(届出対象区域内における建築等の届出等)
第六十四条被災関連市町村は、計画区域のうち、復興整備事業の実施区域の全部又は一部の区域を、届出対象区域として指定することができる。
2被災関連市町村は、前項の規定による指定をするときは、内閣府令で定めるところにより、その旨及びその区域を公示しなければならない。
3第一項の規定による指定は、前項の規定による公示によってその効力を生ずる。
4届出対象区域内において、土地の区画形質の変更、建築物その他の工作物の新築、改築又は増築その他政令で定める行為をしようとする者は、当該行為に着手する日の三十日前までに、内閣府令で定めるところにより、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日その他内閣府令で定める事項を被災関連市町村長に届け出なければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。
一通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの
5前項の規定による届出をした者は、その届出に係る事項のうち内閣府令で定める事項を変更しようとするときは、当該事項の変更に係る行為に着手する日の三十日前までに、内閣府令で定めるところにより、その旨を被災関連市町村長に届け出なければならない。
6被災関連市町村長は、第四項又は前項の規定による届出があった場合において、その届出に係る行為が復興整備事業の実施に支障となるおそれがあると認めるときは、その届出をした者に対し、その届出に係る行為に関し設計の変更その他の必要な措置をとることを勧告することができる。
7被災関連市町村長は、前項の規定による勧告をした場合において、必要があると認めるときは、その勧告を受けた者に対し、土地に関する権利の処分についてのあっせんその他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
(復興整備計画のための土地の立入り等)
第六十五条被災関連市町村等は、復興整備計画の作成又は変更のため他人の占有する土地に立ち入って測量又は調査を行う必要があるときは、その必要の限度において、他人の占有する土地に、自ら立ち入り、又はその命じた者若しくは委任した者に立ち入らせることができる。
2前項の規定により他人の占有する土地に立ち入ろうとする者は、立ち入ろうとする日の三日前までに、その旨を当該土地の占有者に通知しなければならない。
3第一項の規定により建築物が存し、又は垣、柵等で囲まれた他人の占有する土地に立ち入ろうとするときは、その立ち入ろうとする者は、立入りの際、あらかじめ、その旨を当該土地の占有者に告げなければならない。
4日出前及び日没後においては、土地の占有者の承諾があった場合を除き、前項に規定する土地に立ち入ってはならない。
5土地の占有者は、正当な理由がない限り、第一項の規定による立入りを拒み、又は妨げてはならない。
(復興整備計画のための障害物の伐除及び土地の試掘等)
第六十六条前条第一項の規定により他人の占有する土地に立ち入って測量又は調査を行う者は、その測量又は調査を行うに当たり、やむを得ない必要があって、障害となる植物若しくは垣、柵等(以下「障害物」という。)を伐除しようとする場合又は当該土地に試掘若しくはボーリング若しくはこれらに伴う障害物の伐除(以下「試掘等」という。)を行おうとする場合において、当該障害物又は当該土地の所有者及び占有者の同意を得ることができないときは、当該障害物の所在地を管轄する被災関連市町村長の許可を受けて当該障害物を伐除し、又は当該土地の所在地を管轄する被災関連都道県知事の許可を受けて当該土地に試掘等を行うことができる。この場合において、被災関連市町村長が許可を与えようとするときは障害物の所有者及び占有者に、被災関連都道県知事が許可を与えようとするときは土地又は障害物の所有者及び占有者に、あらかじめ、意見を述べる機会を与えなければならない。
2前項の規定により障害物を伐除しようとする者又は土地に試掘等を行おうとする者は、伐除しようとする日又は試掘等を行おうとする日の三日前までに、その旨を当該障害物又は当該土地若しくは障害物の所有者及び占有者に通知しなければならない。
3第一項の規定により障害物を伐除しようとする場合(土地の試掘又はボーリングに伴う障害物の伐除をしようとする場合を除く。)において、当該障害物の所有者及び占有者がその場所にいないためその同意を得ることが困難であり、かつ、その現状を著しく損傷しないときは、被災関連市町村等又はその命じた者若しくは委任した者は、前二項の規定にかかわらず、当該障害物の所在地を管轄する被災関連市町村長の許可を受けて、直ちに、当該障害物を伐除することができる。この場合においては、当該障害物を伐除した後、遅滞なく、その旨をその所有者及び占有者に通知しなければならない。
(土地の立入り等に伴う損失の補償)
