(目的)第一条この省令は、研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等(千九百八十六年七月十六日の工業、農業及び環境で組換え体を利用する際の安全性の考察に関する経済協力開発機構理事会勧告に準拠して審査がなされることが望ましい遺伝子組換え生物等である物の商業化又は実用化に向けた使用等を除く。以下同じ。)に当たって執るべき拡散防止措置及び執るべき拡散防止措置が定められていない場合の拡散防止措置の確認に関し必要な事項を定め、もって研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等の適正な実施を確保することを目的とする。
(定義)第二条この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。一遺伝子組換え実験研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等のうち、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(以下「法」という。)第二条第二項第一号に掲げる技術の利用により得られた核酸又はその複製物(以下「組換え核酸」という。)を有する遺伝子組換え生物等に係るもの(実験の過程において行われる保管及び運搬以外の保管及び運搬を除く。)をいう。二微生物使用実験遺伝子組換え実験のうち、微生物(菌界に属する生物(きのこ類を除く。)、原生生物界に属する生物、原核生物界に属する生物、ウイルス及びウイロイドをいう。以下同じ。)である遺伝子組換え生物等に係るもの(次号から第五号までに掲げるものを除く。)をいう。三大量培養実験遺伝子組換え実験のうち、微生物である遺伝子組換え生物等の使用等であって、培養又は発酵の用に供する設備(設備の総容量が二十リットルを超えるものに限る。以下「培養設備等」という。)を用いるものをいう。四動物使用実験遺伝子組換え実験のうち、動物(動物界に属する生物をいう。以下同じ。)である遺伝子組換え生物等(遺伝子組換え生物等を保有しているものを除く。)に係るもの(以下「動物作成実験」という。)及び動物により保有されている遺伝子組換え生物等に係るもの(以下「動物接種実験」という。)をいう。五植物等使用実験遺伝子組換え実験のうち、植物(植物界に属する生物をいう。以下同じ。)である遺伝子組換え生物等(遺伝子組換え生物等を保有しているものを除く。)に係るもの(以下「植物作成実験」という。)、きのこ類である遺伝子組換え生物等に係るもの(以下「きのこ作成実験」という。)及び植物により保有されている遺伝子組換え生物等に係るもの(以下「植物接種実験」という。)をいう。六細胞融合実験研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等のうち、法第二条第二項第二号に掲げる技術の利用により得られた核酸又はその複製物を有する遺伝子組換え生物等に係るもの(実験の過程において行われる保管及び運搬以外の保管及び運搬を除く。)をいう。七宿主組換え核酸が移入される生物をいう。八ベクター組換え核酸のうち、移入された宿主内で当該組換え核酸の全部又は一部を複製させるものをいう。九供与核酸組換え核酸のうち、ベクター以外のものをいう。十核酸供与体供与核酸が由来する生物(ヒトを含む。)をいう。十一実験分類宿主又は核酸供与体について定められる分類であって、遺伝子組換え実験に当たって執るべき拡散防止措置を生物多様性影響が生ずる可能性のある拡散の程度に応じて定める際に用いられるものをいう。十二同定済核酸供与核酸であって、次のイからハまでのいずれかに掲げるものをいう。イ遺伝子の塩基配列に基づき、当該供与核酸又は蛋たん白質その他の当該供与核酸からの生成物の機能が科学的知見に照らし推定されるものロ当該供与核酸が移入される宿主と同一の分類学上の種に属する生物の核酸又は自然条件において当該宿主の属する分類学上の種との間で核酸を交換する種に属する生物の核酸(当該宿主がウイルス又はウイロイドである場合を除く。)ハ自然条件において当該供与核酸が移入される宿主との間で核酸を交換するウイルス又はウイロイドの核酸(当該宿主がウイルス又はウイロイドである場合に限る。)十三認定宿主ベクター系特殊な培養条件下以外での生存率が低い宿主と当該宿主以外の生物への伝達性が低いベクターとの組合せであって、文部科学大臣が定めるものをいう。
