(趣旨)第一条養護老人ホームに係る老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号。以下「法」という。)第十七条第二項の厚生労働省令で定める基準は、次の各号に掲げる基準に応じ、それぞれ当該各号に定める基準とする。一法第十七条第一項の規定により、同条第二項第一号に掲げる事項について都道府県(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)及び同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市(以下「中核市」という。)にあつては、指定都市又は中核市。以下この条において同じ。)が条例を定めるに当たつて従うべき基準第五条、第六条及び第十二条の規定による基準二法第十七条第一項の規定により、同条第二項第二号に掲げる事項について都道府県が条例を定めるに当たつて従うべき基準第十一条第三項第一号及び第四項第一号ロ並びに附則第二項(第十一条第四項第一号ロに係る部分に限る。)の規定による基準三法第十七条第一項の規定により、同条第二項第三号に掲げる事項について都道府県が条例を定めるに当たつて従うべき基準第十六条第四項から第六項まで、第二十三条の二、第二十四条第二項、第二十六条、第二十九条及び第三十条の規定による基準四法第十七条第一項の規定により、同条第二項第四号に掲げる事項について都道府県が条例を定めるに当たつて標準とすべき基準第十条の規定による基準五法第十七条第一項の規定により、同条第二項各号に掲げる事項以外の事項について都道府県が条例を定めるに当たつて参酌すべき基準この省令に定める基準のうち、前各号に定める基準以外のもの
(基本方針)第二条養護老人ホームは、入所者の処遇に関する計画(以下「処遇計画」という。)に基づき、社会復帰の促進及び自立のために必要な指導及び訓練その他の援助を行うことにより、入所者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにすることを目指すものでなければならない。2養護老人ホームは、入所者の意思及び人格を尊重し、常にその者の立場に立つて処遇を行うように努めなければならない。3養護老人ホームは、明るく家庭的な雰囲気を有し、地域や家庭との結び付きを重視した運営を行い、社会福祉事業に関する熱意及び能力を有する職員による適切な処遇に努めるとともに、市町村(特別区を含む。以下同じ。)、老人の福祉を増進することを目的とする事業を行う者その他の保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との密接な連携に努めなければならない。4養護老人ホームは、入所者の人権の擁護、虐待の防止等のため、必要な体制の整備を行うとともに、その職員に対し、研修を実施する等の措置を講じなければならない。
(職員の資格要件)第五条養護老人ホームの長(以下「施設長」という。)は、社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第十九条第一項各号のいずれかに該当する者若しくは社会福祉事業に二年以上従事した者又はこれらと同等以上の能力を有すると認められる者でなければならない。2生活相談員は、社会福祉法第十九条第一項各号のいずれかに該当する者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者でなければならない。
(運営規程)第七条養護老人ホームは、次に掲げる施設の運営についての重要事項に関する規程を定めておかなければならない。一施設の目的及び運営の方針二職員の職種、数及び職務の内容三入所定員四入所者の処遇の内容五施設の利用に当たつての留意事項六非常災害対策七虐待の防止のための措置に関する事項八その他施設の運営に関する重要事項
(非常災害対策)第八条養護老人ホームは、消火設備その他の非常災害に際して必要な設備を設けるとともに、非常災害に対する具体的計画を立て、非常災害時の関係機関への通報及び連携体制を整備し、それらを定期的に職員に周知しなければならない。2養護老人ホームは、非常災害に備えるため、定期的に避難、救出その他必要な訓練を行なわなければならない。3養護老人ホームは、前項に規定する訓練の実施に当たつて、地域住民の参加が得られるよう連携に努めなければならない。
(記録の整備)第九条養護老人ホームは、設備、職員及び会計に関する諸記録を整備しておかなければならない。2養護老人ホームは、入所者の処遇の状況に関する次の各号に掲げる記録を整備し、その完結の日から二年間保存しなければならない。一処遇計画二行つた具体的な処遇の内容等の記録三第十六条第五項の規定による身体的拘束等の態様及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由の記録四第二十七条第二項の規定による苦情の内容等の記録五第二十九条第三項の規定による事故の状況及び事故に際して採つた処置についての記録
