(会社の設立等)
第二条国土交通大臣は、設立委員を命じ、会社の設立に関して発起人の職務を行わせる。
2設立委員は、定款を作成して、国土交通大臣の認可を受けなければならない。
3国土交通大臣は、前項の認可をしようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。
4会社の設立に際して発行する株式に関する次に掲げる事項及び会社が発行することができる株式の総数は、定款で定めなければならない。
一株式の数(会社を種類株式発行会社(会社法第二条第十三号に規定する種類株式発行会社をいう。)として設立しようとする場合にあっては、その種類及び種類ごとの数)
二株式の払込金額(株式一株と引換えに払い込む金銭又は給付する金銭以外の財産の額をいう。)
5会社の設立に際して発行する株式の総数は、政府が引き受けるものとし、設立委員は、これを政府に割り当てるものとする。
6政府は、会社の設立に際し、会社に対し、政府の保有する関西国際空港株式会社(以下「関西空港会社」という。)の株式の一部を出資するものとする。
7会社の設立に係る会社法第六十五条第一項の規定の適用については、同項中「第五十八条第一項第三号の期日又は同号の期間の末日のうち最も遅い日以後」とあるのは、「関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律(平成二十三年法律第五十四号)附則第二条第五項の規定による株式の割当後」とする。
8第六項の規定により政府が行う出資に係る給付は、前条第二号に掲げる規定の施行の日に行われるものとし、会社は、会社法第四十九条の規定にかかわらず、その時に成立する。
9会社は、会社法第九百十一条第一項の規定にかかわらず、会社の成立後遅滞なく、その設立の登記をしなければならない。
10会社法第三十条及び第二編第一章第三節の規定は、会社の設立については、適用しない。
11会社は、その成立後施行日の前日までの間は、次に掲げる業務を行うものとする。
12関西国際空港株式会社法(昭和五十九年法律第五十三号)第五条の規定は、会社の商号については、適用しない。
(承継方針)
第三条国土交通大臣は、関西空港会社が営んでいる事業並びに関西空港会社の権利及び義務(以下「関西空港会社の事業等」という。)並びに独立行政法人空港周辺整備機構(以下「機構」という。)が行っている業務並びに機構の権利及び義務(以下「機構の業務等」という。)の会社への適正かつ円滑な承継を図るため、関西空港会社の事業等及び機構の業務等の承継に関する方針(以下この条及び次条において「承継方針」という。)を定めなければならない。
2承継方針は、次に掲げる事項に関する基本的な事項について定めることとする。
一会社に引き継がせる関西空港会社の事業及び機構の業務の種類及び範囲
二会社に承継させる関西空港会社及び機構の資産、債務その他の権利及び義務
三その他会社への関西空港会社の事業等及び機構の業務等の適正かつ円滑な承継に関する事項
3承継方針は、関西空港会社の事業等のうち、空港用地の保有及び管理以外の事業並びに当該事業に係る権利及び義務を、次に掲げるところにより会社に承継させるよう定めなければならない。
一関西空港会社を吸収分割会社(会社法第七百五十八条第一号に規定する吸収分割会社をいう。)とし、会社を吸収分割承継会社(同法第七百五十七条に規定する吸収分割承継会社をいう。)とする吸収分割によること。
二前号の吸収分割がその効力を有する日を施行日とすること。
4承継方針は、前項に規定するもののほか、機構の業務等のうち、大阪国際空港に係るもの(附則第六条第四項の規定により同項の政令で定める関係地方公共団体に対して分配される財産を除く。)を会社に承継させるよう定めなければならない。
5国土交通大臣は、承継方針を定めようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。
(実施計画)
第四条国土交通大臣は、承継方針を定めたときは、関西空港会社及び機構に対し、関西空港会社の事業等又は機構の業務等の承継に関する実施計画(以下「実施計画」という。)を国土交通省令で定めるところにより作成すべきことを指示しなければならない。
2実施計画には、前条第二項各号に掲げる事項(関西空港会社にあっては関西空港会社に係る事項に限り、機構にあっては機構に係る事項に限る。)について記載するものとする。