(実験分類)第三条実験分類の名称は次の表の上欄に、各実験分類に属する宿主又は核酸供与体は同表の下欄に、それぞれ定めるとおりとする。一 クラス1微生物、きのこ類及び寄生虫のうち、哺ほ乳綱及び鳥綱に属する動物(ヒトを含む。以下「哺乳動物等」という。)に対する病原性がないものであって、文部科学大臣が定めるもの並びに動物(ヒトを含み、寄生虫を除く。)及び植物二 クラス2微生物、きのこ類及び寄生虫のうち、哺乳動物等に対する病原性が低いものであって、文部科学大臣が定めるもの三 クラス3微生物及びきのこ類のうち、哺乳動物等に対する病原性が高く、かつ、伝播性が低いものであって、文部科学大臣が定めるもの四 クラス4微生物のうち、哺乳動物等に対する病原性が高く、かつ、伝播性が高いものであって、文部科学大臣が定めるもの
(遺伝子組換え実験に係る拡散防止措置の区分及び内容)第四条遺伝子組換え実験(別表第一に掲げるものを除く。次条において同じ。)に係る拡散防止措置の区分及び内容は、次の各号に掲げる遺伝子組換え実験の種類に応じ、それぞれ当該各号に定めるとおりとする。一微生物使用実験別表第二の上欄に掲げる拡散防止措置の区分について、それぞれ同表の下欄に掲げる拡散防止措置の内容二大量培養実験別表第三の上欄に掲げる拡散防止措置の区分について、それぞれ同表の下欄に掲げる拡散防止措置の内容三動物使用実験別表第四の上欄に掲げる拡散防止措置の区分について、それぞれ同表の下欄に掲げる拡散防止措置の内容四植物等使用実験別表第五の上欄に掲げる拡散防止措置の区分について、それぞれ同表の下欄に掲げる拡散防止措置の内容
(遺伝子組換え実験に当たって執るべき拡散防止措置)第五条遺伝子組換え実験に当たって執るべき拡散防止措置は、次の各号に掲げる遺伝子組換え実験の種類に応じ、それぞれ当該各号に定めるとおりとする(遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律施行規則(平成十五年財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、環境省令第一号。以下「施行規則」という。)第十六条第一号、第二号及び第四号に掲げる場合並びに虚偽の情報の提供を受けていたために、第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置を執らないで第二種使用等をする場合を除く。)。一微生物使用実験次に掲げる遺伝子組換え生物等の区分に応じ、それぞれ次に定めるところによる。イ次のロからニまでに掲げる遺伝子組換え生物等以外の遺伝子組換え生物等宿主の実験分類又は核酸供与体の実験分類のうち、実験分類の名称中の数のいずれか小さくない方がクラス1、クラス2又はクラス3である場合に、それぞれ別表第二に掲げるP1レベル、P2レベル又はP3レベルの拡散防止措置とすること。ロ特定認定宿主ベクター系(認定宿主ベクター系のうち、特殊な培養条件下以外での生存率が極めて低い宿主と当該宿主以外の生物への伝達性が極めて低いベクターとの組合せであって、文部科学大臣が定めるものをいう。以下同じ。)を用いた遺伝子組換え生物等(ハに掲げる遺伝子組換え生物等を除く。)核酸供与体の実験分類がクラス1及びクラス2である場合にあっては別表第二に掲げるP1レベルの拡散防止措置とし、核酸供与体の実験分類がクラス3である場合にあっては別表第二に掲げるP2レベルの拡散防止措置とすること。ハ供与核酸が同定済核酸であり、かつ、哺乳動物等に対する病原性及び伝達性に関係しないことが科学的知見に照らし推定される遺伝子組換え生物等宿主の実験分類がクラス1又はクラス2である場合に、それぞれ別表第二に掲げるP1レベル又はP2レベルの拡散防止措置とすること。ニ認定宿主ベクター系を用いていない遺伝子組換え生物等であって、供与核酸が哺乳動物等に対する病原性又は伝達性に関係し、かつ、その特性により宿主の哺乳動物等に対する病原性を著しく高めることが科学的知見に照らし推定されるもの宿主の実験分類又は核酸供与体の実験分類のうち、実験分類の名称中の数のいずれか小さくない方がクラス1又はクラス2である場合に、それぞれ別表第二に掲げるP2レベル又はP3レベルの拡散防止措置とすること。二大量培養実験次に掲げる遺伝子組換え生物等の区分に応じ、それぞれ次に定めるところによる。イ次のロからホまでに掲げる遺伝子組換え生物等以外の遺伝子組換え生物等宿主の実験分類又は核酸供与体の実験分類のうち、実験分類の名称中の数のいずれか小さくない方がクラス1又はクラス2である場合に、それぞれ別表第三に掲げるLS1レベル又はLS2レベルの拡散防止措置とすること。ロ第一号ロに掲げる遺伝子組換え生物等(ホに掲げる遺伝子組換え生物等を除く。)