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平成十六年法律第百二十二号

公益通報者保護法

目次

  • 第一章 総則(第一条・第二条)
  • 第二章 公益通報をしたことを理由とする不利益な取扱いの禁止等(第三条〜第十条)
  • 第三章 事業者がとるべき措置等(第十一条〜第十四条)
  • 第四章 雑則(第十五条〜第二十条)
  • 第五章 罰則(第二十一条〜第二十四条)
  • 附則

第一章 総則

(目的)

第一条この法律は、公益通報をしたことを理由とする不利益な取扱いの禁止等並びに公益通報に関し事業者及び行政機関がとるべき措置等を定めることにより、公益通報者の保護を図るとともに、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法令の規定の遵守を図り、もって国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資することを目的とする。

(定義)

第二条この法律において「公益通報」とは、次の各号に掲げる者が、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的でなく、当該各号に定める事業者(法人その他の団体及び事業を行う個人をいう。以下同じ。)(以下「役務提供先」という。)又は当該役務提供先の事業に従事する場合におけるその役員(法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で法令(法律及び法律に基づく命令をいう。以下同じ。)の規定に基づき法人の経営に従事している者(会計監査人を除く。)をいう。以下同じ。)、従業員、代理人その他の者について通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしている旨を、当該役務提供先若しくは当該役務提供先があらかじめ定めた者(以下「役務提供先等」という。)、当該通報対象事実について処分(命令、取消しその他公権力の行使に当たる行為をいう。以下同じ。)若しくは勧告等(勧告その他処分に当たらない行為をいう。以下同じ。)をする権限を有する行政機関若しくは当該行政機関があらかじめ定めた者(次条第一項第二号及び第六条第一項第二号において「行政機関等」という。)又はその者に対し当該通報対象事実を通報することがその発生若しくはこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者(当該通報対象事実により被害を受け又は受けるおそれがある者を含み、当該役務提供先の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある者を除く。次条第一項第三号及び第六条第一項第三号において同じ。)に通報することをいう。
一労働者(労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第九条に規定する労働者をいう。以下同じ。)又は労働者であった者当該労働者又は労働者であった者を自ら使用し、又は当該通報の日前一年以内に自ら使用していた事業者(次号に定める事業者を除く。)
二派遣労働者(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号。第四条第一項第一号において「労働者派遣法」という。)第二条第二号に規定する派遣労働者をいう。以下同じ。)又は派遣労働者であった者当該派遣労働者又は派遣労働者であった者に係る労働者派遣(同条第一号に規定する労働者派遣をいう。第四条第一項において同じ。)の役務の提供を受け、又は当該通報の日前一年以内に受けていた事業者
三特定受託業務従事者(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(令和五年法律第二十五号)第二条第二項に規定する特定受託業務従事者をいう。以下同じ。)又は特定受託業務従事者であった者当該特定受託業務従事者に係る特定受託事業者(同条第一項に規定する特定受託事業者をいう。以下同じ。)又は特定受託事業者であった者に業務委託(同条第三項に規定する業務委託をいう。以下この号及び第五条において同じ。)をし、又は当該通報の日前一年以内に業務委託をしていた事業者
四前三号に定める事業者が他の事業者との請負契約その他の契約に基づいて事業を行い、又は行っていた場合において、当該事業に従事し、又は当該通報の日前一年以内に従事していた労働者若しくは派遣労働者(以下この号及び第十一条第二項において「労働者等」という。)若しくは労働者等であった者又は特定受託業務従事者若しくは特定受託業務従事者であった者当該他の事業者
五役員次に掲げる事業者
イ当該役員に職務を行わせる事業者
ロイに掲げる事業者が他の事業者との請負契約その他の契約に基づいて事業を行う場合において、当該役員が当該事業に従事するときにおける当該他の事業者
2この法律において「公益通報者」とは、公益通報をした者をいう。
3この法律において「通報対象事実」とは、次の各号のいずれかの事実をいう。
一この法律及び個人の生命又は身体の保護、消費者の利益の擁護、環境の保全、公正な競争の確保その他の国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法律として別表に掲げるもの(これらの法律に基づく命令を含む。以下この項において同じ。)に規定する罪の犯罪行為の事実又はこの法律及び同表に掲げる法律に規定する過料の理由とされている事実
二この法律及び別表に掲げる法律の規定に基づく処分に違反することが前号に掲げる事実となる場合における当該処分の理由とされている事実(当該処分の理由とされている事実がこの法律及び同表に掲げる法律の規定に基づく他の処分に違反し、又は勧告等に従わない事実である場合における当該他の処分又は勧告等の理由とされている事実を含む。)
4この法律において「行政機関」とは、次に掲げる機関をいう。
一内閣府、宮内庁、内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項若しくは第二項に規定する機関、デジタル庁、国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関、法律の規定に基づき内閣の所轄の下に置かれる機関若しくはこれらに置かれる機関又はこれらの機関の職員であって法律上独立に権限を行使することを認められた職員
二地方公共団体の機関(議会を除く。)