(設備の基準)第十一条養護老人ホームの建物(入所者の日常生活のために使用しない附属の建物を除く。)は、耐火建築物(建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第九号の二に規定する耐火建築物をいう。以下同じ。)又は準耐火建築物(同条第九号の三に規定する準耐火建築物をいう。以下同じ。)でなければならない。2前項の規定にかかわらず、都道府県知事(指定都市及び中核市にあつては、指定都市又は中核市の市長)が、火災予防、消火活動等に関し専門的知識を有する者の意見を聴いて、次の各号のいずれかの要件を満たす木造かつ平屋建ての養護老人ホームの建物であつて、火災に係る入所者の安全性が確保されていると認めたときは、耐火建築物又は準耐火建築物とすることを要しない。一スプリンクラー設備の設置、天井等の内装材等への難燃性の材料の使用、調理室等火災が発生するおそれがある箇所における防火区画の設置等により、初期消火及び延焼の抑制に配慮した構造であること。二非常警報設備の設置等による火災の早期発見及び通報の体制が整備されており、円滑な消火活動が可能なものであること。三避難口の増設、搬送を容易に行うために十分な幅員を有する避難路の確保等により、円滑な避難が可能な構造であり、かつ、避難訓練を頻繁に実施すること、配置人員を増員すること等により、火災の際の円滑な避難が可能なものであること。3養護老人ホームには、次の各号に掲げる設備を設けなければならない。ただし、他の社会福祉施設等の設備を利用することにより、施設の効果的な運営を期待することができる場合であつて、入所者の処遇に支障がないときは、設備の一部を設けないことができる。一居室二静養室三食堂四集会室五浴室六洗面所七便所八医務室九調理室十宿直室十一職員室十二面談室十三洗濯室又は洗濯場十四汚物処理室十五霊安室十六前各号に掲げるもののほか、事務室その他の運営上必要な設備4前項各号に掲げる設備の基準は、次のとおりとする。一居室イ地階に設けてはならないこと。ロ入所者一人当たりの床面積は、十・六五平方メートル以上とすること。ハ一以上の出入口は、避難上有効な空地、廊下又は広間に直接面して設けること。ニ入所者の寝具及び身の回り品を各人別に収納することができる収納設備を設けること。二静養室イ医務室又は職員室に近接して設けること。ロ原則として一階に設け、寝台又はこれに代わる設備を備えること。ハイ及びロに定めるもののほか、前号イ、ハ及びニに定めるところによること。三洗面所居室のある階ごとに設けること。四便所居室のある階ごとに男子用と女子用を別に設けること。五医務室入所者を診療するために必要な医薬品及び医療機器を備えるほか、必要に応じて臨床検査設備を設けること。六調理室火気を使用する部分は、不燃材料を用いること。七職員室居室のある階ごとに居室に近接して設けること。5前各項に規定するもののほか、養護老人ホームの設備の基準は、次に定めるところによる。一廊下の幅は、一・三五メートル以上とすること。ただし、中廊下の幅は、一・八メートル以上とすること。二廊下、便所その他必要な場所に常夜灯を設けること。三階段の傾斜は、ゆるやかにすること。
(職員の配置の基準)第十二条養護老人ホームには、次の各号に掲げる職員を置かなければならない。ただし、特別養護老人ホームに併設する入所定員五十人未満の養護老人ホーム(併設する特別養護老人ホームの栄養士又は管理栄養士との連携を図ることにより当該養護老人ホームの効果的な運営を期待することができ、かつ、入所者の処遇に支障がないものに限る。)にあつては第六号の栄養士又は管理栄養士を、調理業務の全部を委託する養護老人ホームにあつては第七号の調理員を置かないことができる。一施設長一二医師入所者に対し健康管理及び療養上の指導を行うために必要な数三生活相談員イ常勤換算方法で、入所者の数が三十又はその端数を増すごとに一以上とすること。ロ生活相談員のうち入所者の数が百又はその端数を増すごとに一人以上を主任生活相談員とすること。四支援員イ常勤換算方法で、一般入所者(入所者であつて、指定特定施設入居者生活介護(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成十一年厚生省令第三十七号)第百七十四条第一項に規定する指定特定施設入居者生活介護をいう。以下同じ。)、指定地域密着型特定施設入居者生活介護(指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成十八年厚生労働省令第三十四号)第百九条第一項に規定する指定地域密着型特定施設入居者生活介護をいう。以下同じ。)又は指定介護予防特定施設入居者生活介護(指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準(平成十八年厚生労働省令第三十五号)第二百三十条第一項に規定する指定介護予防特定施設入居者生活介護をいう。