核酸供与体の実験分類がクラス1及びクラス2である場合にあっては別表第三に掲げるLS1レベルの拡散防止措置とし、核酸供与体の実験分類がクラス3である場合にあっては別表第三に掲げるLS2レベルの拡散防止措置とすること。ハ第一号ハに掲げる遺伝子組換え生物等(ホに掲げる遺伝子組換え生物等を除く。)宿主の実験分類がクラス1又はクラス2である場合に、それぞれ別表第三に掲げるLS1レベル又はLS2レベルの拡散防止措置とすること。ニ第一号ニに掲げる遺伝子組換え生物等宿主の実験分類及び核酸供与体の実験分類がクラス1である場合に、別表第三に掲げるLS2レベルの拡散防止措置とすること。ホ次の(1)又は(2)に掲げる遺伝子組換え生物等別表第三に掲げるLSCレベルの拡散防止措置とすること。(1)認定宿主ベクター系を用いた遺伝子組換え生物等であって、核酸供与体の実験分類がクラス1であるもののうち、供与核酸が同定済核酸であり、かつ、哺乳動物等に対する病原性及び伝達性に関係しないことが科学的知見に照らし推定されるもの(2)別表第三に掲げるLSCレベルの拡散防止措置を執ることが適当である遺伝子組換え生物等として文部科学大臣が定めるもの三動物使用実験次に掲げる遺伝子組換え生物等の区分に応じ、それぞれ次に定めるところによる。イ次のロからホまでに掲げる遺伝子組換え生物等以外の遺伝子組換え生物等動物作成実験に係る遺伝子組換え生物等にあっては宿主の実験分類が、動物接種実験に係る遺伝子組換え生物等(動物により保有されているものに限る。)にあっては宿主の実験分類又は核酸供与体の実験分類のうち実験分類の名称中の数のいずれか小さくない方が、クラス1、クラス2又はクラス3である場合に、それぞれ別表第四に掲げるP1Aレベル、P2Aレベル又はP3Aレベルの拡散防止措置とすること。ロ第一号ロに掲げる遺伝子組換え生物等(ホに掲げる遺伝子組換え生物等を除く。)核酸供与体の実験分類がクラス1及びクラス2である場合にあっては別表第四に掲げるP1Aレベルの拡散防止措置とし、核酸供与体の実験分類がクラス3である場合にあっては別表第四に掲げるP2Aレベルの拡散防止措置とすること。ハ第一号ハに掲げる遺伝子組換え生物等(ホに掲げる遺伝子組換え生物等を除く。)宿主の実験分類がクラス1又はクラス2である場合に、それぞれ別表第四に掲げるP1Aレベル又はP2Aレベルの拡散防止措置とすること。ニ第一号ニに掲げる遺伝子組換え生物等動物作成実験に係る遺伝子組換え生物等にあっては宿主の実験分類が、動物接種実験に係る遺伝子組換え生物等(動物に保有されているものに限る。)にあっては宿主の実験分類又は核酸供与体の実験分類のうち実験分類の名称中の数のいずれか小さくない方が、クラス1又はクラス2である場合に、それぞれ別表第四に掲げるP2Aレベル又はP3Aレベルの拡散防止措置とすること。ホ次の(1)から(4)までに掲げる要件のいずれにも該当する遺伝子組換え生物等別表第四に掲げる特定飼育区画の拡散防止措置とすること。(1)供与核酸が同定済核酸であり、かつ、哺乳動物等に対する病原性及び伝達性に関係しないことが科学的知見に照らし推定されること。(2)供与核酸が宿主の染色体の核酸に組み込まれており、かつ、転移因子を含まないこと。(3)逃亡に関係する運動能力が宿主と比較して増大しないことが科学的知見に照らし推定されること。(4)微生物である遺伝子組換え生物等を保有していない動物であること。四植物等使用実験次に掲げる遺伝子組換え生物等の区分に応じ、それぞれ次に定めるところによる。イ次のロからホまでに掲げる遺伝子組換え生物等以外の遺伝子組換え生物等植物作成実験に係る遺伝子組換え生物等にあっては宿主の実験分類が、植物接種実験に係る遺伝子組換え生物等(植物により保有されているものに限る。)及びきのこ作成実験に係る遺伝子組換え生物等にあっては宿主の実験分類又は核酸供与体の実験分類のうち実験分類の名称中の数のいずれか小さくない方が、クラス1、クラス2又はクラス3である場合に、それぞれ別表第五に掲げるP1Pレベル、P2Pレベル又はP3Pレベルの拡散防止措置とすること。ロ第一号ロに掲げる遺伝子組換え生物等(ホに掲げる遺伝子組換え生物等を除く。)核酸供与体の実験分類がクラス1及びクラス2である場合にあっては別表第五に掲げるP1Pレベルの拡散防止措置とし、核酸供与体の実験分類がクラス3である場合にあっては別表第五に掲げるP2Pレベルの拡散防止措置とすること。ハ第一号ハに掲げる遺伝子組換え生物等(ホに掲げる遺伝子組換え生物等を除く。)宿主の実験分類がクラス1又はクラス2である場合に、それぞれ別表第五に掲げるP1Pレベル又はP2Pレベルの拡散防止措置とすること。