第一条指定訪問看護の事業は、その利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、その療養生活を支援し、心身の機能の維持回復を目指すものでなければならない。
(看護師等の員数)第二条指定訪問看護事業者が当該指定に係る訪問看護事業を行う事業所(以下「指定訪問看護ステーション」という。)ごとに置くべき看護師その他の指定訪問看護の提供に当たる従業者(以下「看護師等」という。)の員数は、次に定めるとおりとする。一保健師、助産師、看護師又は准看護師(以下この条において「看護職員」という。)指定訪問看護ステーションの看護職員の勤務延時間数を当該指定訪問看護ステーションにおいて常勤の看護職員が勤務すべき時間数で除して得た数が二・五以上となる員数二理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士指定訪問看護ステーションの実情に応じた適当数2前項第一号の看護職員のうち一名は、常勤でなければならない。
(管理者)第三条指定訪問看護事業者は、指定訪問看護ステーションごとに専らその職務に従事する常勤の管理者を置かなければならない。ただし、指定訪問看護ステーションの管理上支障がない場合は、当該指定訪問看護ステーションの他の職務に従事し、又は他の事業所、施設等の職務に従事することができるものとする。2指定訪問看護ステーションの管理者は、保健師、助産師又は看護師でなければならない。ただし、やむを得ない理由がある場合は、この限りでない。3指定訪問看護ステーションの管理者は、適切な指定訪問看護を行うために必要な知識及び技能を有する者でなければならない。
第四条指定訪問看護ステーションには、事業の運営を行うために必要な広さを有する専用の事務室を設けるほか、指定訪問看護の提供に必要な設備及び備品等を備えなければならない。ただし、当該指定訪問看護ステーションが他の事業の事業所を兼ねる場合は、事業の運営を行うために必要な広さを有する専用の区画を設けることで足りるものとする。
(内容及び手続の説明及び同意)第五条指定訪問看護事業者は、指定訪問看護の提供の開始に際し、あらかじめ、当該指定訪問看護を受けるために申込みを行う者(以下「利用申込者」という。)又はその家族に対し、第二十一条に規定する運営規程の概要、看護師等の勤務の体制その他の利用申込者の指定訪問看護の選択に資すると認められる重要事項を記した文書を交付して説明を行い、当該提供の開始について利用申込者の同意を得なければならない。
(提供困難時の対応)第七条指定訪問看護事業者は、利用申込者の病状、当該指定訪問看護ステーションの通常の事業の実施地域(当該指定訪問看護ステーションが通常時に指定訪問看護を提供する地域をいう。)等を勘案し、自ら適切な指定訪問看護を提供することが困難であると認めた場合は、主治の医師への連絡を行い、適当な他の指定訪問看護事業者等を紹介する等の必要な措置を速やかに講じなければならない。
(受給資格の確認)第八条指定訪問看護事業者は、指定訪問看護の提供を求められた場合は、次に掲げるいずれかの方法によって、指定訪問看護を受ける資格があることを確認しなければならない。ただし、緊急やむを得ない事由によって当該確認を行うことができない指定訪問看護を受けようとする者であって、指定訪問看護を受ける資格が明らかなものについては、この限りでない。一健康保険法(大正十一年法律第七十号)第三条第十三項に規定する電子資格確認(第三号において「電子資格確認」という。)二指定訪問看護を受けようとする者の提示する健康保険法施行規則(大正十五年内務省令第三十六号)第四十七条第一項に規定する被保険者証又は高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号。以下「高齢者医療確保法」という。)第五十四条第三項に規定する被保険者証三当該指定訪問看護事業者が、過去に取得した当該指定訪問看護を受けようとする者の被保険者の資格に係る情報(保険給付に係る費用の請求に必要な情報を含む。)を用いて、保険者に対し、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により、あらかじめ照会を行い、保険者から回答を受けて取得した直近の当該情報を確認する方法(当該者が当該指定訪問看護事業者から指定訪問看護を受けようとする場合であって、当該指定訪問看護事業者から電子資格確認による確認を受けてから継続的な指定訪問看護を受けている場合に限る。)
(心身の状況等の把握)第九条指定訪問看護事業者は、指定訪問看護の提供に当たっては、指定訪問看護を受ける者(以下「利用者」という。)の心身の状況、病歴、その置かれている環境、他の保健医療サービス又は福祉サービスの利用状況等の把握に努めなければならない。
