(検査)
第三条海上保安庁長官は、我が国の内水にある船舶が北朝鮮特定貨物を積載していると認めるに足りる相当な理由があるときは、海上保安官に、次に掲げる措置をとらせることができる。
二当該船舶に立ち入り、貨物、書類その他の物件を検査し、又は当該船舶の乗組員その他の関係者に質問すること。
三検査のため必要な最小限度の分量に限り試料を収去すること。
四検査のため必要な限度において、貨物の陸揚げ若しくは積替えをし、又は船長等に貨物の陸揚げ若しくは積替えをするよう指示すること。
2海上保安庁長官は、我が国の領海又は公海(海洋法に関する国際連合条約に規定する排他的経済水域を含む。以下同じ。)にある船舶が北朝鮮特定貨物を積載していると認めるに足りる相当な理由があるときは、海上保安官に、次に掲げる措置をとらせることができる。
一船長等に、検査のため当該船舶の進行を停止するよう求めること。
二船長等の承諾を得て、前項第二号又は第三号に掲げる措置をとること。
三検査のため必要な限度において、船長等の承諾を得て貨物の陸揚げ若しくは積替えをし、又は船長等に貨物の陸揚げ若しくは積替えをするよう求めること。
3税関長は、我が国の港にある船舶又は我が国の空港にある航空機(軍用機及び各国政府が所有し又は運航する航空機であって非商業的目的のみに使用されるものを除く。以下同じ。)が北朝鮮特定貨物を積載していると認めるに足りる相当な理由があるときは、税関職員に、次に掲げる措置をとらせることができる。
一当該船舶若しくは当該航空機に立ち入り、貨物、書類その他の物件を検査し、又は当該船舶若しくは当該航空機の乗組員その他の関係者に質問すること。
二検査のため必要な最小限度の分量に限り試料を収去すること。
三検査のため必要な限度において、貨物の陸揚げ若しくは積替えをし、又は当該船舶の船長等若しくは当該航空機の機長若しくはこれに代わってその職務を行う者(次条第二項において「機長等」という。)に貨物の陸揚げ若しくは積替えをするよう指示すること。
4税関長は、保税地域(関税法第二十九条に規定する保税地域をいい、同法第三十条第一項第二号の規定により税関長が指定した場所を含む。次条第二項において同じ。)に置かれている貨物のうちに北朝鮮特定貨物があると認めるに足りる相当な理由があるときは、税関職員に、貨物、書類その他の物件を検査させ、所有者、占有者、管理者その他の関係者に質問させ、又は検査のため必要な最小限度の分量に限り試料を収去させることができる。
5海上保安官及び税関職員は、前各項の規定による検査をするときは、国土交通省令・財務省令で定めるところにより、制服を着用し、又はその身分を示す証票を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
6第一項から第四項までの規定による検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(保管)
第五条海上保安庁長官又は税関長は、前条の規定により提出を受けた北朝鮮特定貨物(以下この条において「提出貨物」という。)を保管するものとする。
2海上保安庁長官又は税関長は、前項の規定により提出貨物を保管したときは、当該提出貨物の内容その他の国土交通省令・財務省令で定める事項を官報への掲載、インターネットの利用その他の適切な方法により公告するものとする。この場合において、当該提出貨物の所有者及びその所在が判明しているときは、その者に当該公告に係る事項を通知するものとする。
3海上保安庁長官又は税関長は、第一項の規定により提出貨物を保管した場合において、次のいずれかに該当することとなったときは、当該提出貨物をその所有者又は提出者に返還するものとする。
一当該提出貨物が次に掲げる区分に応じそれぞれ次に定める物資に該当しなくなったとき。
イ第二条第一号イに係る提出貨物同号イに規定する政令で定める物資
ロ第二条第一号ロに係る提出貨物同号ロに規定する政令で定める物資
二当該提出貨物(第二条第一号イに係るものに限る。)について、その所有者又は提出者から、国土交通省令・財務省令で定める北朝鮮への輸出を防止するための措置を講じた上で、返還の申出があったとき。
4第二項の規定は、前項第一号に規定する場合について準用する。この場合において、第二項中「当該提出貨物の内容」とあるのは、「当該提出貨物について次項第一号に該当することとなったこと」と読み替えるものとする。
5海上保安庁長官又は税関長は、提出貨物が細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約等の実施に関する法律(昭和五十七年法律第六十一号)第二条第三項に規定する生物兵器若しくは同条第四項に規定する毒素兵器又は化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律(平成七年法律第六十五号)第二条第二項に規定する化学兵器に該当するときは、政令で定めるところにより、当該提出貨物を廃棄しなければならない。
6海上保安庁長官又は税関長は、提出貨物が次のいずれかに該当するときは(第二号に該当する場合にあっては、第二項の規定による公告をした日から起算して三月を経過した日以後)、政令で定めるところにより、これを売却することができる。
7前項の規定による売却(以下この条において単に「売却」という。)による代金は、売却に要した費用に充てることができる。
8売却をしたときは、当該提出貨物の保管、返還及び帰属については、売却による代金から売却に要した費用を控除した残額を当該提出貨物とみなす。
9海上保安庁長官又は税関長は、提出貨物が第六項各号のいずれかに該当する場合において、売却につき買受人がないとき又は売却による代金の見込額が売却に要する費用の額に満たないと認められるときは、政令で定めるところにより、当該提出貨物について廃棄その他の処分をすることができる。
10第三項第一号に該当することとなった場合において、第四項において準用する第二項の規定による公告をした日から起算して一年を経過してもなお提出貨物の返還を受けるべき者若しくはその者の所在が判明しないこと又はその者が提出貨物の引取りをしないことにより提出貨物を返還することができないときは、当該提出貨物の所有権は、国に帰属する。
11前各項に規定するもののほか、提出貨物の保管及び売却、廃棄その他の処分に関して必要な事項は、国土交通省令・財務省令で定める。