(観光圏整備計画)
第四条市町村又は都道府県は、基本方針に基づき、単独で又は共同して、当該市町村又は都道府県の区域内について、観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進を総合的かつ一体的に図るための計画(以下「観光圏整備計画」という。)を作成することができる。
2観光圏整備計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する基本的な方針
五前号の目標を達成するために行う観光圏整備事業及びその実施主体に関する事項
七前各号に掲げるもののほか、観光圏整備計画の実施に関し当該市町村又は都道府県が必要と認める事項
3観光圏整備計画は、国土形成計画その他法律の規定による地域振興に関する計画、地域森林計画その他法律の規定による森林の整備に関する計画並びに都市計画及び都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第十八条の二に規定する市町村の都市計画に関する基本的な方針との調和が保たれたものでなければならない。
4市町村又は都道府県は、観光圏整備計画を作成しようとするときは、あらかじめ、住民その他利害関係者の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。
5市町村又は都道府県は、観光圏整備計画を作成しようとするときは、これに定めようとする第二項第五号に掲げる事項について、次条第一項の協議会が組織されている場合には協議会における協議を、同項の協議会が組織されていない場合には観光圏整備事業を実施すると見込まれる者と協議をしなければならない。
6市町村又は都道府県は、第二項第五号に掲げる事項に、農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律(平成十九年法律第四十八号)第三条各号に掲げる要件に該当する地域に係る同法第五条第二項第二号又は第三号に掲げる事業又は事務(いずれも同項第二号ハに掲げる事業に係るものに限る。)であって同法第七条第二項の交付金を充てて実施をしようとするもの(第九条において「農山漁村交流促進事業」という。)のうち、同法第五条第五項に規定する農林漁業団体等が実施するものに関する事項を定めようとするときは、当該事項について、あらかじめ、当該農林漁業団体等の同意を得なければならない。
7市町村又は都道府県は、観光圏整備計画を作成したときは、遅滞なく、これを公表するとともに、市町村にあっては主務大臣、関係する都道府県(当該市町村と共同して当該観光圏整備計画を作成した都道府県を除く。)及び観光圏整備事業を実施すると見込まれる者に、都道府県にあっては主務大臣、関係する市町村(当該都道府県と共同して当該観光圏整備計画を作成した市町村を除く。)及び観光圏整備事業を実施すると見込まれる者に、観光圏整備計画を送付しなければならない。
8主務大臣及び都道府県は、前項の規定により観光圏整備計画の送付を受けたときは、主務大臣にあっては市町村又は都道府県に対し、都道府県にあっては市町村に対し、必要な助言をすることができる。
9第三項から前項までの規定は、観光圏整備計画の変更について準用する。
(協議会)
第五条観光圏整備計画を作成しようとする市町村又は都道府県は、観光圏整備計画の作成に関する協議及び観光圏整備計画の実施に係る連絡調整を行うための協議会(以下「協議会」という。)を組織することができる。
2協議会は、次に掲げる者をもって構成する。
一観光圏整備計画を作成しようとする市町村又は都道府県
二一般社団法人、一般財団法人、特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人その他の観光圏整備事業の推進を図るのにふさわしい者として主務省令で定めるもの
三前二号に掲げる者のほか、観光圏整備事業を実施すると見込まれる者
四関係する住民、学識経験者その他の当該市町村又は都道府県が必要と認める者
3第一項の規定により協議会を組織する市町村又は都道府県は、同項に規定する協議を行う旨を前項第二号及び第三号に掲げる者に通知しなければならない。
4前項の規定による通知を受けた者は、正当な理由がある場合を除き、当該通知に係る協議に応じなければならない。
5協議会において協議が調った事項については、協議会の構成員はその協議の結果を尊重しなければならない。
6主務大臣及び都道府県は、観光圏整備計画の作成が円滑に行われるように、協議会の構成員の求めに応じて、必要な助言をすることができる。
7前各項に定めるもののほか、協議会の運営に関し必要な事項は、協議会が定める。
