(定義等)
第二条この法律において「特定農山村地域」とは、地勢等の地理的条件が悪く、農業の生産条件が不利な地域であり、かつ、土地利用の状況、農林業従事者数等からみて農林業が重要な事業である地域として、政令で定める要件に該当するものをいう。
2この法律において「農林地等」とは、次に掲げる土地をいう。
一耕作(農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第四十三条第一項の規定により耕作に該当するものとみなされる農作物の栽培を含む。以下同じ。)の目的又は主として耕作若しくは養畜の事業のための採草若しくは家畜の放牧の目的に供される土地(以下「農用地」という。)及び開発して農用地とすることが適当な土地
二木竹の生育に供され、併せて耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供される土地(農用地及び次号に規定する林地を除く。)
三木竹の集団的な生育に供される土地(主として農用地又は住宅地若しくはこれに準ずる土地として使用される土地を除く。以下「林地」という。)及び林地とすることが適当な土地
四次項第二号に規定する農林業等活性化基盤施設の用に供される土地及び開発して農林業等活性化基盤施設の用に供されることが適当な土地(第一号に掲げる土地を除く。)
五前各号に掲げる土地のほか、これらの土地との一体的な利用に供されることが適当な土地
3この法律において「農林業等活性化基盤整備促進事業」とは、この法律で定めるところにより、市町村が行う次に掲げる事業をいう。
一次に掲げる農林業その他の事業の活性化を図るための措置の実施を促進する事業
イ新規の作物の導入その他生産方式の改善による農業経営(食用きのこその他の林産物の生産を併せ行うものを含む。以下同じ。)の改善及び安定に関する措置
ロ農用地及び森林の保全及び農林業上の利用の確保に関する措置
ハ需要の開拓、新商品の開発その他の地域特産物の生産及び販売に関する措置
ニ都市住民の農林業の体験その他の都市等との地域間交流に関する措置
二前号に掲げる措置を実施するために必要な農業用施設、林業用施設その他主務省令で定める施設(以下「農林業等活性化基盤施設」という。)の整備を促進する事業
三農林地(農用地及び林地をいう。以下同じ。)の農林業上の効率的かつ総合的な利用の確保及び農林業等活性化基盤施設の円滑な整備の促進を図るため、農林地等を対象として、所有権の移転又は地上権、賃借権若しくは使用貸借による権利の設定若しくは移転(以下「所有権の移転等」という。)を促進する事業(以下「農林地所有権移転等促進事業」という。)
四農林業その他の事業を担うべき人材の育成及び確保その他農林業その他の事業の活性化を促進するために必要な事業
4主務大臣は、第一項の政令で定める要件に該当する特定農山村地域を公示するものとする。
5主務大臣は、第三項第二号の主務省令を定めようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長と協議するものとする。
(農林業等活性化基盤整備計画)
第四条その全部又は一部の区域が特定農山村地域である市町村は、当該特定農山村地域における農林業その他の事業の活性化のための基盤の整備に関する計画(以下「基盤整備計画」という。)を作成することができる。
2基盤整備計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一農林業等活性化基盤整備促進事業の実施に関する事項
二農林業生産の基盤の整備及び開発並びに産業の振興を図るために必要な道路その他の公共施設の整備であって、農林業等活性化基盤整備促進事業に関連して実施されるものに関する事項
3基盤整備計画においては、前項各号に掲げる事項のほか、農林業その他の事業の活性化の目標その他主務省令で定める事項を定めるよう努めるものとする。
4第二項第一号に掲げる事項のうち農林地所有権移転等促進事業に係るものにおいては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一移転される所有権の移転の対価の算定基準及び支払の方法
二設定され、又は移転される地上権、賃借権又は使用貸借による権利の存続期間又は残存期間に関する基準並びに当該設定され、又は移転を受ける権利が地上権又は賃借権である場合における地代又は借賃の算定基準及び支払の方法
5第二項第一号に掲げる事項のうち農林地所有権移転等促進事業に係るものにおいては、前項各号に掲げる事項のほか、農林地所有権移転等促進事業の実施に関する基本方針その他農林水産省令で定める事項を定めるよう努めるものとする。
6市町村は、第四項各号に規定する算定基準を定めようとする場合には、適正な地価の形成が図られるよう配慮するものとする。
7基盤整備計画は、過疎地域持続的発展計画、山村振興計画、農業振興地域整備計画その他法律の規定による地域振興に関する計画、地域森林計画その他法律の規定による森林の整備に関する計画及び都市計画との調和が保たれたものでなければならない。
8市町村は、基盤整備計画を作成し、又はこれを変更しようとするときは、主務省令で定めるところにより、第二項第一号に掲げる事項について、都道府県知事に協議しなければならない。この場合において、同号に掲げる事項のうち農林地所有権移転等促進事業に係るものについては、都道府県知事の同意を得なければならない。
9市町村は、基盤整備計画を作成し、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
(所有権移転等促進計画の作成等)