3関西空港会社又は機構は、第一項の規定による指示があったときは、国土交通大臣が定める期間内に承継方針に従い実施計画を作成し、国土交通大臣の認可を受けなければならない。
4関西空港会社又は機構は、実施計画を変更しようとするときは、国土交通大臣の認可を受けなければならない。
5国土交通大臣は、前二項の認可をしようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。
(承継時の出資)
第五条国土交通大臣は、機構に係る前条第三項の認可をしたときは、会社に対し、次条第一項及び第三項の規定による承継に際しての株式の発行に関する計画を国土交通省令で定めるところにより作成すべきことを指示しなければならない。
2前項の計画には、次条第一項又は第三項の規定による承継に際して発行する株式の数その他の国土交通省令で定める事項について記載するものとする。
3会社は、第一項の規定による指示があったときは、国土交通大臣が定める期間内に同項の計画を作成し、国土交通大臣の認可を受けなければならない。
4国土交通大臣は、機構に係る前条第四項の認可(附則第三条第二項第二号に掲げる事項の変更に係るものに限る。)をしたとき又は国土交通省令で定める事由が生じたときは、会社に対し、第一項の計画を国土交通省令で定めるところにより変更すべきことを指示しなければならない。
5第二項及び第三項の規定は、前項の場合について準用する。
6会社が第三項の認可を受けた計画(前項において準用する第三項の認可があったときは、変更後のもの)において定めるところに従い発行する株式の総数は、政府及び機構が引き受けるものとし、会社は、これを当該計画において定めるところに従い政府及び機構に割り当てるものとする。
7前項の株式については、会社法第四百四十五条第二項の規定にかかわらず、その発行に際して次項及び第九項の規定により政府及び機構が出資した財産の額の二分の一を超える額を資本金として計上しないことができる。この場合において、同条第一項中「この法律」とあるのは、「この法律又は関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律(平成二十三年法律第五十四号)」とする。
8政府は、第六項の規定による株式の引受けに際し、会社に対し、政府の保有する関西空港会社の株式及び社会資本整備事業特別会計の空港整備勘定に所属する国有財産のうち大阪国際空港に係るものを出資するものとする。
9機構は、第六項の規定による株式の引受けに際し、会社に対し、機構が前条第三項の認可を受けた実施計画(同条第四項の認可があったときは、変更後のもの。次条第三項において「機構承継計画」という。)において定めるところに従い、その財産のうち大阪国際空港に係るもの(次条第四項の規定により同項の政令で定める関係地方公共団体に対して分配される財産を除く。)を出資するものとする。
10前二項の規定により政府及び機構が行う出資に係る給付は、この法律の施行の時に行われるものとする。
11機構が第九項の規定による出資によって取得する会社の株式は、この法律の施行の時に、政府に無償譲渡されるものとする。
12政府が第八項の規定による出資によって取得する会社の株式及び前項の規定により政府に無償譲渡される会社の株式は、政令で定めるところにより、財政投融資特別会計の投資勘定又は社会資本整備事業特別会計の空港整備勘定に帰属するものとする。
13会社法第二百七条の規定は、会社が第六項の株式を発行する場合については、適用しない。
(権利義務の承継等)
第六条この法律の施行の際現に国が有する権利及び義務のうち、国土交通省設置法(平成十一年法律第百号)第四条第百九号に掲げる事務(大阪国際空港に係るものに限る。)に関するものは、政令で定めるところにより、政令で定めるものを除き、会社が承継する。
2会社は、この法律の施行の時において、関西空港会社が附則第四条第三項の認可を受けた実施計画(同条第四項の認可があったときは、変更後のもの。以下「会社承継計画」という。)において定めるところに従い、会社承継計画において定められた関西空港会社の事業等を承継する。
3会社は、この法律の施行の時において、機構承継計画において定めるところに従い、機構承継計画において定められた機構の業務等を承継する。