第二章 公益通報をしたことを理由とする不利益な取扱いの禁止等

(労働者に対する不利益取扱いの禁止等)

第三条前条第一項第一号に定める事業者は、その使用し、又は使用していた公益通報者が次の各号に掲げる場合においてそれぞれ当該各号に定める公益通報をしたことを理由として、当該公益通報者に対して、解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
一通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料する場合当該役務提供先等に対する公益通報
二通報対象事実が生じ、若しくはまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由がある場合又は通報対象事実が生じ、若しくはまさに生じようとしていると思料し、かつ、次に掲げる事項を記載した書面(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録を含む。次号ホにおいて同じ。)を提出する場合当該通報対象事実について処分又は勧告等をする権限を有する行政機関等に対する公益通報
イ公益通報者の氏名又は名称及び住所又は居所
ロ当該通報対象事実の内容
ハ当該通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料する理由
ニ当該通報対象事実について法令に基づく措置その他適当な措置がとられるべきと思料する理由
三通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由があり、かつ、次のいずれかに該当する場合その者に対し当該通報対象事実を通報することがその発生又はこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者に対する公益通報
イ前二号に定める公益通報をすれば解雇その他不利益な取扱いを受けると信ずるに足りる相当の理由がある場合
ロ第一号に定める公益通報をすれば当該通報対象事実に係る証拠が隠滅され、偽造され、又は変造されるおそれがあると信ずるに足りる相当の理由がある場合
ハ第一号に定める公益通報をすれば、役務提供先が、当該公益通報者について知り得た事項を、当該公益通報者を特定させるものであることを知りながら、正当な理由がなくて漏らすと信ずるに足りる相当の理由がある場合
ニ役務提供先から前二号に定める公益通報をしないことを正当な理由がなくて要求された場合
ホ書面により第一号に定める公益通報をした日から二十日を経過しても、当該通報対象事実について、当該役務提供先等から調査を行う旨の通知がない場合又は当該役務提供先等が正当な理由がなくて調査を行わない場合
ヘ個人の生命若しくは身体に対する危害又は個人(事業を行う場合におけるものを除く。以下このヘにおいて同じ。)の財産に対する損害(回復することができない損害又は著しく多数の個人における多額の損害であって、通報対象事実を直接の原因とするものに限る。第六条第一項第二号ロ及び第三号ロにおいて同じ。)が発生し、又は発生する急迫した危険があると信ずるに足りる相当の理由がある場合
2前項の規定に違反して前条第一項第一号に定める事業者が行った解雇その他不利益な取扱い(解雇以外の不利益な取扱いにあっては、懲戒(労働基準法第八十九条(第九号に係る部分に限る。)の規定に基づき事業者が就業規則に定めた制裁又は事業者と労働者との間の労働契約に定めた制裁をいう。)としてされたものに限る。次項及び第二十一条第一項において「解雇等特定不利益取扱い」という。)は、無効とする。
3公益通報者に対する解雇等特定不利益取扱いが第一項各号に定める公益通報をした日(前条第一項第一号に定める事業者が第一項第二号又は第三号に定める公益通報がされたことを知って当該解雇等特定不利益取扱いをした場合にあっては、当該事業者が当該公益通報を知った日)から一年以内にされたときは、前項の規定の適用については、当該解雇等特定不利益取扱いは、当該公益通報をしたことを理由としてされたものと推定する。

