(附帯処分についての裁判等)
第三十二条裁判所は、申立てにより、夫婦の一方が他の一方に対して提起した婚姻の取消し又は離婚の訴えに係る請求を認容する判決において、子の監護者の指定その他の子の監護に関する処分、財産の分与に関する処分、親権行使者(民法第八百二十四条の二第三項の規定により単独で親権を行使する者をいう。第四項において同じ。)の指定(婚姻の取消し又は離婚に伴って親権を行う必要がある事項に係るものに限る。同項において同じ。)又は厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第七十八条の二第二項の規定による処分(以下「附帯処分」と総称する。)についての裁判をしなければならない。
2前項の場合においては、裁判所は、同項の判決において、当事者に対し、子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる。
3前項の規定は、裁判所が婚姻の取消し又は離婚の訴えに係る請求を認容する判決において親権者の指定についての裁判をする場合について準用する。
4裁判所は、第一項の子の監護者の指定その他の子の監護に関する処分についての裁判若しくは親権行使者の指定についての裁判又は前項の親権者の指定についての裁判をするに当たっては、子が十五歳以上であるときは、その子の陳述を聴かなければならない。
(事実の調査)
第三十三条裁判所は、前条第一項の附帯処分についての裁判又は同条第三項の親権者の指定についての裁判をするに当たっては、事実の調査をすることができる。
2裁判所は、相当と認めるときは、合議体の構成員に命じ、又は家庭裁判所若しくは簡易裁判所に嘱託して前項の事実の調査(以下単に「事実の調査」という。)をさせることができる。
3前項の規定により受命裁判官又は受託裁判官が事実の調査をする場合には、裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。
4裁判所が審問期日を開いて当事者の陳述を聴くことにより事実の調査をするときは、他の当事者は、当該期日に立ち会うことができる。ただし、当該他の当事者が当該期日に立ち会うことにより事実の調査に支障を生ずるおそれがあると認められるときは、この限りでない。
5事実の調査の手続は、公開しない。ただし、裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。
6裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、第四項の審問期日における手続を行うことができる。
7前項の審問期日に出頭しないでその手続に関与した当事者は、その審問期日に出頭したものとみなす。
(家庭裁判所調査官による事実の調査)
第三十四条裁判所は、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。
2急迫の事情があるときは、裁判長が、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。
3家庭裁判所調査官は、事実の調査の結果を書面又は口頭で裁判所に報告するものとする。
4家庭裁判所調査官は、前項の規定による報告に意見を付することができる。
5家庭裁判所調査官は、第三項の規定による書面による報告に代えて、最高裁判所規則で定めるところにより、当該書面に記載すべき事項を最高裁判所規則で定める電子情報処理組織(裁判所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下この項において同じ。)と手続の相手方の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。第三十五条第二項第二号において同じ。)を使用して裁判所の使用に係る電子計算機に備えられたファイル(第三十五条第二項及び第三十五条の二第二項において単に「ファイル」という。)に記録する方法又は当該書面に記載すべき事項に係る電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。同条第三項において同じ。)を記録した記録媒体を提出する方法により報告を行うことができる。
(事実調査部分の閲覧等)
第三十五条訴訟記録中事実の調査に係る部分(以下この条及び次条第一項において「事実調査部分」という。)についての訴訟記録の閲覧等(民事訴訟法第九十二条第一項に規定する訴訟記録の閲覧等をいう。以下この条において同じ。)の請求は、裁判所が第三項又は第四項の規定により許可したときに限り、することができる。
2当事者は、事実調査部分のうち、次に掲げるものについては、前項の規定にかかわらず、裁判所の許可を得ないで、裁判所書記官に対し、訴訟記録の閲覧等の請求をすることができる。
一当該当事者が提出した書面等(書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下同じ。)又は録音テープ若しくはビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)
二当該当事者がこの法律その他の法令の規定により最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してファイルに記録した事項
三当該当事者が提出した書面等又は記録媒体に記載され、又は記録された事項を次条第三項の規定により読み替えて適用する民事訴訟法第百三十二条の十三の規定により裁判所書記官がファイルに記録した場合における当該事項
四前二号に掲げる事項について次条第一項又は民事訴訟法第九十二条第九項の規定によりその内容を書面に出力し、又はこれを他の記録媒体に記録する措置を講じた場合の当該書面又は当該記録媒体
3裁判所は、当事者から事実調査部分についての訴訟記録の閲覧等の許可の申立てがあった場合においては、これを許可しなければならない。ただし、当該事実調査部分中訴訟記録の閲覧等を行うことにより次に掲げるおそれがあると認められる部分については、相当と認めるときに限り、これを許可することができる。
一当事者間に成年に達しない子がある場合におけるその子の利益を害するおそれ
二当事者又は第三者の私生活又は業務の平穏を害するおそれ
三当事者又は第三者の私生活についての重大な秘密が明らかにされることにより、その者が社会生活を営むのに著しい支障を生じ、又はその者の名誉を著しく害するおそれ
4裁判所は、利害関係を疎明した第三者から事実調査部分についての訴訟記録の閲覧等の許可の申立てがあった場合においては、相当と認めるときは、これを許可することができる。
5第三項の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
6前項の規定による即時抗告が人事訴訟に関する手続を不当に遅延させることを目的としてされたものであると認められるときは、原裁判所は、その即時抗告を却下しなければならない。
7前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
8第四項の申立てを却下した裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
9事実調査部分については、民事訴訟法第百三十三条の二及び第百三十三条の三の規定は、適用しない。
(事実調査部分の安全管理措置等)
第三十五条の二裁判所は、民事訴訟法第百三十三条第一項の決定があった場合において、必要があると認めるときは、電磁的訴訟記録(同法第九十一条の二第一項に規定する電磁的訴訟記録をいう。以下この条において同じ。)のうち、事実調査部分中秘匿事項(同法第百三十三条第二項に規定する秘匿事項をいう。以下この項において同じ。)又は秘匿事項を推知することができる事項が記録された部分につき、その内容を書面に出力し、又はこれを他の記録媒体に記録するとともに、当該部分を電磁的訴訟記録から消去する措置その他の当該部分の安全管理のために必要かつ適切なものとして最高裁判所規則で定める措置を講ずることができる。
2前項の規定による電磁的訴訟記録から消去する措置が講じられた場合において、その後に同項の決定を取り消す裁判が確定したときその他裁判所が当該措置を講ずる必要がなくなったと認めたときは、裁判所書記官は、当該部分をファイルに記録しなければならない。
3事実の調査においてこの法律その他の法令の規定に基づき裁判所に提出された書面等又は電磁的記録を記録した記録媒体に記載され、又は記録されている事項についての民事訴訟法第百三十二条の十三の規定の適用については、同条第四号中「第百三十三条の三第一項の規定による」とあるのは「第百三十三条第一項の」と、「当該決定に係る」とあるのは「当該」と、「及び電磁的記録を記録した」とあるのは「又は当該」と、「事項」とあるのは「秘匿事項(同条第二項に規定する秘匿事項をいう。以下この号において同じ。)又は秘匿事項を推知することができる事項」とする。