第八条計画作成市町村は、第五条の認定を受けた団体若しくはその参加構成員又は前条の認定を受けた者から第五条の認定に係る計画又は前条の認定に係る事業計画に従って農林地等について所有権の移転等を受けたい旨の申出があった場合において必要があるときその他農林地所有権移転等促進事業を行おうとするときは、農林水産省令で定めるところにより、農業委員会(農業委員会等に関する法律(昭和二十六年法律第八十八号)第三条第一項ただし書又は第五項の規定により農業委員会を置かない市町村にあっては、市町村長。以下同じ。)の決定を経て、所有権移転等促進計画を定めるものとする。
2所有権移転等促進計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
二前号に規定する者が所有権の移転等を受ける土地の所在、地番、地目及び面積
三第一号に規定する者に前号に規定する土地について所有権の移転等を行う者の氏名又は名称及び住所
四第一号に規定する者が移転を受ける所有権の移転の後における土地の利用目的並びに当該所有権の移転の時期並びに移転の対価及びその支払の方法
五第一号に規定する者が設定又は移転を受ける地上権、賃借権又は使用貸借による権利の種類、内容(土地の利用目的を含む。)、始期又は移転の時期、存続期間又は残存期間並びに当該設定又は移転を受ける権利が地上権又は賃借権である場合にあっては地代又は借賃及びその支払の方法
3所有権移転等促進計画は、次に掲げる要件に該当するものでなければならない。
一所有権移転等促進計画の内容が基盤整備計画に適合するものであること。
二所有権移転等促進計画において、次に掲げる所有権の移転等のいずれかが定められていること。
イ農林地の農林業上の効率的かつ総合的な利用を確保するため行う農林地についての地目変換(農用地間又は林地間における地目変換を除く。)を伴う所有権の移転等(ロに該当するものを除く。)
ロ農林業等活性化基盤施設(特定施設を除く。)の整備を図るため行う農林地等についての所有権の移転等及びこれと併せ行う当該所有権の移転等を円滑に推進するために必要な農林地についての所有権の移転等
三前項第二号に規定する土地ごとに、同項第一号に規定する者並びに当該土地について所有権、地上権、永小作権、質権、賃借権、使用貸借による権利又はその他の使用及び収益を目的とする権利を有する者の全ての同意が得られていること。
四前項第四号又は第五号に規定する土地の利用目的が、当該土地に係る農業振興地域整備計画、都市計画その他の土地利用に関する計画に適合すると認められ、かつ、当該土地の位置及び規模並びに周辺の土地利用の状況からみて、当該土地を当該利用目的に供することが適当であると認められること。
五前項第一号に規定する者が、次に掲げる要件を備えていること。
イ前項第二号に規定する土地の全部又は一部が農用地であり、かつ、当該農用地に係る同項第四号又は第五号に規定する土地の利用目的が農用地の用に供するためのものである場合にあっては、農地法第三条第二項の規定により同条第一項の許可をすることができない者に該当しないこと。
ロ前項第四号又は第五号に規定する土地の利用目的が農林業等活性化基盤施設の用に供するためのものである場合にあっては、第五条の認定を受けた団体若しくはその参加構成員(当該認定に係る計画に従って特定施設を設置する者に限る。)、前条の認定を受けた者又は地方公共団体その他の基盤整備計画に即して農林業等活性化基盤施設(特定施設を除く。)を適正かつ確実に整備することができると認められる者として主務省令で定める者であること。
ハイ及びロ以外の場合にあっては、所有権の移転等が行われた後において、前項第二号に規定する土地を同項第四号又は第五号に規定する土地の利用目的に即して適正かつ確実に利用することができると認められる者であること。
4農業委員会は、第六項第一号に掲げる要件に該当する所有権移転等促進計画について第一項の決定をしようとするとき(当該所有権移転等促進計画に係る同号に規定する農用地の全部又は一部が三十アールを超える農地(耕作の目的に供される土地をいう。)であるときに限る。)は、あらかじめ、農業委員会等に関する法律第四十三条第一項に規定する都道府県機構(次項において「都道府県機構」という。)の意見を聴かなければならない。ただし、同法第四十二条第一項の規定による都道府県知事の指定がされていない場合については、この限りでない。
5前項に規定するもののほか、農業委員会は、次項第一号に掲げる要件に該当する所有権移転等促進計画について第一項の決定をするため必要があると認めるときは、都道府県機構の意見を聴くことができる。
6計画作成市町村は、第一項の規定により所有権移転等促進計画を定めようとする場合において、当該所有権移転等促進計画が次に掲げる要件のいずれかに該当するときは、当該所有権移転等促進計画について、農林水産省令・国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、都道府県知事の承認を受けなければならない。
一第二項第二号に規定する土地の全部又は一部が農用地(当該農用地に係る所有権の移転等の内容が農地法第五条第一項本文に規定する場合に該当するものに限る。)であること。
二第二項第二号に規定する土地の全部又は一部が、市街化調整区域(都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第七条第一項の規定による市街化調整区域をいう。)内にあり、かつ、所有権の移転等が行われた後において、農林業等活性化基盤施設の用に供されることとなること(同法第二十九条第一項又は第四十三条第一項の規定による許可を要する場合に限る。)。
7計画作成市町村が農地法第四条第一項に規定する指定市町村である場合における第三項及び前項の規定の適用については、第三項中「要件に」とあるのは「要件及び第六項第一号に掲げる要件に該当する場合にあっては周辺の農用地に係る営農条件に支障を生ずるおそれがないと認められることその他の農林水産省令で定める要件に」と、前項中「次に掲げる要件のいずれか」とあるのは「第二号に掲げる要件」とする。