(観光圏整備事業の実施)
第七条第四条第一項の規定により観光圏整備計画が作成されたときは、観光圏整備事業を実施しようとする者は、共同して、当該観光圏整備計画に即して観光圏整備事業を実施するための計画(以下「観光圏整備実施計画」という。)を作成し、これに基づき、当該観光圏整備事業を実施するものとする。
2観光圏整備実施計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一観光圏整備事業の目標及び内容(滞在促進地区において実施するものにあっては、その旨を含む。)
三観光圏整備事業を実施するのに必要な資金の額及びその調達方法
3観光圏整備事業を実施しようとする者は、観光圏整備実施計画を定めようとするときは、あらかじめ、関係する市町村又は都道府県の意見を聴かなければならない。
4観光圏整備事業を実施しようとする者は、観光圏整備実施計画を定めたときは、遅滞なく、これを関係する市町村又は都道府県に送付しなければならない。
5前二項の規定は、観光圏整備実施計画の変更について準用する。
(観光圏整備実施計画の認定)
第八条観光圏整備事業を実施しようとする者は、共同して、国土交通大臣に対し、観光圏整備実施計画が観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進を適切かつ確実に図るために適当なものである旨の認定を申請することができる。
2前項の規定による認定の申請は、関係する市町村又は都道府県を経由して行わなければならない。この場合において、関係する市町村又は都道府県は、当該観光圏整備実施計画を検討し、意見を付して、国土交通大臣に送付するものとする。
3国土交通大臣は、第一項の規定による認定の申請があった場合において、その観光圏整備実施計画が次の各号のいずれにも適合するものであると認めるときは、その認定をするものとする。
一観光圏整備実施計画に定める事項が基本方針に照らして適切なものであること。
二観光圏整備実施計画に定める事項が観光圏整備事業を確実に遂行するため適切なものであること。
三観光圏整備実施計画に定められた観光圏整備事業のうち、滞在促進地区において実施するものについては、当該観光圏における観光旅客の滞在を促進するため有効なものであること。
四観光圏整備実施計画に定められた観光圏整備事業のうち、観光案内所の運営に係るものについては、当該観光圏整備事業に係る全ての観光案内所において、観光圏の全域にわたる観光に関する情報が適切に提供されるものであること。
五観光圏整備実施計画に定められた観光圏整備事業のうち、第十二条第一項前段に規定する観光圏内限定旅行業者代理業に該当するものについては、当該事業を実施しようとする者が旅行業法(昭和二十七年法律第二百三十九号)第六条第一項各号(第九号及び第十号を除く。)のいずれにも該当せず、かつ、営業所ごとに同法第十一条の二に規定する旅行業務取扱管理者又は第十二条第四項前段に規定する観光圏内限定旅行業務取扱管理者を確実に選任すると認められること。
4国土交通大臣は、前項の認定をしたときは、遅滞なく、その旨を関係する市町村又は都道府県に通知するものとする。
5第三項の認定を受けた者(以下「認定観光圏整備事業者」という。)は、当該認定に係る観光圏整備実施計画を変更しようとするときは、共同して、国土交通大臣の認定を受けなければならない。ただし、国土交通省令で定める軽微な変更については、この限りでない。
6認定観光圏整備事業者は、前項ただし書の国土交通省令で定める軽微な変更をしたときは、遅滞なく、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
7第二項から第四項までの規定は、第五項の変更の認定について準用する。
8国土交通大臣は、第三項の認定に係る観光圏整備実施計画(第五項の変更の認定又は第六項の規定による変更の届出があったときは、その変更後のもの。以下「認定観光圏整備実施計画」という。)が第三項各号のいずれかに適合しなくなったと認めるとき、又は認定観光圏整備事業者が認定観光圏整備実施計画に従って観光圏整備事業を実施していないと認めるときは、その認定を取り消すことができる。
9第三項の認定、第五項の変更の認定及び第六項の規定による変更の届出に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。
(旅行業法の特例)