以下同じ。)の提供を受けていないものをいう。以下同じ。)の数が十五又はその端数を増すごとに一以上とすること。ロ支援員のうち一人を主任支援員とすること。五看護師又は准看護師(以下「看護職員」という。)常勤換算方法で、入所者の数が百又はその端数を増すごとに一以上六栄養士又は管理栄養士一以上七調理員、事務員その他の職員当該養護老人ホームの実情に応じた適当数2前項(第一号、第二号、第六号及び第七号を除く。)の規定にかかわらず、視覚又は聴覚に障害のある入所者の数が入所定員の七割を超える養護老人ホーム(以下この項において「盲養護老人ホーム等」という。)に置くべき生活相談員、支援員及び看護職員については、次の各号に定めるところによる。一生活相談員イ常勤換算方法で、一に、入所者の数が三十又はその端数を増すごとに一を加えて得た数以上とすること。ロ生活相談員のうち入所者の数が百又はその端数を増すごとに一人以上を主任生活相談員とすること。二支援員イ常勤換算方法で、別表の上欄に掲げる一般入所者の数に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる支援員の数以上とすること。ロ支援員のうち一人を主任支援員とすること。三看護職員イ入所者の数が百を超えない盲養護老人ホーム等にあつては、常勤換算方法で、二以上とすること。ロ入所者の数が百を超える盲養護老人ホーム等にあつては、常勤換算方法で、二に、入所者の数が百を超えて百又はその端数を増すごとに一を加えて得た数以上とすること。3前二項の入所者及び一般入所者の数は、前年度の平均値とする。ただし、新規設置又は再開の場合は、推定数による。4第一項、第二項、第七項、第八項及び第十項の常勤換算方法とは、当該職員のそれぞれの勤務延時間数の総数を当該養護老人ホームにおいて常勤の職員が勤務する時間数で除することにより常勤の職員の員数に換算する方法をいう。5第一項第一号の施設長は、専らその職務に従事する常勤の者でなければならない。ただし、当該養護老人ホームの管理上支障がない場合には、他の事業所、施設等の職務に従事することができる。6第一項第二号の規定にかかわらず、サテライト型養護老人ホーム(当該施設を設置しようとする者により設置される当該施設以外の養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院又は病院若しくは診療所であつて当該施設に対する支援機能を有するもの(以下この条において「本体施設」という。)との密接な連携を確保しつつ、本体施設とは別の場所で運営される入所定員が二十九人以下の養護老人ホームをいう。以下この条において同じ。)の医師については、本体施設の医師により当該サテライト型養護老人ホームの入所者の健康管理が適切に行われると認められるときは、これを置かないことができる。7第一項第三号ロ又は第二項第一号ロの主任生活相談員のうち一人以上は、専らその職務に従事する常勤の者でなければならない。ただし、指定特定施設入居者生活介護、指定地域密着型特定施設入居者生活介護又は指定介護予防特定施設入居者生活介護を行う養護老人ホームであつて、入所者の処遇に支障がない場合には、当該養護老人ホームが行う当該事業に係る他の職務に従事することができ、第一項第三号ロの主任生活相談員については、サテライト型養護老人ホームにあつては、常勤換算方法で、一以上とする。8指定特定施設入居者生活介護、指定地域密着型特定施設入居者生活介護又は指定介護予防特定施設入居者生活介護を行う養護老人ホームに置くべき生活相談員の数については、第一項第三号又は第二項第一号に定める生活相談員の数から、常勤換算方法で、一を減じた数とすることができる。9第一項第四号ロ又は第二項第二号ロの主任支援員は、常勤の者でなければならない。10第一項第五号又は第二項第三号の看護職員のうち一人以上は、常勤の者でなければならない。ただし、第一項第五号の看護職員については、サテライト型養護老人ホーム又は指定特定施設入居者生活介護(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準第百九十二条の二に規定する外部サービス利用型指定特定施設入居者生活介護を除く。)、指定地域密着型特定施設入居者生活介護若しくは指定介護予防特定施設入居者生活介護(指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準第二百五十三条に規定する外部サービス利用型指定介護予防特定施設入居者生活介護を除く。)を行う養護老人ホームにあつては、常勤換算方法で、一以上とする。11夜間及び深夜の時間帯を通じて一以上の職員に宿直勤務又は夜間及び深夜の勤務(宿直勤務を除く。)を行わせなければならない。12第一項第三号、第六号及び第七号の規定にかかわらず、サテライト型養護老人ホームの生活相談員、栄養士若しくは管理栄養士又は調理員、事務員その他の職員については、次に掲げる本体施設の場合には、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める職員により当該サテライト型養護老人ホームの入所者の処遇が適切に行われていると認められるときは、これを置かないことができる。一養護老人ホーム生活相談員、栄養士若しくは管理栄養士又は調理員、事務員その他の職員二介護老人保健施設支援相談員、栄養士若しくは管理栄養士又は調理員、事務員その他の従業者三介護医療院栄養士若しくは管理栄養士又は調理員、事務員その他の従業者四病院栄養士又は管理栄養士(病床数百以上の病院の場合に限る。)五診療所事務員その他の従業者