(派遣労働者に対する不利益取扱いの禁止等)

第四条第二条第一項第二号に定める事業者(当該派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を受けるものに限る。次項において同じ。)は、その指揮命令の下に労働する派遣労働者である公益通報者が前条第一項各号に定める公益通報をしたことを理由として、次に掲げる行為をしてはならない。
一当該公益通報者に係る労働者派遣契約(労働者派遣法第二十六条第一項に規定する労働者派遣契約をいう。次項において同じ。)を解除すること。
二前号に掲げるもののほか、当該公益通報者に対して、当該公益通報者に係る労働者派遣をする事業者に派遣労働者の交代を求めることその他不利益な取扱いをすること。
2前項(第一号に係る部分に限る。)の規定に違反して第二条第一項第二号に定める事業者が行った労働者派遣契約の解除は、無効とする。

(特定受託事業者に対する不利益取扱いの禁止)

第五条第二条第一項第三号に定める事業者は、その業務委託をし、又は業務委託をしていた特定受託事業者に係る特定受託業務従事者である公益通報者が第三条第一項各号に定める公益通報をしたことを理由として、当該特定受託事業者に対して、業務委託に係る契約の解除、取引の数量の削減、取引の停止、報酬の減額その他不利益な取扱いをしてはならない。

(役員に対する不利益取扱いの禁止等)

第六条第二条第一項第五号に定める事業者(同号イに掲げる事業者に限る。次項及び第八条第四項において同じ。)は、その職務を行わせ、又は行わせていた役員である公益通報者が次の各号に掲げる場合においてそれぞれ当該各号に定める公益通報をしたことを理由として、当該公益通報者に対して、報酬の減額その他不利益な取扱い(解任を除く。)をしてはならない。
一通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料する場合当該役務提供先等に対する公益通報
二次のいずれかに該当する場合当該通報対象事実について処分又は勧告等をする権限を有する行政機関等に対する公益通報
イ調査是正措置(善良な管理者と同一の注意をもって行う、通報対象事実の調査及びその是正のために必要な措置をいう。次号イにおいて同じ。)をとることに努めたにもかかわらず、なお当該通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由がある場合
ロ通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由があり、かつ、個人の生命若しくは身体に対する危害又は個人(事業を行う場合におけるものを除く。)の財産に対する損害が発生し、又は発生する急迫した危険があると信ずるに足りる相当の理由がある場合
三次のいずれかに該当する場合その者に対し通報対象事実を通報することがその発生又はこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者に対する公益通報
イ調査是正措置をとることに努めたにもかかわらず、なお当該通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由があり、かつ、次のいずれかに該当する場合
(1)前二号に定める公益通報をすれば解任、報酬の減額その他不利益な取扱いを受けると信ずるに足りる相当の理由がある場合
(2)第一号に定める公益通報をすれば当該通報対象事実に係る証拠が隠滅され、偽造され、又は変造されるおそれがあると信ずるに足りる相当の理由がある場合
(3)役務提供先から前二号に定める公益通報をしないことを正当な理由がなくて要求された場合
ロ通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由があり、かつ、個人の生命若しくは身体に対する危害又は個人(事業を行う場合におけるものを除く。)の財産に対する損害が発生し、又は発生する急迫した危険があると信ずるに足りる相当の理由がある場合
2役員である公益通報者は、前項各号に定める公益通報をしたことを理由として第二条第一項第五号に定める事業者から解任された場合には、当該事業者に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。

(損害賠償の制限)

第七条第二条第一項各号に定める事業者は、第三条第一項各号及び前条第一項各号に定める公益通報によって損害を受けたことを理由として、当該公益通報をした公益通報者に対して、賠償を請求することができない。

(解釈規定)

