(歴史的風土保存計画)
第五条国土交通大臣は、歴史的風土保存区域の指定をしたときは、関係地方公共団体及び社会資本整備審議会の意見を聴くとともに、関係行政機関の長に協議して、当該歴史的風土保存区域について、歴史的風土の保存に関する計画(以下「歴史的風土保存計画」という。)を決定しなければならない。この場合において、国土交通大臣は、関係地方公共団体から意見の申出を受けたときは、遅滞なくこれに回答するものとする。
2歴史的風土保存計画には、次の事項を定めなければならない。
一歴史的風土保存区域内における行為の規制その他歴史的風土の維持保存に関する事項
二歴史的風土保存区域内においてその歴史的風土の保存に関連して必要とされる施設の整備に関する事項
四歴史的風土特別保存地区内の歴史的風土の保存に関する次に掲げる事項
イ歴史的風土特別保存地区内の緑地の有する機能の維持増進を図るために行う事業であつて高度な技術を要するものとして国土交通省令で定めるもの(第十三条第三項第二号及び第十四条第一項第二号において「機能維持増進事業」という。)の実施の方針
3国土交通大臣は、歴史的風土保存計画を決定したときは、これを関係行政機関の長及び関係地方公共団体に送付するとともに、官報で公示しなければならない。
4前三項の規定は、歴史的風土保存計画の変更について準用する。
(特別保存地区内における行為の制限)
第九条特別保存地区内においては、次の各号に掲げる行為は、府県知事の許可を受けなければ、してはならない。ただし、通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの、非常災害のため必要な応急措置として行う行為及び当該特別保存地区に関する都市計画が定められた際既に着手している行為については、この限りでない。
七前各号に掲げるもののほか、歴史的風土の保存に影響を及ぼすおそれのある行為で政令で定めるもの
2府県知事は、前項各号に掲げる行為で政令で定める基準に適合しないものについては、同項の許可をしてはならない。
3前条の法律により、市町村の区域を区分して二以上の特別保存地区が定められたときは、前二項の政令は、その区分の目的に応じてそれぞれ特別保存地区ごとに定めることができる。
4国土交通大臣は、第一項又は第二項の政令の制定又は改廃の立案をするときは、あらかじめ社会資本整備審議会の意見を聴かなければならない。
5第一項の許可には、歴史的風土を保存するため必要な限度において、期限その他の条件を附することができる。
6府県知事は、歴史的風土の保存のため必要があると認めるときは、第一項の規定に違反し、又は前項の規定により許可に附せられた条件に違反した者に対して、その保存のため必要な限度において、原状回復を命じ、又は原状回復が著しく困難である場合に、これに代わるべき必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。この場合において、当該命ぜられた行為を履行しない場合における代執行に関しては、行政代執行法(昭和二十三年法律第四十三号)の定めるところによる。
7前項前段の規定により原状回復又はこれに代わるべき必要な措置(以下この項において「原状回復等」という。)を命じようとする場合において、過失がなくて当該原状回復等を命ずべき者を確知することができないときは、府県知事は、その者の負担において、当該原状回復等を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者にこれを行わせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、当該原状回復等を行うべき旨及びその期限までに当該原状回復等を行わないときは、府県知事又はその命じた者若しくは委任した者が当該原状回復等を行うべき旨をあらかじめ公告しなければならない。
8国の機関が行う行為については、第一項の許可を受けることを要しない。この場合において、当該国の機関は、その行為をするときは、あらかじめ府県知事に協議しなければならない。
(都市緑化支援機構による特定土地保全業務)
第十三条府県は、前条第一項の申出があつた場合において、当該申出に係る土地の規模若しくは形状又は管理の状況、当該府県における同項の規定による買入れのために必要な事務の実施体制その他の事情を勘案して必要があると認めるときは、国土交通省令で定めるところにより、都市緑化支援機構(都市緑地法(昭和四十八年法律第七十二号)第六十九条第一項の規定により指定された都市緑化支援機構をいう。以下この条から第十五条までにおいて同じ。)に対し、当該土地(以下この条及び次条において「対象土地」という。)について、次条第一項各号に掲げる業務(以下この条において「特定土地保全業務」という。)を行うことを要請することができる。
2前項の規定による要請を受けた都市緑化支援機構は、当該要請に係る対象土地が次条第二項の規定により読み替えて適用する都市緑地法第七十一条第二項第一号に規定する基準に該当すると認めるときは、遅滞なく、当該要請をした府県に対し、特定土地保全業務を実施する旨を通知するものとする。
3前項の規定による通知をした都市緑化支援機構及び同項の府県は、当該通知の後速やかに、特定土地保全業務の実施のため、次に掲げる事項をその内容に含む協定(以下この条及び第十五条において「土地保全業務実施協定」という。)を締結するものとする。
一都市緑化支援機構が次条第一項第一号に掲げる業務として行う対象土地の買入れの時期
二都市緑化支援機構が次条第一項第二号に掲げる業務として行う機能維持増進事業の内容及び方法
三都市緑化支援機構が次条第一項第三号に掲げる業務として行う対象土地の管理の内容及び方法
四都市緑化支援機構が第一号の買入れに係る対象土地を保有する期間(当該買入れの日から起算して十年を超えないものに限る。)
五前号の期間内において都市緑化支援機構が次条第一項第四号に掲げる業務として行う府県への対象土地の譲渡の方法及び時期
六都市緑化支援機構による第一号から第三号まで及び前号に規定する業務の実施に要する費用であつて府県が負担すべきものの支払の方法及び時期
4都市緑化支援機構は、土地保全業務実施協定の内容に従つて、前条第一項の申出をした者から対象土地を買い入れるものとする。
5前項の規定による買入れをする場合における対象土地の価額は、時価によるものとし、当該買入れに要した費用は、第二項の府県が、土地保全業務実施協定の内容に従つて負担するものとする。
6前二項に定めるもののほか、都市緑化支援機構は、土地保全業務実施協定の内容に従つて、特定土地保全業務を行わなければならない。
7第五項に定めるもののほか、府県は、土地保全業務実施協定の内容に従つて、第三項第六号に規定する費用を負担するものとする。
(報告、立入調査等)
第十九条府県知事は、歴史的風土の保存のため必要があると認めるときは、その必要な限度において、特別保存地区内の土地の所有者その他の関係者に対して、第九条第一項各号に掲げる行為の実施状況その他必要な事項について報告を求めることができる。
2府県知事は、第九条第一項、第五項又は第六項前段の規定による権限を行うため必要があると認めるときは、その必要な限度において、その職員をして、特別保存地区内の土地に立ち入り、その状況を調査させ、又は同条第一項各号に掲げる行為の実施状況を検査させることができる。
3前項に規定する職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
4第二項の規定による立入調査又は立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。