項
2管理協定については、管理協定区域内の土地の所有者等の全員の合意がなければならない。
3管理協定の内容は、次の各号に掲げる基準のいずれにも適合するものでなければならない。
一近郊緑地保全計画との調和が保たれたものであること。
二土地及び木竹の利用を不当に制限するものでないこと。
三第一項各号に掲げる事項について国土交通省令で定める基準に適合するものであること。
4地方公共団体は、管理協定に第一項第三号に掲げる事項を定める場合においては、当該事項を、あらかじめ、都県知事(当該土地が地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)の区域内に存する場合にあつては、当該指定都市の長。次項において準用する前条第二項及び第六項において同じ。)に届け出なければならない。ただし、都県が当該都県の区域(指定都市の区域を除く。)内の土地について、又は指定都市が当該指定都市の区域内の土地について管理協定を締結する場合は、この限りでない。
5前条第二項の規定は、前項の届出があつた場合について準用する。
6第一項の緑地保全・緑化推進法人は、管理協定に同項第三号に掲げる事項を定める場合においては、当該事項について、あらかじめ、都県知事と協議しなければならない。
7第一項の緑地保全・緑化推進法人が管理協定を締結するときは、あらかじめ、市町村長の認可を受けなければならない。