第八条第三条から前条までの規定は、通報対象事実に係る通報をしたことを理由として第二条第一項各号に掲げる者に対して解雇その他不利益な取扱いをすることを禁止する他の法令の規定の適用を妨げるものではない。
2第三条の規定は、労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)第十四条から第十六条までの規定の適用を妨げるものではない。
3第五条の規定は、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律第五条及び第六条第三項(同法第十七条第三項において準用する場合を含む。)の規定の適用を妨げるものではない。
4第六条第二項の規定は、通報対象事実に係る通報をしたことを理由として第二条第一項第五号に定める事業者から役員を解任された者が当該事業者に対し解任によって生じた損害の賠償を請求することができる旨の他の法令の規定の適用を妨げるものではない。

(一般職の国家公務員等に対する取扱い)

第九条一般職の国家公務員、裁判所職員臨時措置法(昭和二十六年法律第二百九十九号)の適用を受ける裁判所職員、国会職員法(昭和二十二年法律第八十五号)の適用を受ける国会職員、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第二条第五項に規定する隊員及び一般職の地方公務員については、第三条第二項及び第三項の規定は適用せず、同条第一項及び第二十一条第一項の規定の適用については、第三条第一項中「解雇」とあるのは「懲戒免職、分限免職」と、第二十一条第一項中「解雇等特定不利益取扱い」とあるのは「分限免職又は懲戒処分」とする。

(他人の正当な利益等の尊重)

第十条第三条第一項各号及び第六条第一項各号に定める公益通報をする者は、他人の正当な利益又は公共の利益を害することのないよう努めなければならない。

第三章 事業者がとるべき措置等

(事業者がとるべき措置)

第十一条事業者は、第三条第一項第一号及び第六条第一項第一号に定める公益通報を受け、並びに当該公益通報に係る通報対象事実の調査をし、及びその是正に必要な措置をとる業務(第十二条において「公益通報対応業務」という。)に従事する者(第十二条において「公益通報対応業務従事者」という。)を定めなければならない。
2事業者は、前項に定めるもののほか、公益通報者の保護を図るとともに、公益通報の内容の活用により国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法令の規定の遵守を図るため、第三条第一項第一号及び第六条第一項第一号に定める公益通報に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備、労働者等に対するその周知その他の必要な措置をとらなければならない。
3常時使用する労働者の数が三百人以下の事業者については、第一項中「定めなければ」とあるのは「定めるように努めなければ」と、前項中「とらなければ」とあるのは「とるように努めなければ」とする。
4内閣総理大臣は、第一項及び第二項(これらの規定を前項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定に基づき事業者がとるべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(以下この条において単に「指針」という。)を定めるものとする。
5内閣総理大臣は、指針を定めようとするときは、あらかじめ、消費者委員会の意見を聴かなければならない。
6内閣総理大臣は、指針を定めたときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
7前二項の規定は、指針の変更について準用する。

(通報妨害の禁止等)

第十一条の二第二条第一項各号に定める事業者は、当該各号に掲げる者に対して、正当な理由がなく、公益通報をしない旨の合意をすることを求めること、公益通報をした場合に不利益な取扱いをすることを告げることその他の行為によって、公益通報を妨げてはならない。
2前項の規定に違反してされた合意その他の法律行為は、無効とする。

(通報者探索の禁止)

第十一条の三第二条第一項各号に定める事業者は、正当な理由がなく、公益通報者である旨を明らかにすることを要求することその他の公益通報者を特定することを目的とする行為をしてはならない。

(公益通報対応業務従事者の義務)

第十二条公益通報対応業務従事者又は公益通報対応業務従事者であった者は、正当な理由がなく、その公益通報対応業務に関して知り得た事項であって公益通報者を特定させるものを漏らしてはならない。

(行政機関がとるべき措置)

