(保険給付等に関する特例等)
第一条厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第二十八条の四第三項の規定による諮問に応じた社会保障審議会(同法第百条の九第一項又は第二項の規定により同法第二十八条の四に規定する厚生労働大臣の権限が地方厚生局長又は地方厚生支局長に委任された場合にあっては、同法第百条の九第三項の規定により読み替えて適用する同法第二十八条の四第三項に規定する地方厚生局に置かれる政令で定める審議会。以下この項及び第十五条において同じ。)の調査審議の結果として、同法第二十七条に規定する事業主が、同法第八十四条第一項又は第二項の規定により被保険者の負担すべき保険料を控除した事実があるにもかかわらず、当該被保険者に係る同法第八十二条第二項の保険料を納付する義務を履行したことが明らかでない場合(当該保険料(以下「未納保険料」という。)を徴収する権利が時効によって消滅する前に同法第二十七条の規定による届出若しくは同法第三十一条第一項の規定による確認の請求又は同法第二十八条の二第一項(同条第二項及び第三項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の規定による訂正の請求があった場合を除き、未納保険料を徴収する権利が時効によって消滅している場合に限る。)に該当するとの社会保障審議会の意見があった場合には、厚生労働大臣は、当該意見を尊重し、遅滞なく、未納保険料に係る期間を有する者(以下「特例対象者」という。)に係る同法の規定による被保険者の資格の取得及び喪失の確認又は標準報酬月額若しくは標準賞与額の改定若しくは決定(以下この条及び次条において「確認等」という。)を行うものとする。ただし、特例対象者が、当該事業主が当該義務を履行していないことを知り、又は知り得る状態であったと認められる場合には、この限りでない。
2前項に定めるもののほか、厚生年金保険法第二十七条に規定する事業主が、同法第八十四条第一項又は第二項の規定により被保険者の負担すべき保険料を控除した事実があるにもかかわらず、当該被保険者に係る同法第八十二条第二項の保険料を納付する義務を履行したことが明らかでない場合(未納保険料を徴収する権利が時効によって消滅する前に同法第二十七条の規定による届出若しくは同法第三十一条第一項の規定による確認の請求又は同法第二十八条の二第一項の規定による訂正の請求があった場合を除き、未納保険料を徴収する権利が時効によって消滅している場合に限る。)に該当する場合として厚生労働省令で定める場合に該当すると認められる場合には、厚生労働大臣は、特例対象者に係る確認等を行うことができる。ただし、特例対象者が、当該事業主が当該義務を履行していないことを知り、又は知り得る状態であったと認められる場合には、この限りでない。
3厚生労働大臣は、前項の厚生労働省令を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、社会保障審議会に諮問しなければならない。
4厚生労働大臣は、特例対象者に係る確認等を行ったときは、厚生年金保険法第二十八条の規定により記録した事項の訂正を行うものとする。
5前項の訂正が行われた場合における厚生年金保険法第七十五条ただし書の規定(他の法令において引用し、又は準用する場合を含む。)の適用については、未納保険料を徴収する権利が時効によって消滅する前に同法第二十七条の規定による届出があったものとし、厚生労働大臣が確認等を行った特例対象者の厚生年金保険の被保険者であった期間について同法による保険給付(これに相当する給付を含む。以下同じ。)を行うものとする。
6前二項の場合において、国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)の規定を適用するときは、前項に規定する期間の計算の基礎となった月に係る同法第七条第一項第二号に規定する第二号被保険者としての国民年金の被保険者期間については、同法第五条第一項に規定する保険料納付済期間に算入し、同法第十四条の規定により記録した事項の訂正を行うものとする。
7前三項の場合において、厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律(平成十九年法律第百十一号)第一条及び第二条(これらの規定を同法附則第二条において準用する場合を含む。)の規定を適用するときは、未納保険料を徴収する権利が時効によって消滅する前に、厚生年金保険法第二十七条の規定による届出があったものとする。
