(電子調書の作成等)
第六十一条裁判所書記官は、子の返還申立事件の手続の期日について、最高裁判所規則で定めるところにより、電子調書(期日又は期日外における手続の方式、内容及び経過等の記録及び公証をするためにこの法律その他の法令の規定により裁判所書記官が作成する電磁的記録をいう。以下同じ。)を作成しなければならない。ただし、証拠調べの期日以外の期日については、裁判長においてその必要がないと認めるときは、その経過の要領を裁判所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)に備えられたファイル(第六十二条の二第二項及び第三項、第六十二条の三第一項、第百二十一条の三第二項及び第三項並びに第百二十一条の四第一項を除き、以下単に「ファイル」という。)に記録することをもって、これに代えることができる。
2裁判所書記官は、子の返還申立事件の手続について、電子調書を作成したときは、最高裁判所規則で定めるところにより、これをファイルに記録しなければならない。
3前項の規定によりファイルに記録された電子調書については、民事訴訟法第百六十条の二の規定を準用する。この場合において、同条第三項中「第七十一条第四項、第五項及び第八項」とあるのは、「第七十一条第四項及び第五項」と読み替えるものとする。
(非電磁的事件記録の閲覧等)
第六十二条当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、非電磁的事件記録(子の返還申立事件の記録中次条第一項に規定する電磁的事件記録を除いた部分をいう。以下この条において同じ。)の閲覧若しくは謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付(第四項第一号において「非電磁的事件記録の閲覧等」という。)を請求することができる。
2前項の規定は、非電磁的事件記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。第七項及び第百二十一条の二第二項において「録音テープ等」という。)に関しては、適用しない。この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。
3裁判所は、当事者から前二項の規定による許可の申立てがあったときは、当該申立てに係る許可をしなければならない。
4裁判所は、非電磁的事件記録中住所等表示部分(子の返還申立事件の記録中第五条第四項(第二号に係る部分に限る。)の規定により外務大臣から提供を受けた相手方又は子の住所又は居所が記載され、又は記録された部分をいう。以下同じ。)については、前項の規定にかかわらず、同項の申立てに係る許可をしないものとする。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
一住所等表示部分の非電磁的事件記録の閲覧等又はその複製についての相手方の同意があるとき。
二子の返還を命ずる終局決定が確定した後において、子の返還を命ずる終局決定に関する強制執行をするために必要があるとき。
5裁判所は、子の返還申立事件において返還を求められている子の利益を害するおそれ、当事者若しくは第三者の私生活若しくは業務の平穏を害するおそれ又は当事者若しくは第三者の私生活についての重大な秘密が明らかにされることにより、その者が社会生活を営むのに著しい支障を生じ、若しくはその者の名誉を著しく害するおそれがあると認められるときは、第三項及び前項ただし書の規定にかかわらず、第三項の申立てに係る許可をしないことができる。事件の性質、審理の状況、記録の内容等に照らして当該当事者に同項の申立てに係る許可をすることを不適当とする特別の事情があると認められるときも、同様とする。
6裁判所は、利害関係を疎明した第三者から第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合において、相当と認めるときは、当該申立てに係る許可をすることができる。
7当事者は、非電磁的事件記録中当該当事者が提出した書面等(書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下同じ。)又は録音テープ等については、第一項及び第二項の規定にかかわらず、裁判所の許可を得ないで、裁判所書記官に対し、その閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は複製を請求することができる。次条第四項第二号又は第三号に掲げる事項について第六十九条の二において読み替えて準用する民事訴訟法第百三十三条の二第五項の規定によりその内容を書面に出力し、又はこれを他の記録媒体に記録する措置を講じた場合における当該書面又は当該記録媒体についても、同様とする。
8非電磁的事件記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、非電磁的事件記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。
9第三項の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
10前項の規定による即時抗告が子の返還申立事件の手続を不当に遅滞させることを目的としてされたものであると認められるときは、原裁判所は、その即時抗告を却下しなければならない。
11前項の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
(電磁的事件記録の閲覧等)
第六十二条の二当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、電磁的事件記録(子の返還申立事件の記録中この法律その他の法令の規定によりファイルに記録された事項に係る部分をいう。以下この条において同じ。)の内容を最高裁判所規則で定める方法により表示したものの閲覧を請求することができる。
2当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、電磁的事件記録に記録されている事項について、最高裁判所規則で定めるところにより、最高裁判所規則で定める電子情報処理組織(裁判所の使用に係る電子計算機と手続の相手方の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。以下同じ。)を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法による複写を請求することができる。
3当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、電磁的事件記録に記録されている事項の全部若しくは一部を記載した書面であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該書面の内容が電磁的事件記録に記録されている事項と同一であることを証明したものを交付し、又は当該事項の全部若しくは一部を記録した電磁的記録であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該電磁的記録の内容が電磁的事件記録に記録されている事項と同一であることを証明したものを最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法により提供することを請求することができる。
4電磁的事件記録中次に掲げる事項に係る部分については、当事者は、前三項の規定にかかわらず、裁判所の許可を得ないで、裁判所書記官に対し、電磁的事件記録の閲覧等(第一項の規定による閲覧、第二項の規定による複写又は前項の規定による書面の交付若しくは電磁的記録の提供をいう。次項において同じ。)を請求することができる。
一電子裁判書(第九十四条第一項(この法律の他の規定において準用する場合を含む。)に規定する電子裁判書であって、同条第三項(この法律の他の規定において準用する場合を含む。)の規定によりファイルに記録されたものをいう。)に記録されている事項
二当該当事者がこの法律その他の法令の規定により最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してファイルに記録した事項
三当該当事者が提出した書面等又は記録媒体に記載され、又は記録された事項が第六十九条第一項において読み替えて準用する民事訴訟法第百三十二条の十二第一項の規定又は第六十九条第二項において読み替えて準用する同法第百三十二条の十三の規定によりファイルに記録された場合における当該事項
5前条第三項から第六項まで及び第九項から第十一項までの規定は電磁的事件記録の閲覧等の許可の申立てについて、同条第八項の規定は電磁的事件記録の閲覧及び複写について、それぞれ準用する。