(定義)
第二条この法律において「各省各庁の長」とは、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第二十条第二項に規定する各省各庁の長をいう。
2この法律において「特定法人」とは、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
一国又は地方公共団体が資本金の二分の一以上を出資している法人
二特別の法律により設立された法人のうち、国又は地方公共団体が法律により、常時、発行済株式の総数又は総株主の議決権の三分の一以上に当たる株式の保有を義務付けられている株式会社(前号に掲げるもの及び政令で定めるものを除く。)
3この法律において「各省各庁の長等」とは、各省各庁の長、地方公共団体の長及び特定法人の代表者をいう。
4この法律において「入札談合等」とは、国、地方公共団体又は特定法人(以下「国等」という。)が入札、競り売りその他競争により相手方を選定する方法(以下「入札等」という。)により行う売買、貸借、請負その他の契約の締結に関し、当該入札に参加しようとする事業者が他の事業者と共同して落札すべき者若しくは落札すべき価格を決定し、又は事業者団体が当該入札に参加しようとする事業者に当該行為を行わせること等により、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)第三条又は第八条第一号の規定に違反する行為をいう。
5この法律において「入札談合等関与行為」とは、国若しくは地方公共団体の職員又は特定法人の役員若しくは職員(以下「職員」という。)が入札談合等に関与する行為であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
一事業者又は事業者団体に入札談合等を行わせること。
二契約の相手方となるべき者をあらかじめ指名することその他特定の者を契約の相手方となるべき者として希望する旨の意向をあらかじめ教示し、又は示唆すること。
三入札又は契約に関する情報のうち特定の事業者又は事業者団体が知ることによりこれらの者が入札談合等を行うことが容易となる情報であって秘密として管理されているものを、特定の者に対して教示し、又は示唆すること。
四特定の入札談合等に関し、事業者、事業者団体その他の者の明示若しくは黙示の依頼を受け、又はこれらの者に自ら働きかけ、かつ、当該入札談合等を容易にする目的で、職務に反し、入札に参加する者として特定の者を指名し、又はその他の方法により、入札談合等を幇助すること。
(各省各庁の長等に対する改善措置の要求等)
第三条公正取引委員会は、入札談合等の事件についての調査の結果、当該入札談合等につき入札談合等関与行為があると認めるときは、各省各庁の長等に対し、当該入札談合等関与行為を排除するために必要な入札及び契約に関する事務に係る改善措置(以下単に「改善措置」という。)を講ずべきことを求めることができる。
2公正取引委員会は、入札談合等の事件についての調査の結果、当該入札談合等につき入札談合等関与行為があったと認めるときは、当該入札談合等関与行為が既になくなっている場合においても、特に必要があると認めるときは、各省各庁の長等に対し、当該入札談合等関与行為が排除されたことを確保するために必要な改善措置を講ずべきことを求めることができる。
3公正取引委員会は、前二項の規定による求めをする場合には、当該求めの内容及び理由を記載した書面を交付しなければならない。
4各省各庁の長等は、第一項又は第二項の規定による求めを受けたときは、必要な調査を行い、当該入札談合等関与行為があり、又は当該入札談合等関与行為があったことが明らかとなったときは、当該調査の結果に基づいて、当該入札談合等関与行為を排除し、又は当該入札談合等関与行為が排除されたことを確保するために必要と認める改善措置を講じなければならない。
5各省各庁の長等は、前項の調査を行うため必要があると認めるときは、公正取引委員会に対し、資料の提供その他必要な協力を求めることができる。
6各省各庁の長等は、第四項の調査の結果及び同項の規定により講じた改善措置の内容を公表するとともに、公正取引委員会に通知しなければならない。
7公正取引委員会は、前項の通知を受けた場合において、特に必要があると認めるときは、各省各庁の長等に対し、意見を述べることができる。
(職員に対する損害賠償の請求等)
第四条各省各庁の長等は、前条第一項又は第二項の規定による求めがあったときは、当該入札談合等関与行為による国等の損害の有無について必要な調査を行わなければならない。
2各省各庁の長等は、前項の調査の結果、国等に損害が生じたと認めるときは、当該入札談合等関与行為を行った職員の賠償責任の有無及び国等に対する賠償額についても必要な調査を行わなければならない。
3各省各庁の長等は、前二項の調査を行うため必要があると認めるときは、公正取引委員会に対し、資料の提供その他必要な協力を求めることができる。
4各省各庁の長等は、第一項及び第二項の調査の結果を公表しなければならない。
5各省各庁の長等は、第二項の調査の結果、当該入札談合等関与行為を行った職員が故意又は重大な過失により国等に損害を与えたと認めるときは、当該職員に対し、速やかにその賠償を求めなければならない。
6入札談合等関与行為を行った職員が予算執行職員等の責任に関する法律(昭和二十五年法律第百七十二号)第三条第二項(同法第九条第二項において準用する場合を含む。)の規定により弁償の責めに任ずべき場合については、各省各庁の長又は公庫の長(同条第一項に規定する公庫の長をいう。)は、第二項、第三項(第二項の調査に係る部分に限る。)、第四項(第二項の調査の結果の公表に係る部分に限る。)及び前項の規定にかかわらず、速やかに、同法に定めるところにより、必要な措置をとらなければならない。この場合においては、同法第四条第四項(同法第九条第二項において準用する場合を含む。)中「遅滞なく」とあるのは、「速やかに、当該予算執行職員の入札談合等関与行為(入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律(平成十四年法律第百一号)第二条第五項に規定する入札談合等関与行為をいう。)に係る同法第四条第一項の調査の結果を添えて」とする。
7入札談合等関与行為を行った職員が地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百四十三条の二の九第一項(地方公営企業法(昭和二十七年法律第二百九十二号)第三十四条において準用する場合を含む。)の規定により賠償の責めに任ずべき場合については、第二項、第三項(第二項の調査に係る部分に限る。)、第四項(第二項の調査の結果の公表に係る部分に限る。)及び第五項の規定は適用せず、地方自治法第二百四十三条の二の九第三項中「決定することを求め」とあるのは、「決定することを速やかに求め」と読み替えて、同条(地方公営企業法第三十四条において準用する場合を含む。)の規定を適用する。
(職員に係る懲戒事由の調査)
第五条各省各庁の長等は、第三条第一項又は第二項の規定による求めがあったときは、当該入札談合等関与行為を行った職員に対して懲戒処分(特定法人(行政執行法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第四項に規定する行政執行法人をいう。以下この項において同じ。)及び特定地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第二項に規定する特定地方独立行政法人をいう。以下この項において同じ。)を除く。)にあっては、免職、停職、減給又は戒告の処分その他の制裁)をすることができるか否かについて必要な調査を行わなければならない。ただし、当該求めを受けた各省各庁の長、地方公共団体の長、行政執行法人の長又は特定地方独立行政法人の理事長が、当該職員の任命権を有しない場合(当該職員の任命権を委任した場合を含む。)は、当該職員の任命権を有する者(当該職員の任命権の委任を受けた者を含む。以下「任命権者」という。)に対し、第三条第一項又は第二項の規定による求めがあった旨を通知すれば足りる。
2前項ただし書の規定による通知を受けた任命権者は、当該入札談合等関与行為を行った職員に対して懲戒処分をすることができるか否かについて必要な調査を行わなければならない。
3各省各庁の長等又は任命権者は、第一項本文又は前項の調査を行うため必要があると認めるときは、公正取引委員会に対し、資料の提供その他必要な協力を求めることができる。
4各省各庁の長等又は任命権者は、それぞれ第一項本文又は第二項の調査の結果を公表しなければならない。