4前項の規定による承継に際し、機構は、その業務(大阪国際空港に係るものに限る。)に係る資産から当該業務に係る負債の金額を控除して残額を生ずるときは、当該残額に相当する額の財産を、出資者である政令で定める関係地方公共団体に対し、その出資額の機構の資本金の額に対する割合に応じて分配するものとする。この場合において、当該関係地方公共団体に分配する財産の額は、その出資額を限度とする。
5機構が前項の規定により財産の分配をしたときは、機構の資本金のうち当該分配をした財産の額については、機構に対する同項の政令で定める関係地方公共団体からの出資はなかったものとし、機構は、その額により資本金を減少するものとする。
6機構が前条第十一項の規定により会社の株式を政府に無償譲渡したときは、施行日の前日における機構に対する政府の出資金のうち大阪国際空港に係る業務に係る部分として国土交通大臣が定める金額については、機構に対する政府からの出資はなかったものとし、機構は、その額により資本金を減少するものとする。
7第一項から第三項までの規定により会社が国、関西空港会社及び機構から承継する資産及び負債(次項において「承継財産」という。)の価額は、評価委員が評価した価額とする。
8評価委員は、前項の規定による評価をしようとするときは、施行日現在における承継財産の時価を基準とするものとする。ただし、承継財産の種類、用途その他の事項を勘案して時価によることが適当でないと認めるときは、承継財産の時価によらないことができる。
9前二項に規定するもののほか、評価委員その他評価に関し必要な事項は、政令で定める。
(航空法の適用に関する経過措置)
第十条会社は、この法律の施行の時において、航空法に基づく関西国際空港の設置者の地位及び会社承継計画において定めるところに従い関西空港会社から承継した航空保安施設(同法第二条第五項に規定する航空保安施設をいう。次項において同じ。)の設置者の地位の関西空港会社からの承継について同法第五十五条第一項の許可を受けたものとみなす。
2会社は、この法律の施行の時において、大阪国際空港及び附則第六条第一項の規定により国から承継した航空保安施設の設置について航空法第三十八条第一項の許可を受けたものとみなす。
3会社は、施行日前においても、航空法第四十七条の二第一項の規定の例により、両空港に係る同項の空港保安管理規程を定め、国土交通大臣に届け出ることができる。
4前項の規定による届出は、施行日以後は、航空法第四十七条の二第一項の規定による届出とみなす。
5施行日前に会社が大阪国際空港に係る航空法第四十七条の二第一項の空港保安管理規程について第三項の規定による届出をしなかった場合にあっては、施行日前に国土交通大臣が同法第五十五条の二第二項の規定により定めた大阪国際空港に係る同項の空港保安管理規程は、施行日以後は、同法第四十七条の二第一項の規定により会社が届け出た大阪国際空港に係る同項の空港保安管理規程とみなす。
6施行日前に航空法第五十五条の二第三項において準用する同法第四十九条第一項若しくは第三項又は第五十一条第二項の規定により国土交通大臣が大阪国際空港に関して行った承認その他の行為は、この法律の施行の時においてこれらの規定により会社が行った承認その他の行為とみなす。
(空港法の適用に関する経過措置)
第十一条会社は、施行日前においても、空港法第十二条第一項の規定の例により、両空港に係る空港供用規程(同項の空港供用規程をいう。以下この条において同じ。)を定め、同法第十二条第三項の規定の例により、国土交通大臣に届け出ることができる。
2前項の規定による届出は、施行日以後は、空港法第十二条第三項の規定による届出とみなす。
3施行日前に会社が関西国際空港に係る空港供用規程について第一項の規定による届出をしなかった場合にあっては、施行日前に関西空港会社が空港法第十二条第三項の規定により届け出た関西国際空港に係る空港供用規程は、施行日以後は、同項の規定により会社が届け出た関西国際空港に係る空港供用規程とみなす。
4施行日前に会社が大阪国際空港に係る空港供用規程について第一項の規定による届出をしなかった場合にあっては、施行日前に国土交通大臣が空港法第十二条第一項の規定により定めた大阪国際空港に係る空港供用規程は、施行日以後は、同条第三項の規定により会社が届け出た大阪国際空港に係る空港供用規程とみなす。
