(定義)
第二条この法律において「対象農産物」とは、米穀、麦、大豆、てん菜、でん粉の製造の用に供するばれいしょその他の農産物であって、次の各号のいずれにも該当するものをいう。
二前号に該当する他の農産物と組み合わせた生産が広く行われているもの
2この法律において「生産条件不利補正対象農産物」とは、対象農産物のうち、我が国における標準的な生産費が標準的な販売価格を超えると認められるものであって、我が国における生産条件と外国における生産条件の格差から生ずる不利を補正する必要があるものとして政令で定めるものをいう。
3この法律において「収入減少影響緩和対象農産物」とは、対象農産物のうち、収入の減少が農業経営に及ぼす影響を緩和する必要があるものとして政令で定めるものをいう。
4この法律において「対象農業者」とは、次に掲げる要件に該当する者をいう。
一次のいずれかに該当するものであること。
イ農業経営基盤強化促進法(昭和五十五年法律第六十五号)第十三条第一項に規定する認定農業者
ロ農業経営基盤強化促進法第十四条の五第一項に規定する認定就農者
ハ農業経営基盤強化促進法第二十三条第四項に規定する特定農業団体その他の委託を受けて農作業を行う組織(地域における農地の利用の集積を確実に行うと見込まれること、農業経営を営む法人となることが確実であると見込まれることその他の農林水産省令で定める要件を満たすものに限り、法人を除く。)
二環境と調和のとれた農業生産に関して農林水産省令で定める基準を遵守していること。
三その耕作の業務の対象となる農地のうちに、現に耕作の目的に供されておらず、かつ、引き続き耕作の目的に供されないと見込まれる農地として農林水産省令で定めるものがないこと。
(生産条件に関する不利を補正するための交付金の交付)
第三条政府は、毎年度、予算の範囲内において、生産条件不利補正対象農産物を生産する対象農業者に対し、次に掲げる交付金を交付するものとする。
一当該年度における対象農業者の生産条件不利補正対象農産物の作付面積に応じて交付する交付金
二当該年度において対象農業者が生産した生産条件不利補正対象農産物の品質及び生産量に応じて交付する交付金
2前項第一号の交付金の金額は、対象農業者ごとに、生産条件不利補正対象農産物についての種類別の面積当たりの単価(以下「面積単価」という。)に、その者の当該年度における当該生産条件不利補正対象農産物の種類別の作付面積として農林水産省令で定めるものをそれぞれ乗じて得た金額を合算した金額とする。
3面積単価は、農林水産大臣が、対象農業者が生産した生産条件不利補正対象農産物の種類別の標準的な生産費、販売価格及び単位面積当たりの収穫量を考慮して定めるものとする。
4第一項第二号の交付金の金額は、対象農業者ごとに、生産条件不利補正対象農産物についての種類別及び農林水産省令で定める品質の区分(以下「品質区分」という。)別の数量当たりの単価(以下「数量単価」という。)に、その者の当該年度における当該生産条件不利補正対象農産物の品質区分別の生産量として農林水産省令で定めるものをそれぞれ乗じて得た金額を合算した金額から、調整額(同項第一号の交付金の金額を基礎として農林水産省令で定めるところにより算定した金額をいう。以下同じ。)を控除して得た金額とする。
5数量単価は、農林水産大臣が、対象農業者が生産した生産条件不利補正対象農産物の種類別の標準的な生産費、販売価格及び単位面積当たりの収穫量並びに生産条件不利補正対象農産物の種類別及び品質区分別の需要及び供給の動向を考慮して定めるものとする。
6農林水産大臣は、面積単価若しくは数量単価(以下「面積単価等」という。)を定め、又は調整額の算定に係る第四項の農林水産省令を制定し、若しくは改正するに当たっては、第一項各号の交付金の交付により生産条件不利補正対象農産物の生産に要する標準的な費用の額と生産条件不利補正対象農産物の販売による標準的な収入の額との差額の補塡を図ることを旨としなければならない。
7農林水産大臣は、面積単価等を定め、又は調整額の算定に係る第四項の農林水産省令を制定し、若しくは改正しようとするときは、食料・農業・農村政策審議会の意見を聴かなければならない。
8農林水産大臣は、面積単価等を定めたときは、遅滞なく、これを告示するものとする。
(収入の減少が農業経営に及ぼす影響を緩和するための交付金の交付)
第四条政府は、毎年度、予算の範囲内において、当該年度の前年度における収入減少影響緩和対象農産物に係る収入の額として農林水産省令で定めるところにより対象農業者ごとに算出した額(以下「前年度収入額」という。)が、収入減少影響緩和対象農産物に係る標準的な収入の額として農林水産省令で定めるところにより対象農業者ごとに算出した額(以下「標準的収入額」という。)を下回った場合には、収入減少影響緩和対象農産物を生産する対象農業者(収入減少影響緩和対象農産物に係る収入の減少がその経営に及ぼす影響を緩和するための積立金であってその額その他の事項が農林水産省令で定める基準に適合するものを積み立てているものに限る。)に対し、交付金を交付するものとする。
2前項の交付金の金額は、対象農業者ごとに、標準的収入額と前年度収入額との差額、当該差額の発生がその農業経営に及ぼす影響及び収入の減少に備えて行われる取組の状況を考慮して農林水産省令で定めるところにより算定した金額とする。
3農林水産大臣は、前項の農林水産省令を制定し、又は改正しようとするときは、食料・農業・農村政策審議会の意見を聴かなければならない。
(交付金の返還)
第六条偽りその他不正の手段により第三条第一項各号又は第四条第一項の交付金の交付を受けた者があるときは、農林水産大臣は、その者に対してその交付を受けた交付金の全部又は一部の返還を命ずることができる。
2前項の規定により返還を命ぜられた金額を納付しない者があるときは、農林水産大臣は、期限を指定してこれを督促しなければならない。
3前項の規定による督促を受けた者がその指定期限までに第一項の規定により返還を命ぜられた金額を納付しないときは、農林水産大臣は、国税滞納処分の例によりこれを処分することができる。
4前項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。