(保健医療サービス提供者等との連携)第十条指定訪問看護事業者は、指定訪問看護を提供するに当たっては、保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との密接な連携に努めなければならない。2指定訪問看護事業者は、指定訪問看護の提供の終了に際しては、利用者又はその家族に対して適切な指導を行うとともに、主治の医師に対する情報の提供並びに保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との密接な連携に努めなければならない。
(利用料)第十三条指定訪問看護事業者は、基本利用料として、健康保険法第八十八条第四項(この規定を準用し、又は例による場合を含む。)に規定する厚生労働大臣の定めるところにより算定した費用の額より訪問看護療養費若しくは家族訪問看護療養費として支給される額に相当する額を控除した額又は高齢者医療確保法第七十八条第四項に規定する厚生労働大臣が定める算定方法により算定した額より訪問看護療養費として支給される額に相当する額を控除した額の支払を利用者から受けるものとする。2指定訪問看護事業者は、基本利用料のほか、その他の利用料として、次の各号に掲げる額の支払を利用者から受けることができる。一利用者の選定に係る指定訪問看護ステーションが定める時間以外の時間における指定訪問看護その他の厚生労働大臣が定める指定訪問看護の提供に関し、当該指定訪問看護に要する費用の範囲内において、健康保険法第八十八条第四項又は高齢者医療確保法第七十八条第四項に規定する厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額を超える額二指定訪問看護の提供に係る交通費、おむつ代等に要する費用であってその範囲内の額3指定訪問看護事業者は、指定訪問看護の提供に当たっては、あらかじめ、利用者又はその家族等に対し、基本利用料並びにその他の利用料の内容及び額に関して説明を行い、利用者の同意を得なければならない。
(明細書の交付)第十三条の二指定訪問看護事業者は、前条の規定により利用者から利用料の支払を受けるときは、当該費用の計算の基礎となった項目ごとに記載した明細書を無償で交付しなければならない。2指定訪問看護事業者は、公費負担医療(訪問看護療養費及び公費負担医療に関する費用の請求に関する命令(平成四年厚生省令第五号)第一条各号に掲げる医療に関する給付(当該給付に関する費用の負担の全額が公費により行われるものを除く。)に限る。)を担当した場合(前条第一項の規定により利用者から利用料の支払を受ける場合を除く。)において、当該公費負担医療に関する費用の請求に係る計算の基礎となった項目ごとに記載した明細書を無償で交付しなければならない。
(指定訪問看護の基本取扱方針)第十四条指定訪問看護は、利用者の心身の特性を踏まえて、利用者の療養上妥当適切に行い、日常生活の充実に資するようにするとともに、漫然かつ画一的なものとならないよう、療養上の目標を設定し、計画的に行われなければならない。2指定訪問看護事業者は、自らその提供する指定訪問看護の質の評価を行い、常にその改善を図らなければならない。
(指定訪問看護の具体的取扱方針)第十五条看護師等の行う指定訪問看護の方針は、次に掲げるところによるものとする。一指定訪問看護の提供に当たっては、主治の医師との密接な連携及び第十七条第一項に規定する訪問看護計画に基づき、利用者の心身の機能の維持回復を図るよう妥当適切に行う。二指定訪問看護の提供に当たっては、懇切丁寧に行うことを旨とし、利用者又はその家族に対し、療養上必要な事項について、理解しやすいように指導又は説明を行う。三指定訪問看護の提供に当たっては、利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他利用者の行動を制限する行為(以下「身体的拘束等」という。)を行ってはならない。四前号の身体的拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならない。五指定訪問看護の提供に当たっては、医学の進歩に対応し、適切な看護の技術をもって、これを行う。六指定訪問看護の提供に当たっては、常に利用者の病状、心身の状況及びその置かれている環境の的確な把握に努め、利用者又はその家族に対し、適切な指導を行う。七特殊な看護等については、これを行ってはならない。
(主治の医師との関係)第十六条指定訪問看護ステーションの管理者は、主治の医師の指示に基づき適切な指定訪問看護が行われるよう必要な管理をしなければならない。2指定訪問看護事業者は、指定訪問看護の提供の開始に際し、主治の医師による指示を文書で受けなければならない。3指定訪問看護事業者は、利用者の病状及び心身の状態について、定期に主治の医師に指定訪問看護の提供の継続の要否を相談しなければならない。4指定訪問看護事業者は、主治の医師に次条第一項に規定する訪問看護計画書及び訪問看護報告書を提出し、指定訪問看護の提供に当たって主治の医師との密接な連携を図らなければならない。