(入退所)第十四条養護老人ホームは、入所予定者の入所に際しては、その者の心身の状況、生活歴、病歴等の把握に努めなければならない。2養護老人ホームは、入所者の心身の状況、その置かれている環境等に照らし、その者が居宅において日常生活を営むことができるかどうかについて常に配慮しなければならない。3養護老人ホームは、その心身の状況、その置かれている環境等に照らし、居宅において日常生活を営むことができると認められる入所者に対し、その者及びその家族の希望、その者が退所後に置かれることとなる生活環境等を勘案し、その者の円滑な退所のために必要な援助に努めなければならない。4養護老人ホームは、入所者の退所に際しては、保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との密接な連携に努めなければならない。5養護老人ホームは、入所者の退所後も、必要に応じ、当該入所者及びその家族等に対する相談援助を行うとともに、適切な援助に努めなければならない。
(処遇計画)第十五条養護老人ホームの施設長は、生活相談員に処遇計画の作成に関する業務を担当させるものとする。2生活相談員は、入所者について、その心身の状況、その置かれている環境、その者及びその家族の希望等を勘案し、他の職員と協議の上、その者の処遇計画を作成しなければならない。3生活相談員は、処遇計画について、入所者の処遇の状況等を勘案し、必要な見直しを行わなければならない。
(処遇の方針)第十六条養護老人ホームは、入所者について、その者が有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように、その心身の状況等に応じて、社会復帰の促進及び自立のために必要な指導及び訓練その他の援助を妥当適切に行わなければならない。2入所者の処遇は、処遇計画に基づき、漫然かつ画一的なものとならないよう配慮して、行わなければならない。3養護老人ホームの職員は、入所者の処遇に当たつては、懇切丁寧に行うことを旨とし、入所者又はその家族に対し、処遇上必要な事項について、理解しやすいように説明を行わなければならない。4養護老人ホームは、入所者の処遇に当たつては、当該入所者又は他の入所者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他入所者の行動を制限する行為(以下「身体的拘束等」という。)を行つてはならない。5養護老人ホームは、身体的拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならない。6養護老人ホームは、身体的拘束等の適正化を図るため、次に掲げる措置を講じなければならない。一身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置その他の情報通信機器(以下「テレビ電話装置等」という。)を活用して行うことができるものとする。)を三月に一回以上開催するとともに、その結果について、支援員その他の従業者に周知徹底を図ること。二身体的拘束等の適正化のための指針を整備すること。三支援員その他の従業者に対し、身体的拘束等の適正化のための研修を定期的に実施すること。
(生活相談等)第十八条養護老人ホームは、常に入所者の心身の状況、その置かれている環境等の的確な把握に努め、入所者又はその家族に対し、その相談に適切に応じるとともに、必要な助言その他の援助を行わなければならない。2養護老人ホームは、入所者に対し、処遇計画に基づき、自立した日常生活を営むために必要な指導及び訓練その他の援助を行わなければならない。3養護老人ホームは、要介護認定(介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第十九条第一項に規定する要介護認定をいう。)の申請等、入所者が日常生活を営むのに必要な行政機関等に対する手続について、その者又はその家族において行うことが困難である場合は、当該入所者の意思を踏まえて速やかに必要な支援を行わなければならない。4養護老人ホームは、常に入所者の家族との連携を図るとともに、入所者とその家族との交流等の機会を確保するよう努めなければならない。5養護老人ホームは、入所者の外出の機会を確保するよう努めなければならない。6養護老人ホームは、入所者に対し、退所後の地域における生活を念頭に置きつつ、自立的な生活に必要な援助を適切に行わなければならない。7養護老人ホームは、一週間に二回以上、入所者を入浴させ、又は清しきしなければならない。8養護老人ホームは、教養娯楽設備等を備えるほか、適宜レクリエーシヨン行事を行わなければならない。