ニ第一号ニに掲げる遺伝子組換え生物等植物作成実験に係る遺伝子組換え生物等にあっては宿主の実験分類が、植物接種実験に係る遺伝子組換え生物等(植物により保有されているものに限る。)及びきのこ作成実験に係る遺伝子組換え生物等にあっては宿主の実験分類又は核酸供与体の実験分類のうち実験分類の名称中の数のいずれか小さくない方が、クラス1又はクラス2である場合に、それぞれ別表第五に掲げるP2Pレベル又はP3Pレベルの拡散防止措置とすること。ホ次の(1)から(4)までに掲げる要件のいずれにも該当する遺伝子組換え生物等別表第五に掲げる特定網室の拡散防止措置とすること。(1)供与核酸が同定済核酸であり、かつ、哺乳動物等に対する病原性及び伝達性に関係しないことが科学的知見に照らし推定されること。(2)供与核酸が宿主の染色体の核酸に組み込まれており、かつ、転移因子を含まないこと。(3)花粉、胞子及び種子(以下「花粉等」という。)の飛散性並びに交雑性が宿主と比較して増大しないことが科学的知見に照らし推定されること。(4)微生物である遺伝子組換え生物等を保有していない植物であること。
(保管に当たって執るべき拡散防止措置)第六条研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等のうち、保管(遺伝子組換え実験又は細胞融合実験の過程において行われる保管を除く。)に当たって執るべき拡散防止措置は、次に定めるとおりとする(施行規則第十六条第一号、第二号及び第四号に掲げる場合並びに虚偽の情報の提供を受けていたために、第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置を執らないで第二種使用等をする場合を除く。)。一遺伝子組換え生物等が漏出、逃亡その他拡散しない構造の容器に入れ、かつ、当該容器の見やすい箇所に、遺伝子組換え生物等である旨を表示すること。二前号の遺伝子組換え生物等を入れた容器は、所定の場所に保管するものとし、保管場所が冷蔵庫その他の保管のための設備である場合には、当該設備の見やすい箇所に、遺伝子組換え生物等を保管している旨を表示すること。
(運搬に当たって執るべき拡散防止措置)第七条研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等のうち、運搬(遺伝子組換え実験又は細胞融合実験の過程において行われる運搬を除く。)に当たって執るべき拡散防止措置は、次に定めるとおりとする(施行規則第十六条第一号、第二号及び第四号に掲げる場合並びに虚偽の情報の提供を受けていたために、第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置を執らないで第二種使用等をする場合を除く。)。一遺伝子組換え生物等が漏出、逃亡その他拡散しない構造の容器に入れること。二当該遺伝子組換え生物等の遺伝子組換え実験又は細胞融合実験に当たって執るべき拡散防止措置が、P1レベル、P2レベル、LSCレベル、LS1レベル、P1Aレベル、P2Aレベル、特定飼育区画、P1Pレベル、P2Pレベル及び特定網室以外のものである場合にあっては、前号に規定する措置に加え、前号に規定する容器を、通常の運搬において事故等により当該容器が破損したとしても当該容器内の遺伝子組換え生物等が漏出、逃亡その他拡散しない構造の容器に入れること。三最も外側の容器(容器を包装する場合にあっては、当該包装)の見やすい箇所に、取扱いに注意を要する旨を表示すること。
(申請書の記載事項)第八条法第十三条第二項第四号の主務省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。一第二種使用等の名称二第二種使用等をする場所の名称及び所在地三第二種使用等の目的及び概要四遺伝子組換え生物等を保有している動物又は植物の特性(動物接種実験又は植物接種実験の場合に限る。)五微生物である遺伝子組換え生物等を保有している細胞等(動物及び植物以外のものに限る。以下この号において同じ。)の特性(微生物である遺伝子組換え生物等を保有している細胞等を用いる場合に限る。)
(施行期日)1この省令は、公布の日から施行する。(経過措置)2この省令の施行の際現にあるこの省令による改正前の様式(次項において「旧様式」という。)により使用されている書類は、この省令による改正後の様式によるものとみなす。3この省令の施行の際現にある旧様式による用紙については、合理的に必要と認められる範囲内で、当分の間、これを取り繕って使用することができる。