8厚生労働大臣は、特例対象者に係る確認等を行ったときは、厚生年金保険法第二十九条第一項の規定にかかわらず、当該特例対象者、当該特例対象者を使用し、又は使用していた第一項又は第二項の事業主(以下「特定事業主」という。)その他の厚生労働省令で定める者に対し、同条第一項の規定による通知を行うものとする。この場合においては、同条第二項から第四項までの規定は、適用しない。
9厚生労働大臣は、前項の特例対象者、当該特例対象者を使用し、又は使用していた特定事業主その他の厚生労働省令で定める者の所在が明らかでない場合その他やむを得ない事情のため同項の通知をすることができない場合においては、同項の通知に代えて、厚生年金保険法第二十九条第五項の規定による公告を行うものとする。
(特例納付保険料の納付等)
第二条厚生労働大臣が特例対象者に係る確認等を行った場合には、当該特例対象者を使用し、又は使用していた特定事業主(当該特定事業主の事業を承継する者及び当該特定事業主であった個人を含む。以下「対象事業主」という。)は、厚生労働省令で定めるところにより、特例納付保険料として、未納保険料に相当する額に厚生労働省令で定める額を加算した額を納付することができる。
2厚生労働大臣は、対象事業主に対して、前項の特例納付保険料(以下「特例納付保険料」という。)の納付を勧奨しなければならない。ただし、やむを得ない事情のため当該勧奨を行うことができない場合は、この限りでない。
3第一項の場合において、対象事業主(法人である対象事業主に限る。)に係る事業が廃止されているときその他やむを得ない事情のため前項の規定による勧奨を行うことができないときは、当該法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有すると認められる者を含む。)であった者は、厚生労働省令で定めるところにより、特例納付保険料を納付することができる。
4厚生労働大臣は、第二項の規定による勧奨を行うことができない場合においては、前項の役員であった者に対して、特例納付保険料の納付を勧奨しなければならない。ただし、やむを得ない事情のため当該勧奨を行うことができない場合は、この限りでない。
5厚生労働大臣は、次条の規定による公表を行う前に第二項又は前項の規定による勧奨を行う場合(特例対象者に係る厚生年金保険法第八十二条第二項の保険料を納付する義務が履行されたかどうか明らかでないと認められる場合において第二項又は前項の規定による勧奨を行うときを除く。)には、対象事業主又は第三項の役員であった者に対して、厚生労働大臣が定める期限までに次項の規定による申出を行わないときは次条の規定による公表を行う旨を、併せて通知するものとする。
6対象事業主又は第三項の役員であった者は、第二項又は第四項の規定による勧奨を受けた場合には、未納保険料に係るすべての期間に係る特例納付保険料を納付する旨を、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に対し書面により申し出ることができる。
7対象事業主又は第三項の役員であった者は、前項の規定による申出を行った場合には、厚生労働大臣が定める納期限までに、同項に規定する特例納付保険料を納付しなければならない。
8前項の場合において、特例納付保険料は、厚生年金保険法の規定の例により徴収する。
9国は、毎年度、厚生労働大臣が特例対象者に係る確認等を行った場合(特例対象者に係る厚生年金保険法第八十二条第二項の保険料を納付する義務が履行されたかどうか明らかでないと認められる場合において当該特例対象者に係る確認等を行ったときを除く。)であって次条(同条第一号ロ又は第二号ロに係る部分を除く。第一号において同じ。)の規定による公表を行ったときにおいて、その後に次の各号に掲げる場合に該当するときは、当該特例対象者に係る特例納付保険料の額に相当する額の総額を負担する。
一次条の規定による公表を行った後において厚生労働大臣が定める期限までに第六項の規定による申出が行われなかった場合(次号の場合を除く。)
二次のいずれかに該当するとき。
イ厚生労働省令で定める期限までに第二項の規定による勧奨を行うことができない場合(ロに掲げる場合及び第四項の規定による勧奨を行った場合を除く。)