第七十条被災関連市町村等は、第六十五条第一項又は第六十六条第一項若しくは第三項の規定による行為により他人に損失を与えたときは、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。
2実施主体は、第六十七条第一項、第六十八条第一項又は同条第二項において準用する第六十六条第三項の規定による行為により他人に損失を与えたときは、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。
3前二項の規定による損失の補償については、損失を与えた者と損失を受けた者とが協議しなければならない。
4前項の規定による協議が成立しないときは、損失を与えた者又は損失を受けた者は、政令で定めるところにより、収用委員会に土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第九十四条第二項の規定による裁決を申請することができる。
(環境影響評価法の特例)
第七十二条復興整備事業として行われる第四十六条第二項第四号イに掲げる事業(土地区画整理事業に限る。)又は同号ヘ若しくはカに掲げる事業(鉄道事業法による鉄道並びに軌道法(大正十年法律第七十六号)による軌道の建設及び改良の事業に限る。)であって、環境影響評価法(平成九年法律第八十一号)第二条第二項に規定する第一種事業又は同条第三項に規定する第二種事業に該当するもの(同法第五十二条第一項に規定する事業を除く。以下この条において「特定復興整備事業」という。)については、次項から第十九項までに定めるところによる。
2特定復興整備事業については、環境影響評価法の規定は、適用しない。
3被災関連市町村等は、復興整備計画に特定復興整備事業に係る事項を記載しようとするときは、国土交通省令・環境省令で定めるところにより、特定環境影響評価(特定復興整備事業の実施が環境に及ぼす影響(当該特定復興整備事業の実施後の土地又は工作物において行われることが予定される事業活動その他の人の活動が当該特定復興整備事業の目的に含まれる場合には、これらの活動に伴って生ずる影響を含む。以下この条において「環境影響」という。)について環境の構成要素に係る項目ごとに調査、予測及び評価を行うとともに、これらを行う過程において当該特定復興整備事業に係る環境の保全のための措置を検討し、この措置が講じられた場合における環境影響を総合的に評価することをいう。以下この条において同じ。)を行わなければならない。
4被災関連市町村等は、特定環境影響評価を行った後、当該特定環境影響評価に係る調査の結果の概要並びに予測及び評価の結果、環境の保全のための措置並びに特定復興整備事業に係る環境影響の総合的な評価その他の国土交通省令・環境省令で定める事項を記載した特定復興整備事業特定環境影響評価書(以下この条において「特定評価書」という。)を作成しなければならない。
5被災関連市町村等は、特定評価書を作成したときは、国土交通省令・環境省令で定めるところにより、特定復興整備事業に係る環境影響を受ける範囲であると認められる地域(以下この条において「関係地域」という。)を管轄する都道県知事(以下この条において「関係都道県知事」という。)及び関係地域を管轄する市町村長(以下この条において「関係市町村長」という。)並びに特定復興整備事業の実施に際し認可を行う者(以下この条において単に「認可を行う者」という。)に対し、特定評価書を送付するとともに、特定評価書に係る特定環境影響評価の結果について環境の保全の見地からの意見を求めるため、環境省令で定めるところにより、特定評価書を作成した旨その他環境省令で定める事項を公告し、関係地域内において、特定評価書を公告の日から二週間公衆の縦覧に供しなければならない。
6関係都道県知事及び関係市町村長は、前項の規定により特定評価書の送付を受けたときは、環境省令で定める期間内に、被災関連市町村等に対し、特定評価書について環境の保全の見地からの意見を書面により述べるものとする。
7認可を行う者が国土交通大臣又は地方整備局長若しくは地方運輸局長であるときは、その者は、第五項の規定により特定評価書の送付を受けた後、速やかに、環境省令で定めるところにより、環境大臣に当該特定評価書の写しを送付して意見を求めなければならない。
8環境大臣は、前項の措置がとられたときは、必要に応じ、環境省令で定める期間内に、国土交通大臣に対し、特定評価書について環境の保全の見地からの意見を書面により述べることができる。
9認可を行う者は、第五項の規定による送付を受けたときは、必要に応じ、環境省令で定める期間内に、被災関連市町村等に対し、特定評価書について環境の保全の見地からの意見を書面により述べることができる。この場合において、前項の規定による環境大臣の意見があるときは、これを勘案しなければならない。
10特定評価書について環境の保全の見地からの意見を有する者は、環境省令で定めるところにより、第五項の公告の日から、同項の縦覧期間満了の日までの間に、被災関連市町村等に対し、意見書の提出により、これを述べることができる。