(訪問看護計画書及び訪問看護報告書の作成)第十七条看護師等(准看護師を除く。以下この条において同じ。)は、利用者の希望、主治の医師の指示及び心身の状況等を踏まえて、療養上の目標、当該目標を達成するための具体的な指定訪問看護の内容等を記載した訪問看護計画書を作成しなければならない。2看護師等は、作成した訪問看護計画書の主要な事項について、利用者又はその家族に説明しなければならない。3看護師等は、訪問日、提供した看護内容等を記載した訪問看護報告書を作成しなければならない。4指定訪問看護ステーションの管理者は、訪問看護計画書及び訪問看護報告書の作成に関し、必要な指導及び管理を行わなければならない。
(利用者に関する市町村への通知)第十八条指定訪問看護事業者は、指定訪問看護を受けている利用者が次の各号のいずれかに該当する場合は、遅滞なく、意見を付して、その旨を全国健康保険協会、高齢者医療確保法第四十八条に規定する後期高齢者医療広域連合(以下単に「後期高齢者医療広域連合」という。)又は健康保険組合に通知しなければならない。一正当な理由なしに指定訪問看護の利用に関する指導に従わないとき。二偽りその他不正な行為によって訪問看護療養費若しくは家族訪問看護療養費の支給を受け、又は受けようとしたとき。
(緊急時等の対応)第十九条看護師等は、現に指定訪問看護の提供を行っているときに利用者に病状の急変等が生じた場合には、速やかに主治の医師への連絡を行い指示を求めるとともに、必要に応じて臨時応急の手当を行う等の必要な措置を講じなければならない。
(管理者の責務)第二十条指定訪問看護ステーションの管理者は、指定訪問看護ステーションの従業者の管理及び指定訪問看護の利用の申込みに係る調整、業務の実施状況の把握その他の管理を一元的に行うものとする。2指定訪問看護ステーションの管理者は、当該指定訪問看護ステーションの従業者にこの章の規定を遵守させるため必要な指揮命令を行うものとする。
(運営規程)第二十一条指定訪問看護事業者は、指定訪問看護ステーションごとに、次に掲げる事業の運営についての重要事項に関する規程(以下「運営規程」という。)を定めておかなければならない。一事業の目的及び運営の方針二従業者の職種、員数及び職務の内容三営業日及び営業時間四指定訪問看護の内容及び利用料その他の費用の額五通常の事業の実施地域六緊急時等における対応方法七虐待の防止のための措置に関する事項八その他運営に関する重要事項
(勤務体制の確保等)第二十二条指定訪問看護事業者は、利用者に対し適切な指定訪問看護を提供できるよう、指定訪問看護ステーションごとに、看護師等の勤務の体制を定めておかなければならない。2指定訪問看護業者は、指定訪問看護ステーションごとに、当該指定訪問看護ステーションの看護師等によって指定訪問看護を提供しなければならない。3指定訪問看護事業者は、看護師等の資質の向上のために、その研修の機会を確保しなければならない。
(業務継続計画の策定等)第二十二条の二指定訪問看護事業者は、感染症及び非常災害の発生時において、利用者に対する指定訪問看護の提供を継続的に実施するための、及び非常時の体制で早期の業務再開を図るための計画(以下この条において「業務継続計画」という。)を策定し、当該業務継続計画に従い必要な措置を講じなければならない。2指定訪問看護事業者は、看護師等に対し、業務継続計画について周知するとともに、必要な研修及び訓練を定期的に実施しなければならない。3指定訪問看護事業者は、定期的に業務継続計画の見直しを行い、必要に応じて業務継続計画の変更を行うものとする。
(衛生管理等)第二十三条指定訪問看護ステーションの管理者は、看護師等の清潔の保持及び健康状態について、必要な管理を行わなければならない。2指定訪問看護ステーションの管理者は、当該指定訪問看護ステーションの設備及び備品等について、衛生的な管理に努めなければならない。
(掲示)第二十四条指定訪問看護事業者は、指定訪問看護ステーションの見やすい場所に、運営規程の概要、看護師等の勤務の体制その他の利用申込者の指定訪問看護の選択に資すると認められる重要事項(次項において単に「重要事項」という。)を掲示しなければならない。2指定訪問看護事業者は、原則として、重要事項をウェブサイトに掲載しなければならない。
(秘密保持等)第二十五条指定訪問看護ステーションの従業者は、正当な理由がなく、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を漏らしてはならない。2指定訪問看護事業者は、当該指定訪問看護ステーションの従業者であった者が、正当な理由がなく、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を漏らすことがないよう、必要な措置を講じなければならない。
