第四十九条暫定保全措置命令(仲裁地が日本国内にあるかどうかを問わない。以下この章において同じ。)の申立てをした者は、当該暫定保全措置命令を受けた者を被申立人として、裁判所に対し、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める決定(以下「執行等認可決定」という。)を求める申立てをすることができる。
一暫定保全措置命令のうち第二十六条第一項第三号に掲げる措置を講ずることを命ずるもの当該暫定保全措置命令に基づく民事執行を許す旨の決定
二暫定保全措置命令のうち第二十六条第一項第一号、第二号、第四号又は第五号に掲げる措置を講ずることを命ずるもの当該暫定保全措置命令に違反し、又は違反するおそれがあると認めるときに第五十一条第一項の規定による金銭の支払命令を発することを許す旨の決定
2前項の申立てをするときは、次に掲げる文書又は電磁的記録を提出しなければならない。ただし、裁判所は、相当と認めるときは、被申立人の意見を聴いて、暫定保全措置命令の命令書の全部又は一部について第三号に掲げる翻訳文又は翻訳の内容を記録した電磁的記録を提出することを要しないものとすることができる。
一暫定保全措置命令の命令書の写し又は暫定保全措置命令の命令書に記載された事項を記録した電磁的記録
二前号に掲げる写し又は電磁的記録の内容が暫定保全措置命令の命令書と同一であることを証明する文書又は電磁的記録
三暫定保全措置命令の命令書(日本語で作成されたものを除く。)の日本語による翻訳文又は翻訳の内容を記録した電磁的記録
4第一項の申立てに係る事件は、第五条第一項及び第二項の規定にかかわらず、次に掲げる裁判所の管轄に専属する。
二請求の目的又は差し押さえることができる被申立人の財産の所在地を管轄する地方裁判所
三東京地方裁判所及び大阪地方裁判所(仲裁地、被申立人の普通裁判籍の所在地又は請求の目的若しくは差し押さえることができる被申立人の財産の所在地が日本国内にある場合に限る。)
7裁判所は、第一項の申立てがあった場合において、次の各号に掲げる事由のいずれかがあると認めるとき(第一号から第八号までに掲げる事由にあっては、被申立人が当該事由の存在を証明した場合に限る。)に限り、当該申立てを却下することができる。
一仲裁合意が、当事者の行為能力の制限により、その効力を有しないこと。
二仲裁合意が、当事者が合意により仲裁合意に適用すべきものとして指定した法令(当該指定がないときは、仲裁地が属する国の法令)によれば、当事者の行為能力の制限以外の事由により、その効力を有しないこと。
三当事者が、仲裁人の選任手続又は仲裁手続(暫定保全措置命令に関する部分に限る。次号及び第六号において同じ。)において、仲裁地が属する国の法令の規定(その法令の公の秩序に関しない規定に関する事項について当事者間に合意があるときは、当該合意)により必要とされる通知を受けなかったこと。
四当事者が、仲裁手続において防御することが不可能であったこと。
五暫定保全措置命令が、仲裁合意若しくは暫定保全措置命令に関する別段の合意又は暫定保全措置命令の申立ての範囲を超える事項について発せられたものであること。
六仲裁廷の構成又は仲裁手続が、仲裁地が属する国の法令の規定(その法令の公の秩序に関しない規定に関する事項について当事者間に合意があるときは、当該合意)に違反するものであったこと。
七仲裁廷が暫定保全措置命令の申立てをした者に対して相当な担保を提供すべきことを命じた場合において、その者が当該命令に違反し、相当な担保を提供していないこと。
八暫定保全措置命令が、仲裁廷又は第三項に規定する裁判機関により、取り消され、変更され、又はその効力を停止されたこと。
九仲裁手続における申立てが、日本の法令によれば、仲裁合意の対象とすることができない紛争に関するものであること。
十暫定保全措置命令の内容が、日本における公の秩序又は善良の風俗に反すること。