第十三条通報対象事実について処分又は勧告等をする権限を有する行政機関は、公益通報者から第三条第一項第二号及び第六条第一項第二号に定める公益通報をされた場合には、必要な調査を行い、当該公益通報に係る通報対象事実があると認めるときは、法令に基づく措置その他適当な措置をとらなければならない。
2通報対象事実について処分又は勧告等をする権限を有する行政機関(第二条第四項第一号に規定する職員を除く。)は、前項に規定する措置の適切な実施を図るため、第三条第一項第二号及び第六条第一項第二号に定める公益通報に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置をとらなければならない。
3第一項の公益通報が第二条第三項第一号に掲げる犯罪行為の事実を内容とする場合における当該犯罪の捜査及び公訴については、前二項の規定にかかわらず、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の定めるところによる。

(教示)

第十四条前条第一項の公益通報が誤って当該公益通報に係る通報対象事実について処分又は勧告等をする権限を有しない行政機関に対してされたときは、当該行政機関は、当該公益通報者に対し、当該公益通報に係る通報対象事実について処分又は勧告等をする権限を有する行政機関を教示しなければならない。

第四章 雑則

(助言及び指導)

第十五条内閣総理大臣は、第十一条第一項及び第二項(これらの規定を同条第三項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定の施行に関し必要があると認めるときは、事業者に対して、助言又は指導をすることができる。

(勧告及び命令等)

第十五条の二内閣総理大臣は、第十一条第一項(同条第三項の規定により読み替えて適用する場合を除く。)の規定に違反していると認めるときは、事業者に対して、その違反を是正するために必要な措置をとるべきことを勧告することができる。
2内閣総理大臣は、前項の規定による勧告を受けた者が、正当な理由がなく、当該勧告に係る措置をとらなかったときは、当該勧告を受けた者に対し、当該勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。
3内閣総理大臣は、前項の規定による命令をした場合には、その旨を公表することができる。
4内閣総理大臣は、第十一条第一項(同条第三項の規定により読み替えて適用する場合に限る。)及び第二項(同条第三項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定の施行に関し必要があると認めるときは、事業者に対して、勧告をすることができる。
5内閣総理大臣は、第十一条第二項(同条第三項の規定により読み替えて適用する場合を除く。)の規定に違反している事業者に対し、前項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者が、正当な理由がなく、当該勧告に係る措置をとらなかったときは、その旨を公表することができる。

(報告及び検査)

第十六条内閣総理大臣は、第十一条第一項(同条第三項の規定により読み替えて適用する場合を除く。)の規定の施行に必要な限度において、事業者に対し、報告をさせ、又はその職員に、事業者の事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2内閣総理大臣は、第十一条第一項(同条第三項の規定により読み替えて適用する場合に限る。)及び第二項(同条第三項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定の施行に必要な限度において、事業者に対し、報告を求めることができる。
3第一項の規定により職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
4第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(関係行政機関への照会等)

第十七条内閣総理大臣は、この法律の規定に基づく事務に関し、関係行政機関に対し、照会し、又は協力を求めることができる。

(内閣総理大臣による情報の収集、整理及び提供)

第十八条内閣総理大臣は、公益通報及び公益通報者の状況に関する情報その他その普及が公益通報者の保護及び公益通報の内容の活用による国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法令の規定の遵守に資することとなる情報の収集、整理及び提供に努めなければならない。

(権限の委任)

第十九条内閣総理大臣は、この法律による権限(政令で定めるものを除く。)を消費者庁長官に委任する。

(適用除外)

第二十条第十五条から第十六条までの規定は、国及び地方公共団体には、適用しない。

第五章 罰則

第二十一条第三条第一項の規定に違反して解雇等特定不利益取扱いをしたときは、当該違反行為をした者は、六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
2次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、三十万円以下の罰金に処する。
一第十五条の二第二項の規定による命令に違反したとき。
二第十六条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
第二十二条第十二条の規定に違反して同条に規定する事項を漏らした者は、三十万円以下の罰金に処する。
第二十三条法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本項の罰金刑を科する。
一第二十一条第一項三千万円以下の罰金刑
二第二十一条第二項同項の罰金刑
2前項(第一号に係る部分に限る。)の規定は、国及び地方公共団体には、適用しない。
第二十四条第十六条第二項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、二十万円以下の過料に処する。

附 則

(施行期日)

第一条この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行し、この法律の施行後にされた公益通報について適用する。