5会社は、施行日前に、空港法第十三条第一項の規定の例により、両空港に係る同項に規定する着陸料等を定め、国土交通大臣に届け出なければならない。
6前項の規定による届出は、施行日以後は、空港法第十三条第一項の規定による届出とみなす。
(大阪国際空港における空港機能施設事業に関する経過措置)
第十八条大阪国際空港において空港機能施設事業(空港法第十五条第一項に規定する空港機能施設事業をいう。以下この条において同じ。)を行う者として同項の規定による指定を受けている者(以下この条において「大阪国際空港機能施設事業者」という。)が、施行日前に、施行日以後引き続き当該空港機能施設事業を行う旨を国土交通大臣に申し出た場合(施行日前において、当該申出を行った大阪国際空港機能施設事業者が同法第二十一条第一項又は第二項の規定により同法第十五条第一項の規定による指定を取り消された場合を除く。)には、施行日以後は、大阪国際空港を同項に規定する国管理空港と、当該申出を行った大阪国際空港機能施設事業者をこの法律の施行の時において同項の規定による指定を受けた者と、それぞれみなして、当分の間、同法の規定を適用する。この場合において、同法第二十二条第一項中「国土交通大臣又は当該空港機能施設事業の全部を承継するものとして国土交通大臣が指定する指定空港機能施設事業者」とあるのは、「新関西国際空港株式会社」とする。
2会社は、施行日の前日までに、前項の規定による申出を行った大阪国際空港機能施設事業者(施行日前に空港法第二十一条第一項又は第二項の規定により同法第十五条第一項の規定による指定を取り消されたものを除く。以下この条において「特定大阪国際空港機能施設事業者」という。)と次に掲げる事項を定めた協定を締結し、国土交通大臣の認可を受けなければならない。
一当該空港機能施設事業に係る用地の貸付料その他の国土交通省令で定める貸付けの条件
二会社の事業と特定大阪国際空港機能施設事業者の事業との連携に関する事項
3会社は、前項の協定を変更しようとする場合には、あらかじめ、国土交通大臣の認可を受けなければならない。
4前二項の認可は、両空港の一体的かつ効率的な設置及び管理の円滑な実施に支障を及ぼさないと認められる場合でなければ、これを行わないものする。
5施行日前にされた大阪国際空港における空港機能施設事業に係る空港法第十五条第一項の規定による指定は、施行日の前日限り、その効力を失う。この場合において、特定大阪国際空港機能施設事業者以外の大阪国際空港機能施設事業者は、この法律の施行の時において、その空港機能施設事業の全部を会社に引き継がなければならない。
6前項に規定するもののほか、同項に規定する場合における空港機能施設事業の引継ぎその他の必要な事項は、国土交通省令で定める。
7特定大阪国際空港機能施設事業者についての第三十四条第二項の規定の適用については、同項第二号中「指定会社」とあるのは、「指定会社及び附則第十八条第二項に規定する特定大阪国際空港機能施設事業者」とする。
8次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした会社の取締役、執行役、会計参与若しくはその職務を行うべき社員又は監査役は、百万円以下の過料に処する。
一第二項の規定に違反して、協定の認可を受けなかったとき。
二第三項の規定による認可を受けないで、協定の内容を変更したとき。
(関西空港会社に対する指定会社のみなし指定等)
第二十条関西空港会社は、この法律の施行の時において第十二条第一項第一号の規定による指定を受けたものとみなす。この場合において、第十三条第一項の規定は適用せず、同条第二項中「特定空港用地保有管理事業の開始前に」とあり、及び同条第三項中「あらかじめ」とあるのは「この法律の施行の日以後遅滞なく」と、同条第五項中「前条第一項第一号の規定による指定を受けた日の属する事業年度にあっては、その指定を受けた後」とあるのは「この法律の施行の日の属する事業年度にあっては、同日以後」とする。
2この法律の施行の際現に関西空港会社が保有している空港用地の区域は、この法律の施行の時において第十二条第一項の規定に基づき告示された区域とみなす。
3附則第一条第二号に掲げる規定の施行の日から施行日の前日までの間における第三十四条第二項の規定の適用については、同項第二号中「指定会社」とあるのは、「関西国際空港株式会社」とする。