(所有者不明土地管理命令及び所有者不明建物管理命令)
第九十条民法第二編第三章第四節の規定による非訟事件は、裁判を求める事項に係る不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。
2裁判所は、次に掲げる事項を公告し、かつ、第二号の期間が経過した後でなければ、所有者不明土地管理命令(民法第二百六十四条の二第一項に規定する所有者不明土地管理命令をいう。以下この条において同じ。)をすることができない。この場合において、同号の期間は、一箇月を下ってはならない。
一所有者不明土地管理命令の申立てがその対象となるべき土地又は共有持分についてあったこと。
二所有者不明土地管理命令をすることについて異議があるときは、所有者不明土地管理命令の対象となるべき土地又は共有持分を有する者は一定の期間内にその旨の届出をすべきこと。
三前号の届出がないときは、所有者不明土地管理命令がされること。
3民法第二百六十四条の三第二項又は第二百六十四条の六第二項の許可の申立てをする場合には、その許可を求める理由を疎明しなければならない。
4裁判所は、民法第二百六十四条の六第一項の規定による解任の裁判又は同法第二百六十四条の七第一項の規定による費用若しくは報酬の額を定める裁判をする場合には、所有者不明土地管理人(同法第二百六十四条の二第四項に規定する所有者不明土地管理人をいう。以下この条において同じ。)の陳述を聴かなければならない。
5次に掲げる裁判には、理由を付さなければならない。
二民法第二百六十四条の三第二項又は第二百六十四条の六第二項の許可の申立てを却下する裁判
三民法第二百六十四条の六第一項の規定による解任の申立てについての裁判
6所有者不明土地管理命令があった場合には、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分について、所有者不明土地管理命令の登記を嘱託しなければならない。
7所有者不明土地管理命令を取り消す裁判があったときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、所有者不明土地管理命令の登記の抹消を嘱託しなければならない。
8所有者不明土地管理人は、所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分及び所有者不明土地管理命令の効力が及ぶ動産の管理、処分その他の事由により金銭が生じたときは、その土地の所有者又はその共有持分を有する者のために、当該金銭を所有者不明土地管理命令の対象とされた土地(共有持分を対象として所有者不明土地管理命令が発せられた場合にあっては、共有物である土地)の所在地の供託所に供託することができる。この場合において、供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。
9裁判所は、所有者不明土地管理命令を変更し、又は取り消すことができる。
10裁判所は、管理すべき財産がなくなったとき(管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、所有者不明土地管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、所有者不明土地管理命令を取り消さなければならない。
11所有者不明土地等(民法第二百六十四条の三第一項に規定する所有者不明土地等をいう。以下この条において同じ。)の所有者(その共有持分を有する者を含む。以下この条において同じ。)が所有者不明土地等の所有権(その共有持分を含む。)が自己に帰属することを証明したときは、裁判所は、当該所有者の申立てにより、所有者不明土地管理命令を取り消さなければならない。この場合において、所有者不明土地管理命令が取り消されたときは、所有者不明土地管理人は、当該所有者に対し、その事務の経過及び結果を報告し、当該所有者に帰属することが証明された財産を引き渡さなければならない。
12所有者不明土地管理命令及びその変更の裁判は、所有者不明土地等の所有者に告知することを要しない。
13所有者不明土地管理命令の取消しの裁判は、事件の記録上所有者不明土地等の所有者及びその所在が判明している場合に限り、その所有者に告知すれば足りる。
14次の各号に掲げる裁判に対しては、当該各号に定める者に限り、即時抗告をすることができる。
二民法第二百六十四条の六第一項の規定による解任の裁判利害関係人
三民法第二百六十四条の七第一項の規定による費用又は報酬の額を定める裁判所有者不明土地管理人
四第九項から第十一項までの規定による変更又は取消しの裁判利害関係人
15次に掲げる裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
一民法第二百六十四条の二第四項の規定による所有者不明土地管理人の選任の裁判
二民法第二百六十四条の三第二項又は第二百六十四条の六第二項の許可の裁判
16第二項から前項までの規定は、民法第二百六十四条の八第一項に規定する所有者不明建物管理命令及び同条第四項に規定する所有者不明建物管理人について準用する。
(管理不全土地管理命令及び管理不全建物管理命令)
第九十一条民法第二編第三章第五節の規定による非訟事件は、裁判を求める事項に係る不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。
2民法第二百六十四条の十第二項又は第二百六十四条の十二第二項の許可の申立てをする場合には、その許可を求める理由を疎明しなければならない。
3裁判所は、次の各号に掲げる裁判をする場合には、当該各号に定める者の陳述を聴かなければならない。ただし、第一号に掲げる裁判をする場合において、その陳述を聴く手続を経ることにより当該裁判の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。
一管理不全土地管理命令(民法第二百六十四条の九第一項に規定する管理不全土地管理命令をいう。以下この条において同じ。)管理不全土地管理命令の対象となるべき土地の所有者
二民法第二百六十四条の十第二項の許可の裁判管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者
三民法第二百六十四条の十二第一項の規定による解任の裁判管理不全土地管理人(同法第二百六十四条の九第三項に規定する管理不全土地管理人をいう。以下この条において同じ。)
四民法第二百六十四条の十三第一項の規定による費用の額を定める裁判管理不全土地管理人
五民法第二百六十四条の十三第一項の規定による報酬の額を定める裁判管理不全土地管理人及び管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者
4次に掲げる裁判には、理由を付さなければならない。
二民法第二百六十四条の十第二項の許可の申立てについての裁判
三民法第二百六十四条の十二第一項の規定による解任の申立てについての裁判
四民法第二百六十四条の十二第二項の許可の申立てを却下する裁判
5管理不全土地管理人は、管理不全土地管理命令の対象とされた土地及び管理不全土地管理命令の効力が及ぶ動産の管理、処分その他の事由により金銭が生じたときは、その土地の所有者(その共有持分を有する者を含む。)のために、当該金銭を管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所在地の供託所に供託することができる。この場合において、供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。
6裁判所は、管理不全土地管理命令を変更し、又は取り消すことができる。
7裁判所は、管理すべき財産がなくなったとき(管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、管理不全土地管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、管理不全土地管理命令を取り消さなければならない。
8次の各号に掲げる裁判に対しては、当該各号に定める者に限り、即時抗告をすることができる。
二民法第二百六十四条の十第二項の許可の裁判管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者
三民法第二百六十四条の十二第一項の規定による解任の裁判利害関係人
四民法第二百六十四条の十三第一項の規定による費用の額を定める裁判管理不全土地管理人
五民法第二百六十四条の十三第一項の規定による報酬の額を定める裁判管理不全土地管理人及び管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者
六前二項の規定による変更又は取消しの裁判利害関係人
9次に掲げる裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
一民法第二百六十四条の九第三項の規定による管理不全土地管理人の選任の裁判
10第二項から前項までの規定は、民法第二百六十四条の十四第一項に規定する管理不全建物管理命令及び同条第三項に規定する管理不全建物管理人について準用する。