(検討)

第二条政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

附 則(平成一八年六月一四日法律第六六号)抄

この法律は、平成十八年証券取引法改正法の施行の日から施行する。

附 則(平成一九年一二月五日法律第一二八号)抄

(施行期日)

第一条この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

附 則(平成二四年四月六日法律第二七号)抄

(施行期日)

第一条この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

附 則(平成二五年六月二八日法律第七〇号)抄

(施行期日)

第一条この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

附 則(平成二九年六月二三日法律第七〇号)抄

(施行期日)

第一条この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

附 則(令和二年六月一二日法律第五一号)抄

(施行期日)

第一条この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、附則第三条及び第四条の規定は、公布の日から施行する。

(経過措置)

第二条この法律による改正後の公益通報者保護法(以下「新法」という。)の規定は、この法律の施行後にされる新法第二条第一項に規定する公益通報について適用し、この法律の施行前にされたこの法律による改正前の公益通報者保護法第二条第一項に規定する公益通報については、なお従前の例による。
第三条内閣総理大臣は、この法律の施行前においても、新法第十一条第四項から第七項までの規定の例により、事業者がとるべき措置に関する指針を定めることができる。
2前項の規定により定められた指針は、この法律の施行の日において新法第十一条第四項の規定により定められたものとみなす。

(政令への委任)

第四条前二条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

(検討)

第五条政府は、この法律の施行後三年を目途として、新法の施行の状況を勘案し、新法第二条第一項に規定する公益通報をしたことを理由とする同条第二項に規定する公益通報者に対する不利益な取扱いの是正に関する措置の在り方及び裁判手続における請求の取扱いその他新法の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

附 則(令和三年五月一九日法律第三六号)抄

(施行期日)

第一条この法律は、令和三年九月一日から施行する。ただし、附則第六十条の規定は、公布の日から施行する。

(処分等に関する経過措置)

第五十七条この法律の施行前にこの法律による改正前のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。以下この条及び次条において「旧法令」という。)の規定により従前の国の機関がした認定等の処分その他の行為は、法令に別段の定めがあるもののほか、この法律の施行後は、この法律による改正後のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。以下この条及び次条において「新法令」という。)の相当規定により相当の国の機関がした認定等の処分その他の行為とみなす。
2この法律の施行の際現に旧法令の規定により従前の国の機関に対してされている申請、届出その他の行為は、法令に別段の定めがあるもののほか、この法律の施行後は、新法令の相当規定により相当の国の機関に対してされた申請、届出その他の行為とみなす。
3この法律の施行前に旧法令の規定により従前の国の機関に対して申請、届出その他の手続をしなければならない事項で、この法律の施行の日前に従前の国の機関に対してその手続がされていないものについては、法令に別段の定めがあるもののほか、この法律の施行後は、これを、新法令の相当規定により相当の国の機関に対してその手続がされていないものとみなして、新法令の規定を適用する。

(命令の効力に関する経過措置)

第五十八条旧法令の規定により発せられた内閣府設置法第七条第三項の内閣府令又は国家行政組織法第十二条第一項の省令は、法令に別段の定めがあるもののほか、この法律の施行後は、新法令の相当規定に基づいて発せられた相当の第七条第三項のデジタル庁令又は国家行政組織法第十二条第一項の省令としての効力を有するものとする。

(政令への委任)

第六十条附則第十五条、第十六条、第五十一条及び前三条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。

附 則(令和七年六月一一日法律第六二号)

(施行期日)

第一条この法律は、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、附則第八条の規定は、公布の日から施行する。

(経過措置の原則)

第二条この法律による改正後の公益通報者保護法(以下「新法」という。)の規定(罰則を除く。)は、この附則に特別の定めがある場合を除き、この法律の施行前にされたこの法律による改正前の公益通報者保護法(附則第六条において「旧法」という。)第二条第一項に規定する公益通報にも適用する。

(労働者に対する不利益取扱いに関する経過措置)

