(管轄)
第二条労働審判手続に係る事件(以下「労働審判事件」という。)は、相手方の住所、居所、営業所若しくは事務所の所在地を管轄する地方裁判所、個別労働関係民事紛争が生じた労働者と事業主との間の労働関係に基づいて当該労働者が現に就業し若しくは最後に就業した当該事業主の事業所の所在地を管轄する地方裁判所又は当事者が合意で定める地方裁判所の管轄とする。
2労働審判事件は、日本国内に相手方(法人その他の社団又は財団を除く。)の住所及び居所がないとき、又は住所及び居所が知れないときは、その最後の住所地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。
3労働審判事件は、相手方が法人その他の社団又は財団(外国の社団又は財団を除く。)である場合において、日本国内にその事務所若しくは営業所がないとき、又はその事務所若しくは営業所の所在地が知れないときは、代表者その他の主たる業務担当者の住所地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。
4労働審判事件は、相手方が外国の社団又は財団である場合において、日本国内にその事務所又は営業所がないときは、日本における代表者その他の主たる業務担当者の住所地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。
(労働審判員)
第九条労働審判員は、この法律の定めるところにより、労働審判委員会が行う労働審判手続に関与し、中立かつ公正な立場において、労働審判事件を処理するために必要な職務を行う。
2労働審判員は、労働関係に関する専門的な知識経験を有する者のうちから任命する。
3労働審判員は、非常勤とし、前項に規定するもののほか、その任免に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
4労働審判員には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。
(労働審判手続の期日等)
第十四条労働審判官は、労働審判手続の期日を定めて、事件の関係人を呼び出さなければならない。
2裁判所書記官は、前項の期日について、その経過の要領を裁判所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)に備えられたファイル(第二十六条の二第二項及び第三項並びに第二十六条の三を除き、以下単に「ファイル」という。)に記録しなければならない。
3裁判所書記官は、労働審判官が命じた場合には、第一項の期日について、最高裁判所規則で定めるところにより、電子調書(期日又は期日外における手続の方式、内容及び経過等の記録及び公証をするためにこの法律その他の法令の規定により裁判所書記官が作成する電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)をいう。次項並びに第二十条第七項及び第八項において同じ。)を作成しなければならない。
4裁判所書記官は、前項の規定により電子調書を作成したときは、最高裁判所規則で定めるところにより、これをファイルに記録しなければならない。
(労働審判)
第二十条労働審判委員会は、審理の結果認められる当事者間の権利関係及び労働審判手続の経過を踏まえて、労働審判を行う。
2労働審判においては、当事者間の権利関係を確認し、金銭の支払、物の引渡しその他の財産上の給付を命じ、その他個別労働関係民事紛争の解決をするために相当と認める事項を定めることができる。
3労働審判は、最高裁判所規則で定めるところにより、電子審判書(労働審判の主文及び理由の要旨を記録した電磁的記録をいう。以下同じ。)を作成し、ファイルに記録して行わなければならない。
4電子審判書(前項の規定によりファイルに記録されたものに限る。次項、次条第一項及び第二十三条第一項において同じ。)は、当事者に送達しなければならない。この場合においては、労働審判の効力は、当事者に送達された時に生ずる。
5前項の規定による電子審判書の送達については、民事訴訟法第一編第五章第四節(第百四条、第百九条の二第二項後段及び第四款を除く。)及び第二百五十五条第二項の規定を準用する。
6労働審判委員会は、相当と認めるときは、第三項の規定にかかわらず、電子審判書の作成に代えて、全ての当事者が出頭する労働審判手続の期日において労働審判の主文及び理由の要旨を口頭で告知する方法により、労働審判を行うことができる。この場合においては、労働審判の効力は、告知された時に生ずる。
7裁判所は、前項前段の規定により労働審判が行われたときは、裁判所書記官に、その主文及び理由の要旨を、電子調書に記録させなければならない。
8前項の電子調書(第十四条第四項の規定によりファイルに記録されたものに限る。)は、当事者に送付しなければならない。
(異議の申立て等)
第二十一条当事者は、労働審判に対し、前条第四項の規定による電子審判書の送達又は同条第六項の規定による労働審判の告知を受けた日から二週間の不変期間内に、裁判所に異議の申立てをすることができる。
2裁判所は、異議の申立てが不適法であると認めるときは、決定で、これを却下しなければならない。
3適法な異議の申立てがあったときは、労働審判は、その効力を失う。
4適法な異議の申立てがないときは、労働審判は、裁判上の和解と同一の効力を有する。
5前項の場合において、各当事者は、その支出した費用のうち労働審判に費用の負担についての定めがないものを自ら負担するものとする。
(電磁的事件記録の閲覧等)
第二十六条の二当事者及び利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、電磁的事件記録(労働審判事件の記録中この法律その他の法令の規定によりファイルに記録された事項に係る部分をいう。以下この条において同じ。)の内容を最高裁判所規則で定める方法により表示したものの閲覧を請求することができる。
2当事者及び利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、電磁的事件記録に記録されている事項について、最高裁判所規則で定めるところにより、最高裁判所規則で定める電子情報処理組織(裁判所の使用に係る電子計算機と手続の相手方の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。以下同じ。)を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法による複写を請求することができる。
3当事者及び利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、電磁的事件記録に記録されている事項の全部若しくは一部を記載した書面であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該書面の内容が電磁的事件記録に記録されている事項と同一であることを証明したものを交付し、又は当該事項の全部若しくは一部を記録した電磁的記録であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該電磁的記録の内容が電磁的事件記録に記録されている事項と同一であることを証明したものを最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法により提供することを請求することができる。
4民事訴訟法第九十一条第五項及び第九十二条の規定は、電磁的事件記録について準用する。
(電子情報処理組織による申立て等)
第二十八条の二労働審判手続における申立てその他の申述(次項及び次条において「申立て等」という。)については、民事訴訟法第百三十二条の十から第百三十二条の十二までの規定を準用する。この場合において、同法第百三十二条の十第五項及び第六項並びに第百三十二条の十二第二項及び第三項中「送達」とあるのは「送達又は送付」と、同法第百三十二条の十一第一項第一号中「第五十四条第一項ただし書」とあるのは「労働審判法第四条第一項ただし書」と、同項第二号中「第二条」とあるのは「第九条において準用する同法第二条」と、同法第百三十二条の十二第一項第三号中「第百三十三条の二第二項」とあるのは「労働審判法第二十八条の三において読み替えて準用する第百三十三条の二第二項」と読み替えるものとする。
2労働審判手続においてこの法律その他の法令の規定に基づき裁判所に提出された書面等(書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下この項において同じ。)(申立て等が書面等により行われたときにおける当該書面等を除く。)又は電磁的記録を記録した記録媒体に記載され、又は記録されている事項のファイルへの記録については、民事訴訟法第百三十二条の十三の規定を準用する。この場合において、同条第三号中「第百三十三条の二第二項」とあるのは「労働審判法第二十八条の三において読み替えて準用する第百三十三条の二第二項」と、同条第四号中「第百三十三条の三第一項」とあるのは「労働審判法第二十八条の三において読み替えて準用する第百三十三条の三第一項」と読み替えるものとする。