第十二条観光圏整備事業を実施しようとする者であって滞在促進地区において旅館業法(昭和二十三年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する旅館業(同条第四項に規定する下宿営業その他の国土交通省令で定めるものを除く。)を営むもの(旅行業法第三条の登録を受けた者を除く。)が、観光旅客の宿泊に関するサービスの改善及び向上を図るために実施する旅行業法第二条第二項に規定する旅行業者代理業であって、当該観光圏内の旅行(宿泊者の滞在の促進に資するものとして国土交通省令で定めるものに限る。)に関し宿泊者と同条第三項に規定する旅行業務(以下単に「旅行業務」という。)の取扱いに係る契約を締結する行為を行うもの(以下「観光圏内限定旅行業者代理業」という。)に関する事項が記載された観光圏整備実施計画について、第八条第三項の認定を受けた場合において、認定観光圏整備実施計画に従って観光圏内限定旅行業者代理業を実施するに当たり、同法第三条の旅行業者代理業の登録を受け、又は同法第六条の四第三項の規定による届出をしなければならないときは、これらの規定による登録を受け、又は届出をしたものとみなす。この場合においては、同法第十二条の九第一項の規定は、適用しない。
2前項の規定により旅行業法第三条の登録を受けたものとみなされた者(以下「観光圏内限定旅行業者代理業者」という。)は、営業所において、国土交通省令で定める様式の標識を、公衆に見やすいように掲示しなければならない。
3次の各号に掲げる者は、それぞれ当該各号に定める標識を掲示してはならない。
一観光圏内限定旅行業者代理業者旅行業法第十二条の九第一項の標識
三旅行業法第十一条の二第一項に規定する旅行業者等(同法以外の法律の規定により同法第三条の登録を受けたものとみなされた者を含む。)以外の者前項の標識に類似する標識
4観光圏内限定旅行業者代理業者は、その営業所に、旅行業法第十一条の二第一項の規定により選任しなければならないものとされている旅行業務取扱管理者に代えて、次に掲げる要件に該当する観光圏内限定旅行業務取扱管理者を選任することができる。この場合においては、観光圏内限定旅行業務取扱管理者を同項に規定する旅行業務取扱管理者とみなして、同法の規定を適用する。
一旅行業法第六条第一項第一号から第六号までのいずれにも該当しないこと。
二旅行業務の取扱いについての国土交通省令で定める研修の課程を修了したことその他の当該営業所における旅行業務に関し旅行業法第十一条の二第一項に規定する事務を行うのに必要な知識及び能力を有するものとして国土交通省令で定める要件を備えること。
(認定観光圏整備事業の実施に係る勧告等)
第十六条市町村又は都道府県は、観光圏整備計画に定められた観光圏整備事業が実施されていないと認めるときは、当該観光圏整備事業を実施すべき者に対し、その実施を要請することができる。
2市町村又は都道府県は、認定観光圏整備実施計画に定められた観光圏整備事業(以下「認定観光圏整備事業」という。)について、前項の規定による要請を受けた者が当該要請に応じないときは、その旨を国土交通大臣に通知することができる。
3国土交通大臣は、前項の規定による通知があった場合において、第一項の規定による要請を受けた者が正当な理由がなくてその要請に係る認定観光圏整備事業を実施していないと認めるときは、当該要請を受けた者に対し、認定観光圏整備実施計画に従って当該認定観光圏整備事業を実施すべきことを勧告することができる。
4国土交通大臣は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができる。
(認定観光圏整備事業者による提案等)
第十八条認定観光圏整備事業者は、観光庁長官に対し、認定観光圏整備実施計画の実施を通じて得られた知見に基づき、当該認定観光圏整備実施計画の円滑かつ確実な実施が促進されるよう、政府の観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する施策の改善についての提案をすることができる。
2観光庁長官は、前項の提案について検討を加え、遅滞なく、その結果を当該認定観光圏整備事業者に通知するとともに、インターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。
3観光庁長官は、前項の規定による通知をしようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議しなければならない。
4観光庁長官は、観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進並びに観光分野における地域間の競争の促進に資するため、観光旅客の宿泊の状況に関する統計その他の観光に関する情報の収集、整理、分析及び提供を行うものとする。