(業務及び財産の管理を命ずる処分)
第八十三条都道府県知事(この項に規定する処分に係る農水産業協同組合が主務大臣の監督に係るものであるときは、主務大臣。次項、第四項(次条第二項において準用する場合を含む。)、第五項、同条第一項、第八十五条第二項から第四項まで、第八十七条第一項(同条第三項において準用する場合を含む。)、第八十八条、第九十二条第一項及び第九十六条において同じ。)は、農水産業協同組合がその財産をもつて債務を完済することができないと認める場合又は農水産業協同組合がその業務若しくは財産の状況に照らし貯金等の払戻しを停止するおそれがあると認める場合若しくは農水産業協同組合が貯金等の払戻しを停止した場合であつて、次に掲げる要件のいずれかに該当すると認めるときは、当該農水産業協同組合に対し、管理人による業務及び財産の管理を命ずる処分(以下「管理を命ずる処分」という。)をすることができる。
一当該農水産業協同組合の業務(第二条第一項第一号、第三号及び第五号に掲げる者にあつては、信用事業に係るものに限る。次号において同じ。)の運営が著しく不適切であること。
二当該農水産業協同組合について、合併等が行われることなく、その業務の全部の廃止又は解散が行われる場合には、当該農水産業協同組合が業務を行つている地域又は分野における資金の円滑な需給及び利用者の利便に大きな支障が生ずるおそれがあること。
2都道府県知事は、農水産業協同組合からその財産をもつて債務を完済することができない事態が生ずるおそれがあると認める旨の申出があつた場合において、当該事態が生ずるおそれがあり、かつ、前項各号に掲げる要件のいずれかに該当すると認めるときは、当該農水産業協同組合に対し、管理を命ずる処分をすることができる。
3前二項の規定による管理を命ずる処分があつた場合におけるこの法律の適用については、当該管理を命ずる処分を受けた農水産業協同組合(第二条第一項第一号、第三号及び第五号に掲げる者にあつては主として信用事業に係る業務に起因して経営が困難となつたものに限り、経営困難農水産業協同組合を除く。)は、経営困難農水産業協同組合とみなす。
4都道府県知事は、管理を命ずる処分をしたときは、官報により、これを公告しなければならない。
5農水産業協同組合は、その財産をもつて債務を完済することができないとき又はその業務若しくは財産の状況に照らし貯金等の払戻しを停止するおそれがあるときは、その旨及びその理由を、文書をもつて都道府県知事に申し出なければならない。
(管理人の選任等)
第八十五条管理を命ずる処分があつたときは、被管理農水産業協同組合を代表し、業務の執行並びに財産の管理及び処分を行う権利は、管理人に専属する。農業協同組合法第六十三条の二及び水産業協同組合法第六十七条の二(同法第九十二条第四項、第九十六条第四項及び第百条第四項において準用する場合を含む。)において準用する会社法(平成十七年法律第八十六号)第八百二十八条第一項(第一号に係る部分に限る。)及び第二項(第一号に係る部分に限る。)の規定、農業協同組合法第五十条第三項(同法第五十条の二第四項及び第五十条の四第四項において準用する場合を含む。)、水産業協同組合法第五十四条第三項(同法第五十四条の二第六項(同法第九十二条第三項、第九十六条第三項及び第百条第三項において準用する場合を含む。)、第五十四条の四第三項(同法第九十六条第三項において準用する場合を含む。)、第九十二条第三項、第九十六条第三項及び第百条第三項において準用する場合を含む。)、再編強化法第三十条及び農林中央金庫法第五十三条第三項において準用する会社法第八百二十八条第一項(第五号に係る部分に限る。)及び第二項(第五号に係る部分に限る。)の規定、農業協同組合法第六十九条、水産業協同組合法第七十三条(同法第九十二条第五項、第九十六条第五項及び第百条第五項において準用する場合を含む。)及び再編強化法第二十二条第一項において準用する会社法第八百二十八条第一項(第七号及び第八号に係る部分に限る。)及び第二項(第七号及び第八号に係る部分に限る。)の規定並びに農業協同組合法第四十七条、水産業協同組合法第五十一条(同法第九十二条第三項、第九十六条第三項及び第百条第三項において準用する場合を含む。)及び農林中央金庫法第五十条において準用する会社法第八百三十一条の規定による理事(農業協同組合、農業協同組合連合会、漁業協同組合、漁業協同組合連合会及び農林中央金庫の経営管理委員を含む。第九十四条第四項を除き、以下この章において同じ。)の権利についても、同様とする。
2都道府県知事は、管理を命ずる処分と同時に、一人又は数人の管理人を選任しなければならない。