11被災関連市町村等は、第六項又は第九項の意見が述べられたときはこれを勘案するとともに、前項の意見に配意して特定評価書の記載事項について検討を加え、当該事項の修正を必要とすると認めるときは、国土交通省令・環境省令で定めるところにより、特定評価書について所要の補正をしなければならない。
12被災関連市町村等は、前項の規定による補正後の特定評価書の送付(補正を必要としないと認めるときは、その旨の通知)を、認可を行う者に対してしなければならない。
13認可を行う者が国土交通大臣又は地方整備局長若しくは地方運輸局長であるときは、その者は、前項の規定による送付又は通知を受けた後、環境省令で定めるところにより、環境大臣に同項の規定による送付を受けた補正後の特定評価書の写しを送付し、又は同項の規定による通知を受けた旨を通知しなければならない。
14被災関連市町村等は、第十二項の規定による送付又は通知をしたときは、速やかに、関係都道県知事及び関係市町村長に特定評価書(第十一項の規定による特定評価書の補正をしたときは、当該補正後の特定評価書)及び第九項の書面を送付しなければならない。
15被災関連市町村等は、第十二項の規定による送付又は通知をしたときは、環境省令で定めるところにより、第十一項の規定による特定評価書の補正をした旨(補正を必要としないと認めるときは、その旨)その他環境省令で定める事項を公告し、関係地域内において、特定評価書(同項の規定による特定評価書の補正をしたときは、当該補正後の特定評価書。以下この条において同じ。)及び第九項の書面を公告の日から二週間公衆の縦覧に供しなければならない。
16認可を行う者は、当該認可の審査に際し、特定評価書の記載事項及び第九項の書面に基づいて、当該特定復興整備事業につき、環境の保全についての適正な配慮がなされるものであるかどうかを審査しなければならない。
17前項の場合においては、次の各号に掲げる当該認可の区分に応じ、当該各号に定めるところによる。
一一定の基準に該当している場合には認可を行うものとする旨の法律の規定であって環境省令で定めるものに係る認可当該認可を行う者は、当該認可に係る当該規定にかかわらず、当該規定に定める当該基準に関する審査と前項の規定による環境の保全に関する審査の結果を併せて判断するものとし、当該基準に該当している場合であっても、当該判断に基づき、当該認可を拒否する処分を行い、又は当該認可に必要な条件を付することができるものとする。
二認可を行い又は行わない基準を法律の規定で定めていない認可(当該認可に係る法律の規定で環境省令で定めるものに係るものに限る。)当該認可を行う者は、特定復興整備事業の実施による利益に関する審査と前項の規定による環境の保全に関する審査の結果を併せて判断するものとし、当該判断に基づき、当該認可を拒否する処分を行い、又は当該認可に必要な条件を付することができるものとする。
18特定復興整備事業の実施主体は、特定評価書に記載されているところにより、環境の保全についての適正な配慮をして当該特定復興整備事業を実施するようにしなければならない。
19被災関連市町村等以外の者が特定復興整備事業を実施する場合においては、被災関連市町村等は、特定復興整備事業の実施主体に対し、特定環境影響評価その他の手続を行うための資料の提供その他の必要な協力を求めることができる。
(津波防災地域づくりに関する法律の特例)
第七十六条被災関連市町村のうち平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震の津波による被害を受けた市町村(津波防災地域づくりに関する法律第十条第一項に規定する推進計画を作成した市町村を除く。次項において同じ。)が、復興整備計画において、同法第三条第一項に規定する基本指針に基づき、同法第十条第三項第一号及び第二号に掲げる事項に相当する事項を記載し、かつ、津波による災害を防止し、又は軽減することを目的として実施する第四十六条第二項第四号イ又はハからトまでのいずれかに該当する事業に関する事項及び同号チに掲げる事項を記載した場合においては、当該復興整備計画が同条第六項の規定により公表されたときは、同法第二条第十一項に規定する津波防護施設管理者は、同法第十九条の規定にかかわらず、計画区域内において、当該復興整備計画に即して、津波防護施設の新設又は改良を行うことができる。
2被災関連市町村のうち平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震の津波による被害を受けた市町村が、復興整備計画において、津波防災地域づくりに関する法律第三条第一項に規定する基本指針に基づき、同法第十条第三項第一号及び第二号に掲げる事項に相当する事項を記載し、かつ、津波による災害を防止し、又は軽減することを目的として実施する第四十六条第二項第四号イ又はハからチまでのいずれかに該当する事業に関する事項を記載した場合においては、当該復興整備計画が同条第六項の規定により公表されたときは、計画区域を同法第十条第二項に規定する推進計画区域とみなして、同法第十五条及び第五十条第一項の規定を適用する。