(事故発生時の対応)第二十八条指定訪問看護事業者は、利用者に対する指定訪問看護の提供により事故が発生した場合は、全国健康保険協会、後期高齢者医療広域連合又は健康保険組合、当該利用者の家族等に連絡を行うとともに、必要な措置を講じなければならない。2指定訪問看護事業者は、利用者に対する指定訪問看護の提供により賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行わなければならない。
(記録の整備)第三十条指定訪問看護事業者は、従業者、設備、備品及び会計に関する諸記録を整備しておかなければならない。2指定訪問看護事業者は、利用者に対する指定訪問看護の提供に関する諸記録を整備し、その完結の日から二年間保存しなければならない。
(施行期日)1この省令は、令和四年四月一日から施行する。(経過措置)2この省令の施行の日から令和六年三月三十一日までの間、この省令による改正後の第二十二条の二の規定の適用については、同条第一項中「講じなければ」とあるのは「講じるよう努めなければ」と、同条第二項中「実施しなければ」とあるのは「実施するよう努めなければ」と、同条第三項中「行う」とあるのは「行うよう努める」とする。
(施行期日)第一条この省令は、令和五年十二月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。一附則第二条及び第四条の規定公布の日二略三第六条並びに附則第三条及び第五条行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律(令和五年法律第四十八号)附則第一条第二号の政令で定める日
(受給資格の確認等に係る経過措置)第二条保険医療機関、保険薬局又は指定訪問看護事業者は、この省令の施行の日前においても、第一条の規定による改正前の療担規則第三条第一項、第三条の規定による改正前の薬担規則第三条第一項又は第五条の規定による改正前の訪看基準第八条の規定にかかわらず、第一条の規定による改正後の療担規則第三条第一項第三号、第三条の規定による改正後の薬担規則第三条第一項第四号又は第五条の規定による改正後の訪看基準第八条第三号に掲げる方法によって、療養の給付又は指定訪問看護を受ける資格があることを確認することができる。
(ウェブサイトへの掲載に係る経過措置)第二条この省令の施行の日から令和七年五月三十一日までの間、第一条の規定による改正後の療担規則(以下「新療担規則」という。)第二条の六第二項の規定の適用については、同項中「保険医療機関は、原則として、前項の厚生労働大臣が定める事項をウェブサイトに掲載しなければならない。」とあるのは「削除」と、新療担規則第五条の三第五項、第五条の三の二第五項及び第五条の四第三項の規定の適用については、これらの規定中「保険医療機関は、原則として、前項の療養の内容及び費用に関する事項をウェブサイトに掲載しなければならない。」とあるのは「削除」と、第三条の規定による改正後の薬担規則(以下「新薬担規則」という。)第二条の四第二項の規定の適用については、同項中「保険薬局は、原則として、前項の厚生労働大臣が定める事項をウェブサイトに掲載しなければならない。」とあるのは「削除」と、新薬担規則第四条の三第三項の規定の適用については、同項中「保険薬局は、原則として、前項の療養の内容及び費用に関する事項をウェブサイトに掲載しなければならない。」とあるのは「削除」と、第五条の規定による改正後の指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準(以下「新訪看基準」という。)第二十四条第二項の規定の適用については、同項中「指定訪問看護事業者は、原則として、重要事項をウェブサイトに掲載しなければならない。」とあるのは「削除」とする。
(明細書の交付に係る経過措置)第四条指定訪問看護事業者において、新訪看基準第十三条の二第一項又は第二項の明細書を常に交付することが困難であることについて正当な理由がある場合は、新訪看基準第十三条の二第一項又は第二項の規定にかかわらず、令和七年五月三十一日までの間、新訪看基準第十三条の二第一項又は第二項の明細書を交付することを要しない。
(虐待の防止のための措置に係る経過措置)第五条この省令の施行の日から令和八年五月三十一日までの間、新訪看基準第二十一条の規定の適用については、同条中「、次に」とあるのは「、虐待の防止のための措置に関する事項に関する規程を定めておくよう努めるとともに、次に」と、「重要事項」とあるのは「重要事項(虐待の防止のための措置に関する事項を除く。)」とする。