3都道府県知事は、必要があると認めるときは、前項の規定により管理人を選任した後においても、更に管理人を選任し、又は管理人が被管理農水産業協同組合の業務及び財産の管理を適切に行つていないと認めるときは、管理人を解任することができる。
4都道府県知事は、前二項の規定により管理人を選任したとき又は前項の規定により管理人を解任したときは、被管理農水産業協同組合にその旨を通知するとともに、官報により、これを公告しなければならない。
5民事再生法第六十条、第六十一条第一項、第七十条及び第七十一条の規定は管理人について、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第七十八条の規定は被管理農水産業協同組合について、それぞれ準用する。この場合において、民事再生法第六十一条第一項中「裁判所」とあるのは「都道府県知事(当該管理人の管理に係る農水産業協同組合が主務大臣の監督に係るものである場合にあつては、主務大臣。以下同じ。)」と、同法第七十条第一項ただし書中「裁判所の許可を得て、それぞれ単独にその職務を行い、又は」とあるのは「都道府県知事の承認を得て、」と、同法第七十一条第一項中「管財人代理」とあるのは「管理人代理」と、同条第二項中「裁判所の許可」とあるのは「都道府県知事の承認」と、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第七十八条中「代表理事その他の代表者」とあるのは「管理人」と読み替えるものとする。
(管理人等となることができる法人)
第八十六条法人は、管理人又は管理人代理となることができる。
2機構は、管理人又は管理人代理となり、その業務を行うことができる。
3水産業協同組合法第八十七条第一項第十一号の事業を行う漁業協同組合連合会は、同項及び同条第八項に規定する事業を行うほか、管理人又は管理人代理となり、その業務を行うことができる。
4水産業協同組合法第九十七条第一項第七号の事業を行う水産加工業協同組合連合会は、同項に規定する事業を行うほか、管理人又は管理人代理となり、その業務を行うことができる。
(総会等の特別決議に関する特例)
第九十三条被管理農水産業協同組合における農業協同組合法第四十六条(同法第四十八条第七項及び再編強化法第九条第四項(再編強化法第二十五条第二項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)、水産業協同組合法第五十条(同法第五十二条第六項(同法第九十二条第三項、第九十六条第三項及び第百条第三項において準用する場合を含む。)、第九十二条第三項、第九十六条第三項及び第百条第三項並びに再編強化法第九条第四項(再編強化法第二十五条第二項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)及び農林中央金庫法第四十九条第一項(同法第五十一条第二項において準用する場合を含む。)の規定による決議は、これらの規定にかかわらず、出席した組合員若しくは会員又は総代(次項において「組合員等」という。)の議決権の三分の二以上に当たる多数をもつて、仮にすることができる。
2前項の規定により仮にした決議(以下この条において「仮決議」という。)があつた場合においては、各組合員等に対し、当該仮決議の趣旨を通知し、当該仮決議の日から一月以内に再度の総会又は総代会を招集しなければならない。
3前項の総会又は総代会において第一項に規定する多数をもつて仮決議を承認した場合には、当該承認のあつた時に、当該仮決議をした事項に係る決議があつたものとみなす。
(総会の特別決議に代わる許可)
第九十四条被管理農水産業協同組合がその財産をもつて債務を完済することができない場合には、当該被管理農水産業協同組合は、農業協同組合法第四十六条(再編強化法第二十五条第二項において準用する再編強化法第九条第四項において準用する場合を含む。)及び第五十条の二第一項の規定、水産業協同組合法第五十条(同法第九十二条第三項、第九十六条第三項及び第百条第三項並びに再編強化法第二十五条第二項において準用する再編強化法第九条第四項において準用する場合を含む。)及び第五十四条の二第一項(同法第九十二条第三項、第九十六条第三項及び第百条第三項において準用する場合を含む。)の規定、再編強化法第二十六条第三項において準用する農業協同組合法第四十五条第一項及び水産業協同組合法第四十九条第一項(同法第九十二条第三項、第九十六条第三項及び第百条第三項において準用する場合を含む。)の規定並びに農林中央金庫法第四十九条第一項の規定にかかわらず、裁判所の許可を得て、次に掲げる事項(第二条第一項第一号、第三号又は第五号に掲げる者にあつては、第二号に掲げる事項に限る。)を行うことができる。