(居宅サービス等の利用)第十九条養護老人ホームは、入所者が要介護状態等(介護保険法第二条第一項に規定する要介護状態等をいう。)となつた場合には、その心身の状況、置かれている環境等に応じ、適切に居宅サービス等(同法第二十三条に規定する居宅サービス等をいう。以下同じ。)を受けることができるよう、必要な措置を講じなければならない。
(施設長の責務)第二十一条養護老人ホームの施設長は、養護老人ホームの職員の管理、業務の実施状況の把握その他の管理を一元的に行わなければならない。2養護老人ホームの施設長は、職員に第七条から第九条まで、第十四条から前条まで及び次条から第三十条までの規定を遵守させるために必要な指揮命令を行うものとする。
(生活相談員の責務)第二十二条生活相談員は、処遇計画を作成し、それに沿つた支援が行われるよう必要な調整を行うほか、次に掲げる業務を行わなければならない。一入所者の居宅サービス等の利用に際し、介護保険法第八条第二十四項に規定する居宅サービス計画又は同法第八条の二第十六項に規定する介護予防サービス計画の作成等に資するため、同法第八条第二十四項に規定する居宅介護支援事業又は同法第八条の二第十六項に規定する介護予防支援事業を行う者と密接な連携を図るほか、居宅サービス等その他の保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との連携に努めること。二第二十七条第二項に規定する苦情の内容等の記録を行うこと。三第二十九条第三項に規定する事故の状況及び事故に際して採つた措置についての記録を行うこと。2主任生活相談員は、前項に規定する業務のほか、養護老人ホームへの入所に際しての調整、他の生活相談員に対する技術指導等の内容の管理を行うものとする。3指定特定施設入居者生活介護、指定地域密着型特定施設入居者生活介護又は指定介護予防特定施設入居者生活介護を行う養護老人ホームであつて、第十二条第一項第三号の規定に基づく生活相談員を置いていない場合にあつては、主任支援員が前二項に掲げる業務を行うものとする。
(勤務体制の確保等)第二十三条養護老人ホームは、入所者に対し、適切な処遇を行うことができるよう、職員の勤務の体制を定めておかなければならない。2前項の職員の勤務体制を定めるに当たつては、入所者が安心して日常生活を送るために継続性を重視した処遇を行うことができるよう配慮しなければならない。3養護老人ホームは、職員に対し、その資質の向上のための研修の機会を確保しなければならない。その際、当該養護老人ホームは、全ての職員(看護師、准看護師、介護福祉士、介護支援専門員、介護保険法第八条第二項に規定する政令で定める者等の資格を有する者その他これに類する者を除く。)に対し、認知症介護に係る基礎的な研修を受講させるために必要な措置を講じなければならない。4養護老人ホームは、適切なサービスの提供を確保する観点から、職場において行われる性的な言動又は優越的な関係を背景とした言動であつて業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより職員の就業環境が害されることを防止するための方針の明確化等の必要な措置を講じなければならない。
(業務継続計画の策定等)第二十三条の二養護老人ホームは、感染症や非常災害の発生時において、入所者に対する処遇を継続的に行うための、及び非常時の体制で早期の業務再開を図るための計画(以下「業務継続計画」という。)を策定し、当該業務継続計画に従い必要な措置を講じなければならない。2養護老人ホームは、職員に対し、業務継続計画について周知するとともに、必要な研修及び訓練を定期的に実施しなければならない。3養護老人ホームは、定期的に業務継続計画の見直しを行い、必要に応じて業務継続計画の変更を行うものとする。
(衛生管理等)第二十四条養護老人ホームは、入所者の使用する食器その他の設備又は飲用に供する水について、衛生的な管理に努め、又は衛生上必要な措置を講ずるとともに、医薬品及び医療機器の管理を適正に行わなければならない。2養護老人ホームは、当該養護老人ホームにおいて感染症又は食中毒が発生し、又はまん延しないように、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。一当該養護老人ホームにおける感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。)をおおむね三月に一回以上開催するとともに、その結果について、支援員その他の職員に周知徹底を図ること。二当該養護老人ホームにおける感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための指針を整備すること。三当該養護老人ホームにおいて、支援員その他の職員に対し、感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための研修並びに感染症の予防及びまん延の防止のための訓練を定期的に実施すること。四前三号に掲げるもののほか、別に厚生労働大臣が定める感染症又は食中毒の発生が疑われる際の対処等に関する手順に沿つた対応を行うこと。