第三条新法第三条第一項及び第二項の規定は、この法律の施行後にされた解雇その他不利益な取扱いについて適用し、この法律の施行前にされた解雇その他不利益な取扱いについては、なお従前の例による。
2新法第三条第三項の規定は、解雇以外の不利益な取扱いについては、この法律の施行後に懲戒(同条第二項に規定する懲戒をいう。)としてされたものについて適用する。
3この法律の施行前にされた解雇に係る新法第三条第三項の規定の適用については、同項中「前項」とあるのは、「公益通報者保護法の一部を改正する法律(令和七年法律第六十二号)による改正前の第三条」とする。

(派遣労働者に対する不利益取扱いに関する経過措置)

第四条新法第四条第一項(第一号に係る部分に限る。)の規定は、この法律の施行後にされた同号に掲げる行為について適用し、この法律の施行前にされた同号に掲げる行為に相当する行為については、なお従前の例による。

(通報妨害に係る法律行為の無効に関する経過措置)

第五条新法第十一条の二第二項の規定は、この法律の施行後にされた公益通報をしない旨の合意その他の法律行為について適用し、この法律の施行前にされた当該法律行為については、適用しない。

(報告及び勧告に関する経過措置)

第六条この法律の施行前に旧法第十五条の規定により報告を求められ、かつ、この法律の施行の際現に報告がされていないものについては、なお従前の例による。
2この法律の施行前に旧法第十五条の規定による勧告を受けた事業者が当該勧告に従わなかった場合における公表については、なお従前の例による。

(罰則に関する経過措置)

第七条この法律の施行前にした行為及び前条第一項の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(政令への委任)

第八条附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。

(検討)

第九条政府は、この法律の施行後三年を目途として、新法の施行の状況を勘案し、新法の規定について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
別表(第二条関係)
一刑法(明治四十年法律第四十五号)
二食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)
三金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)
四日本農林規格等に関する法律(昭和二十五年法律第百七十五号)
五大気汚染防止法(昭和四十三年法律第九十七号)
六廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)
七個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)
八前各号に掲げるもののほか、個人の生命又は身体の保護、消費者の利益の擁護、環境の保全、公正な競争の確保その他の国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法律として政令で定めるもの
索引
  • 第一条(目的)
  • 第二条(定義)
  • 第三条(労働者に対する不利益取扱いの禁止等)
  • 第四条(派遣労働者に対する不利益取扱いの禁止等)
  • 第五条(特定受託事業者に対する不利益取扱いの禁止)
  • 第六条(役員に対する不利益取扱いの禁止等)
  • 第七条(損害賠償の制限)
  • 第八条(解釈規定)
  • 第九条(一般職の国家公務員等に対する取扱い)
  • 第十条(他人の正当な利益等の尊重)
  • 第十一条(事業者がとるべき措置)
  • 第十一条の二(通報妨害の禁止等)
  • 第十一条の三(通報者探索の禁止)
  • 第十二条(公益通報対応業務従事者の義務)
  • 第十三条(行政機関がとるべき措置)
  • 第十四条(教示)
  • 第十五条(助言及び指導)
  • 第十五条の二(勧告及び命令等)
  • 第十六条(報告及び検査)
  • 第十七条(関係行政機関への照会等)
  • 第十八条(内閣総理大臣による情報の収集、整理及び提供)
  • 第十九条(権限の委任)
  • 第二十条(適用除外)
  • 第二十一条
  • 第二十二条
  • 第二十三条
  • 第二十四条
  • 附 則
  • 附 則(平成一八年六月一四日法律第六六号)抄
  • 附 則(平成一九年一二月五日法律第一二八号)抄
  • 附 則(平成二四年四月六日法律第二七号)抄
  • 附 則(平成二五年六月二八日法律第七〇号)抄
  • 附 則(平成二九年六月二三日法律第七〇号)抄
  • 附 則(令和二年六月一二日法律第五一号)抄
  • 附 則(令和三年五月一九日法律第三六号)抄
  • 附 則(令和七年六月一一日法律第六二号)
  • 別表(第二条関係)
履歴
未確定
令和7年法律第62号
令和7年6月11日
令和7年法律第62号
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