2管理人は、農業協同組合法第三十四条第七項から第九項まで、同法第三十七条の三第一項において準用する会社法第三百三十九条及び農業協同組合法第三十八条、水産業協同組合法第三十八条第七項から第九項まで(これらの規定を同法第九十二条第三項において準用する場合を含む。)、同法第四十一条の三第一項(同法第九十二条第三項、第九十六条第三項及び第百条第三項において準用する場合を含む。)において準用する会社法第三百三十九条及び水産業協同組合法第四十二条(同法第九十二条第三項、第九十六条第三項及び第百条第三項において準用する場合を含む。)並びに農林中央金庫法第三十八条及び第三十八条の二第一項の規定にかかわらず、裁判所の許可を得て、被管理農水産業協同組合の理事又は監事を解任することができる。
3前項の規定により被管理農水産業協同組合の理事又は監事を解任しようとする場合において、解任により法律又は定款に定めた理事又は監事の員数を欠くこととなるときは、管理人は、農業協同組合法第三十条第四項及び第十項、第三十条の二第六項並びに同法第三十七条の三第一項において準用する会社法第三百二十九条第一項、水産業協同組合法第三十四条第四項及び第九項(これらの規定を同法第九十二条第三項、第九十六条第三項及び第百条第三項において準用する場合を含む。)、同法第三十四条の二第五項(同法第九十二条第三項において準用する場合を含む。)並びに同法第四十一条の三第一項(同法第九十二条第三項、第九十六条第三項及び第百条第三項において準用する場合を含む。)において準用する会社法第三百二十九条第一項並びに農林中央金庫法第二十二条第一項、第二十三条第一項、第二十四条第一項及び第二十四条の二第一項の規定にかかわらず、裁判所の許可を得て、被管理農水産業協同組合の理事又は監事を選任することができる。この場合には、農業協同組合法第三十条第十一項から第十四項まで、水産業協同組合法第三十四条第十項(同法第九十二条第三項、第九十六条第三項及び第百条第三項において準用する場合を含む。)、第十一項、第十二項及び第十三項(同法第九十二条第三項、第九十六条第三項及び第百条第三項において準用する場合を含む。)並びに農林中央金庫法第二十四条第三項の規定は、適用しない。
4前項の規定により選任された被管理農水産業協同組合の理事(当該被管理農水産業協同組合が農業協同組合法第三十条の二第五項に規定する経営管理委員設置組合若しくは水産業協同組合法第三十四条の二第四項(同法第九十二条第三項において準用する場合を含む。)に規定する経営管理委員設置組合(以下この項において「経営管理委員設置組合」と総称する。)又は農林中央金庫である場合にあつては、経営管理委員)及び監事はその管理人による管理の終了後最初に招集される通常総会(総代会を設けている場合において、その総代会で役員の選任をすることができるときは、通常総代会)の終結の時に、理事(当該被管理農水産業協同組合が経営管理委員設置組合又は農林中央金庫である場合に限る。)は当該通常総会が終結した後最初に招集される経営管理委員会の終結の時に退任する。
5第一項から第三項までに規定する許可(以下この条及び次条において「代替許可」という。)があつたときは、当該代替許可に係る事項について総会若しくは総代会又は経営管理委員会の決議があつたものとみなす。
6代替許可に係る事件は、当該被管理農水産業協同組合の主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。
7裁判所は、代替許可の決定をしたときは、その決定書を被管理農水産業協同組合に送達するとともに、その決定の要旨を公告しなければならない。
9代替許可の決定は、第七項の規定による被管理農水産業協同組合に対する送達がされた時から、効力を生ずる。
10代替許可の決定に対しては、組合員又は会員は、第七項の公告のあつた日から二週間の不変期間内に、即時抗告をすることができる。この場合において、当該即時抗告が解散に係る代替許可の決定に対するものであるときは、執行停止の効力を有する。
11非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第五条、第六条、第七条第二項、第四十条、第四十一条、第五十六条第二項並びに第六十六条第一項及び第二項の規定は、代替許可に係る事件については、適用しない。