(協力医療機関等)第二十五条養護老人ホームは、入所者の病状の急変等に備えるため、あらかじめ、次の各号に掲げる要件を満たす協力医療機関(第三号の要件を満たす協力医療機関にあつては、病院に限る。)を定めておかなければならない。ただし、複数の医療機関を協力医療機関として定めることにより当該各号の要件を満たすこととしても差し支えない。一入所者の病状が急変した場合等において医師又は看護職員が相談対応を行う体制を、常時確保していること。二当該養護老人ホームからの診療の求めがあつた場合において診療を行う体制を、常時確保していること。三入所者の病状が急変した場合等において、当該養護老人ホームの医師又は協力医療機関その他の医療機関の医師が診療を行い、入院を要すると認められた入所者の入院を原則として受け入れる体制を確保していること。2養護老人ホームは、一年に一回以上、協力医療機関との間で、入所者の病状が急変した場合等の対応を確認するとともに、協力医療機関の名称等を、都道府県知事に届け出なければならない。3養護老人ホームは、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)第六条第十七項に規定する第二種協定指定医療機関(次項において「第二種協定指定医療機関」という。)との間で、新興感染症(同条第七項に規定する新型インフルエンザ等感染症、同条第八項に規定する指定感染症又は同条第九項に規定する新感染症をいう。次項において同じ。)の発生時等の対応を取り決めるように努めなければならない。4養護老人ホームは、協力医療機関が第二種協定指定医療機関である場合においては、当該第二種協定指定医療機関との間で、新興感染症の発生時等の対応について協議を行わなければならない。5養護老人ホームは、入所者が協力医療機関その他の医療機関に入院した後に、当該入所者の病状が軽快し、退院が可能となつた場合においては、再び当該養護老人ホームに速やかに入所させることができるように努めなければならない。6養護老人ホームは、あらかじめ、協力歯科医療機関を定めておくよう努めなければならない。
(秘密保持等)第二十六条養護老人ホームの職員は、正当な理由がなく、その業務上知り得た入所者又はその家族の秘密を漏らしてはならない。2養護老人ホームは、職員であつた者が、正当な理由がなく、その業務上知り得た入所者又はその家族の秘密を漏らすことがないよう、必要な措置を講じなければならない。
(苦情への対応)第二十七条養護老人ホームは、その行つた処遇に関する入所者及びその家族からの苦情に迅速かつ適切に対応するために、苦情を受け付けるための窓口を設置する等の必要な措置を講じなければならない。2養護老人ホームは、前項の苦情を受け付けた場合には、当該苦情の内容等を記録しなければならない。3養護老人ホームは、その行つた処遇に関し、市町村から指導又は助言を受けた場合は、当該指導又は助言に従つて必要な改善を行わなければならない。4養護老人ホームは、市町村からの求めがあつた場合には、前項の改善の内容を市町村に報告しなければならない。5養護老人ホームは、社会福祉法第八十三条に規定する運営適正化委員会が行う同法第八十五条第一項の規定による調査にできる限り協力しなければならない。
(地域との連携等)第二十八条養護老人ホームは、その運営に当たつては、地域住民又はその自発的な活動等との連携及び協力を行う等の地域との交流を図らなければならない。2養護老人ホームは、その運営に当たつては、その措置に関する入所者からの苦情に関して、市町村等が派遣する者が相談及び援助を行う事業その他の市町村が実施する事業に協力するよう努めなければならない。
(事故発生の防止及び発生時の対応)第二十九条養護老人ホームは、事故の発生又はその再発を防止するため、次の各号に定める措置を講じなければならない。一事故が発生した場合の対応、次号に規定する報告の方法等が記載された事故発生の防止のための指針を整備すること。二事故が発生した場合又はそれに至る危険性がある事態が生じた場合に、当該事実が報告され、その分析を通した改善策について、職員に周知徹底する体制を整備すること。三事故発生の防止のための委員会(テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。)及び支援員その他の職員に対する研修を定期的に行うこと。四前三号に掲げる措置を適切に実施するための担当者を置くこと。2養護老人ホームは、入所者に対する処遇により事故が発生した場合は、速やかに市町村、入所者の家族等に連絡を行うとともに、必要な措置を講じなければならない。3養護老人ホームは、前項の事故の状況及び事故に際して採つた処置について記録しなければならない。4養護老人ホームは、入所者に対する処遇により賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行わなければならない。
