(定義)
第二条この法律において「船舶製造事業者」とは、船舶製造業を営む者をいう。
2この法律において「外国船舶製造事業者」とは、我が国以外の協定の締約国(第五項において「締約国」という。)において船舶製造業を営む者をいう。
3この法律において「本邦法人等」とは、本邦の法令に基づいて設立された法人その他の団体又は日本の国籍を有する者をいう。
4この法律において「外国子会社」とは、外国の法令に基づいて設立された法人その他の団体であって一の本邦法人等がその株式又は持分の百分の五十を超える株式又は持分を所有しているものその他本邦法人等と特別の関係にあるものとして国土交通省令で定めるものをいう。
5この法律において「廉価建造契約」とは、外国船舶製造事業者が、推進機関を備える総トン数百トン以上の船舶(船舶その他の物件を引くための構造を有する船舶にあっては、出力三百六十五キロワット以上の推進機関を備えるもの)について締結する次に掲げる建造契約であって、当該建造契約において定められた船舶の価格(次条第八項において「契約価格」という。)が、当該船舶が建造される事業場が存する締約国における通常の商取引における価格として国土交通省令・経済産業省令で定める方法により算定されるもの(同項において「正常価格」という。)を下回るものをいう。
一本邦法人等又は外国子会社との間で締結する建造契約
二本邦法人等及び外国子会社以外の者との間で締結する建造契約であって、当該建造契約の締結時において、本邦法人等又は外国子会社が国土交通省令で定める期間以上運航の用に供すること又は取得することを目的とする契約を締結している船舶に係るもの
(不当廉価建造契約に係る調査)
第三条外国船舶製造事業者の締結した建造契約に係る船舶を建造する能力を有する本邦の船舶製造事業者又はその団体は、国土交通大臣に対し、当該建造契約が本邦の船舶製造業(当該船舶と同種の船舶に係る船舶製造業に限る。第五条第一項ただし書において同じ。)に損害を与え、又は与えるおそれがある廉価建造契約(以下「不当廉価建造契約」という。)であることについて、十分な証拠を添えて、調査の実施を求めることができる。
2国土交通大臣及び経済産業大臣は、前項の規定による求めがあった場合その他外国船舶製造事業者の締結した建造契約が不当廉価建造契約であることについての十分な証拠がある場合において、必要があると認めるときは、当該建造契約が不当廉価建造契約であるか否かについて調査を行うものとする。
3国土交通大臣及び経済産業大臣は、第一項の規定による求めがあった場合には、当該求めのあった日から起算して四十五日以内に、前項の規定による調査を開始する旨又は開始しない旨の決定をしなければならない。
4第二項の規定による調査は、当該調査を開始した日から起算して一年以内に終了するものとする。
5国土交通大臣及び経済産業大臣は、第二項の規定による調査を開始した場合において、当該調査に係る建造契約の解除その他の事情の変更により当該調査を続ける必要がなくなったときは、当該調査を取りやめることができる。
6国土交通大臣及び経済産業大臣は、第二項の規定による調査を終了しようとするときは、あらかじめ、当該調査に係る建造契約を締結した外国船舶製造事業者その他の当該調査に関係する者として国土交通省令・経済産業省令で定める者(次項において「調査関係者」という。)に対し、当該調査の予定される結果及びその基礎となる重要な事実を通知し、証言又は証拠の提出の機会を与えなければならない。
7国土交通大臣は、第二項の規定による調査を終了したときは、調査関係者に対し、当該調査の結果を通知するものとする。
8国土交通大臣は、第二項の規定による調査により外国船舶製造事業者の締結した建造契約が不当廉価建造契約であると認める場合には、当該外国船舶製造事業者に対し、当該不当廉価建造契約に係る船舶の正常価格と契約価格との差額に相当する金額の国庫への納付を書面で通告するものとする。
(外国船舶製造事業者の指定)
第五条国土交通大臣は、第三条第八項の規定による通告をした日から起算して百八十日を経過した日以後において、当該通告を受けた外国船舶製造事業者を、四年以内の期間を定めて、当該期間内にその者が締結した建造契約に係る船舶(次条において「対象船舶」という。)について次条の規定が適用される者として、告示により指定することができる。ただし、当該外国船舶製造事業者が不当廉価建造契約の本邦の船舶製造業に及ぼす影響を除去するための措置として次に掲げるもののいずれかを講じた場合にあっては、この限りでない。
三前二号に掲げるもののほか、国土交通省令で定める措置
2第三条第八項の規定による通告を受けた外国船舶製造事業者は、前項第一号に掲げる措置を講じようとする場合には、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣にその旨を申し出なければならない。
3第一項の規定により定める期間(以下「指定期間」という。)の開始の日は、同項の規定により告示をした日から起算して三十日を経過する日以後とする。
4国土交通大臣は、第一項の規定による指定をしたときは、当該指定を受けた外国船舶製造事業者(以下「指定外国船舶製造事業者」という。)に対し、指定をした旨その他国土交通省令で定める事項を通知するとともに、国土交通省令で定めるところにより、同項の告示の内容を船舶運航事業(海上運送法(昭和二十四年法律第百八十七号)第二条第二項に規定する船舶運航事業をいう。第十二条において同じ。)及び船舶貸渡業(同法第二条第七項に規定する船舶貸渡業をいう。第十二条において同じ。)を営む者に周知させるため必要な措置を講じなければならない。