ロイに規定する厚生労働省令で定める期限までに第二項及び第四項の規定による勧奨を行うことができない場合
10前項の規定に基づく一般会計からの繰入金は、特別会計に関する法律(平成十九年法律第二十三号)第百十一条第三項の規定にかかわらず、年金特別会計の厚生年金勘定の歳入とする。
11年金特別会計の厚生年金勘定において、第九項の規定に基づき一般会計から繰り入れた金額に係る特別会計に関する法律第百二十条第二項第二号の規定の適用については、同号中「金額」とあるのは、「金額(厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例等に関する法律(平成十九年法律第百三十一号)第二条第九項の規定に基づき繰り入れた金額を除く。)」とする。
12次の各号に掲げる場合に該当するときは、納付された特例納付保険料に相当する額は、年金特別会計から一般会計に繰り入れるものとする。
一第九項第一号に該当する場合であって、同号の期限後に特例納付保険料が納付されたとき。
二第九項第二号に該当する場合であって、同号の期限後に特例納付保険料が納付されたとき。
13国は、第九項の規定により特例対象者に係る特例納付保険料の額に相当する額を負担したときは、その負担した金額の限度において、特定事業主が当該特例対象者に係る厚生年金保険法第二十七条の規定による届出をしなかったこと又は同法第八十四条第一項若しくは第二項の規定により当該特例対象者の負担すべき保険料を控除したにもかかわらず当該特例対象者に係る同法第八十二条第二項の保険料を納付する義務を履行しなかったことに起因する当該特例対象者が当該特定事業主に対して有する金銭の給付を目的とする請求権を取得する。
(機構への厚生労働大臣の権限に係る事務の委任)
第十六条次に掲げる厚生労働大臣の権限に係る事務は、日本年金機構(以下「機構」という。)に行わせるものとする。
二第二条第八項の規定によりその例によるものとされる厚生年金保険法第八十三条の二の規定による申出の受理及び承認
三第二条第八項の規定によりその例によるものとされる厚生年金保険法第八十六条第五項の規定による国税滞納処分の例による処分及び同項の規定による市町村に対する処分の請求
四第二条第八項の規定によりその例によるものとされる厚生年金保険法第八十九条の規定により国税徴収の例によるものとされる徴収に係る権限(国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第三十六条第一項の規定の例による納入の告知、同法第四十二条において準用する民法第四百二十三条第一項の規定の例による納付義務者に属する権利の行使、国税通則法第四十六条の規定の例による納付の猶予その他の厚生労働省令で定める権限並びに次号に掲げる質問、検査及び提示又は提出の要求、物件の留置き並びに捜索を除く。)
五第二条第八項の規定によりその例によるものとされる厚生年金保険法第八十九条の規定によりその例によるものとされる国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第百四十一条の規定による質問、検査及び提示又は提出の要求、同法第百四十一条の二の規定による物件の留置き並びに同法第百四十二条の規定による捜索
六前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める権限
2機構は、前項第三号に掲げる国税滞納処分の例による処分及び同項第五号に掲げる権限(以下「滞納処分等」という。)その他同項各号に掲げる権限のうち厚生労働省令で定める権限に係る事務を効果的に行うため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に当該権限の行使に必要な情報を提供するとともに、厚生労働大臣自らその権限を行うよう求めることができる。
3厚生労働大臣は、前項の規定による求めがあった場合において必要があると認めるとき、又は機構が天災その他の事由により第一項各号に掲げる権限に係る事務の全部若しくは一部を行うことが困難若しくは不適当となったと認めるときは、同項各号に掲げる権限の全部又は一部を自ら行うものとする。
4厚生年金保険法第百条の四第四項から第七項までの規定は、機構による第一項各号に掲げる権限に係る事務の実施又は厚生労働大臣による同項各号に掲げる権限の行使について準用する。