(虐待の防止)第三十条養護老人ホームは、虐待の発生又はその再発を防止するため、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。一当該養護老人ホームにおける虐待の防止のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。)を定期的に開催するとともに、その結果について、職員に周知徹底を図ること。二当該養護老人ホームにおける虐待の防止のための指針を整備すること。三当該養護老人ホームにおいて、職員に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施すること。四前三号に掲げる措置を適切に実施するための担当者を置くこと。
(電磁的記録等)第三十一条養護老人ホーム及びその職員は、作成、保存その他これらに類するもののうち、この省令の規定において書面(書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人の知覚によつて認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下この条において同じ。)で行うことが規定されている又は想定されるものについては、書面に代えて、当該書面に係る電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)により行うことができる。
(養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準の一部改正に伴う経過措置)第四条この省令の施行の際現に存する養護老人ホーム及び特別養護老人ホームについては、この省令による改正後の養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(以下「設備運営基準」という。)第十一条第二項第十五号及び第十八条第二項第十六号の規定は、当分の間適用しない。2この省令の施行の際現に存する養護老人ホーム及び特別養護老人ホームについては、設備運営基準第十三条及び第二十条の規定にかかわらず、なお従前の例による。
(経過措置)第二条この省令の施行の際現に存する養護老人ホーム(建築中のものを含む。)に係る居室及び居室の定員については、この省令による改正後の養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(以下「新基準」という。)第十一条第四項第一号ロ及び第十三条の規定にかかわらず、なお従前の例による。
(施行期日)第一条この省令は、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(以下「整備法」という。)附則第一条第六号に掲げる施行の日(平成二十八年四月一日)から施行する。
(認知症に係る基礎的な研修の受講に関する経過措置)第五条この省令の施行の日から令和六年三月三十一日までの間、新居宅サービス等基準第五十三条の二第三項(新居宅サービス等基準第五十八条において準用する場合を含む。)、第百一条第三項(新居宅サービス等基準第百五条の三、第百九条、第百十九条、第百四十条、第百四十条の十五、第百四十条の三十二及び第百五十五条において準用する場合を含む。)、第百四十条の十一の二第四項、第百五十五条の十の二第四項及び第百九十条第四項(新居宅サービス等基準第百九十二条の十二において準用する場合を含む。)、新地域密着型サービス基準第三十条第三項(新地域密着型サービス基準第三十七条の三、第四十条の十六、第六十一条、第八十八条及び第百八十二条において準用する場合を含む。)、第百三条第三項、第百二十六条第四項、第百四十九条第三項及び第百六十七条第四項、新介護予防サービス等基準第五十三条の二第三項(新介護予防サービス等基準第六十一条において準用する場合を含む。)、第百二十条の二第三項(新介護予防サービス等基準第百四十二条、第百六十六条、第百八十五条及び第百九十五条において準用する場合を含む。)、第百五十七条第四項、第二百八条第四項及び第二百四十一条第四項(新介護予防サービス等基準第二百六十二条において準用する場合を含む。)、新地域密着型介護予防サービス基準第二十八条第三項(新地域密着型介護予防サービス基準第六十四条において準用する場合を含む。)及び第八十条第三項、新養護老人ホーム基準第二十三条第三項、新指定介護老人福祉施設基準第二十四条第三項及び第四十七条第四項、新介護老人保健施設基準第二十六条第三項及び第四十八条第四項、新介護療養型医療施設基準第二十五条第三項及び第四十八条第四項、新特別養護老人ホーム基準第二十四条第三項(新特別養護老人ホーム基準第五十九条において準用する場合を含む。)及び第四十条第四項(新特別養護老人ホーム基準第六十三条において準用する場合を含む。)、新軽費老人ホーム基準第二十四条第三項(新軽費老人ホーム基準第三十九条、附則第十条及び附則第十七条において準用する場合を含む。)並びに新介護医療院基準第三十条第三項及び第五十二条第四項の規定の適用については、これらの規定中「講じなければ」とあるのは「講じるよう努めなければ」とする。
(事故発生の防止及び発生時の対応に係る経過措置)第十条この省令の施行の日から起算して六月を経過する日までの間、新地域密着型サービス基準第百五十五条第一項(新地域密着型サービス基準第百六十九条において準用する場合を含む。)、新養護老人ホーム基準第二十九条第一項、新指定介護老人福祉施設基準第三十五条第一項(新指定介護老人福祉施設基準第四十九条において準用する場合を含む。)、新介護老人保健施設基準第三十六条第一項(新介護老人保健施設基準第五十条において準用する場合を含む。)、新介護療養型医療施設基準第三十四条第一項(新介護療養型医療施設基準第五十条において準用する場合を含む。)、新特別養護老人ホーム基準第三十一条第一項(新特別養護老人ホーム基準第四十二条、第五十九条及び第六十三条において準用する場合を含む。)、新軽費老人ホーム基準第三十三条第一項(新軽費老人ホーム基準第三十九条、附則第十条及び附則第十七条において準用する場合を含む。)並びに新介護医療院基準第四十条第一項(新介護医療院基準第五十四条において準用する場合を含む。)の規定の適用については、これらの規定中「次の各号に定める措置を講じなければ」とあるのは「次の第一号から第三号までに定める措置を講じるとともに、次の第四号に定める措置を講じるよう努めなければ」とする。
(介護保険施設等における感染症の予防及びまん延の防止のための訓練に係る経過措置)第十一条この省令の施行の日から令和六年三月三十一日までの間、新地域密着型サービス基準第百五十一条第二項第三号(新地域密着型サービス基準第百六十九条において準用する場合を含む。)、新養護老人ホーム基準第二十四条第二項第三号、新指定介護老人福祉施設基準第二十七条第二項第三号(新指定介護老人福祉施設基準第四十九条において準用する場合を含む。)、新介護老人保健施設基準第二十九条第二項第三号(新介護老人保健施設基準第五十条において準用する場合を含む。)、新介護療養型医療施設基準第二十八条第二項第三号(新介護療養型医療施設基準第五十条において準用する場合を含む。)、新特別養護老人ホーム基準第二十六条第二項第三号(新特別養護老人ホーム基準第四十二条、第五十九条及び第六十三条において準用する場合を含む。)、新軽費老人ホーム基準第二十六条第二項第三号(新軽費老人ホーム基準第三十九条、附則第十条及び附則第十七条において準用する場合を含む。)及び新介護医療院基準第三十三条第二項第三号(新介護医療院基準第五十四条において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、指定地域密着型介護老人福祉施設、養護老人ホーム、指定介護老人福祉施設、介護老人保健施設、指定介護療養型医療施設、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム及び介護医療院は、その従業者又は職員に対し、感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための研修を定期的に実施するとともに、感染症の予防及びまん延の防止のための訓練を定期的に実施するよう努めるものとする。
(協力医療機関との連携に関する経過措置)第六条この省令の施行の日から令和九年三月三十一日までの間は、新地域密着型サービス基準第百五十二条第一項(新地域密着型サービス基準第百六十九条において準用する場合を含む。)、第九条の規定による改正後の養護老人ホームの設備及び運営に関する基準第二十五条第一項、新指定介護老人福祉施設基準第二十八条第一項(新指定介護老人福祉施設基準第四十九条において準用する場合を含む。)、新介護老人保健施設基準第三十条第一項(新介護老人保健施設基準第五十条において準用する場合を含む。)、新特別養護老人ホーム基準第二十七条第一項(新特別養護老人ホーム基準第四十二条、第五十九条及び第六十三条において準用する場合を含む。)及び新介護医療院基準第三十四条第一項(新介護医療院基準第五十四条において準用する場合を含む。)の規定の適用については、これらの規定中「定めておかなければ」とあるのは、「定めておくよう努めなければ」とする。