(定義)
第二条この法律において「地域自然環境保全等事業」とは、都道府県又は市町村が、自然公園法(昭和三十二年法律第百六十一号)第二条第二号に規定する国立公園(以下「国立公園」という。)、同条第三号に規定する国定公園(以下「国定公園」という。)等の自然の風景地、文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)第二条第一項第四号に規定する記念物に係る名勝地その他の自然環境の保全及び持続可能な利用の推進を図る上で重要な地域において、当該地域の自然環境を地域住民の資産として保全し、及びその持続可能な利用を推進するために実施する事業であって、当該事業を実施する区域内への立入りについて、当該区域内に立ち入る者から収受する料金(次条第二項第一号及び第四条第二項第一号ハにおいて「入域料」という。)をその経費に充てるものをいう。
2この法律において「自然環境トラスト活動」とは、自然環境の保全及び持続可能な利用の推進を図ることを目的とする一般社団法人若しくは一般財団法人若しくは特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人若しくはこれらに準ずる者として環境省令・文部科学省令で定めるもの(以下「一般社団法人等」という。)又は都道府県若しくは市町村が行う次に掲げる活動をいう。
一自然環境の保全及び持続可能な利用の推進を目的として前項に規定する地域内の土地(その土地の定着物を含む。次号において同じ。)を取得すること。
二前号に掲げるもののほか、前項に規定する地域内の土地に係る活動であって自然環境の保全及び持続可能な利用の推進を目的とするものとして環境省令・文部科学省令で定めるもの
3この法律において「自然環境トラスト活動促進事業」とは、都道府県又は市町村が、当該都道府県又は市町村の区域における自然環境を地域住民の資産として保全し、及びその持続可能な利用を推進するため、自然環境トラスト活動を促進する事業をいう。
4この法律において「地域自然資産区域」とは、地域自然環境保全等事業が実施される区域及び自然環境トラスト活動促進事業に係る自然環境トラスト活動が行われる区域をいう。
(基本方針)
第三条環境大臣及び文部科学大臣は、地域自然資産区域における自然環境の保全及び持続可能な利用の推進に関する基本方針(以下この条及び次条第一項において「基本方針」という。)を定めなければならない。
2基本方針には、次に掲げる事項を定めるものとする。
一入域料に関する事項その他の地域自然環境保全等事業に関する基本的事項
二自然環境トラスト活動に関する事項その他の自然環境トラスト活動促進事業に関する基本的事項
三前二号に掲げるもののほか、地域自然環境保全等事業及び自然環境トラスト活動促進事業の実施に関する重要事項
3環境大臣及び文部科学大臣は、基本方針を定めようとするときは、農林水産大臣、国土交通大臣その他関係行政機関の長に協議しなければならない。
4環境大臣及び文部科学大臣は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
5前二項の規定は、基本方針の変更について準用する。
(地域計画の作成等)
第四条都道府県又は市町村は、単独で又は共同して、基本方針に基づき、当該都道府県又は市町村の区域に係る地域自然資産区域における自然環境の保全及び持続可能な利用の推進に関する計画(以下「地域計画」という。)を作成することができる。
2地域計画には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める事項を記載するものとする。
一地域自然環境保全等事業を実施する場合次に掲げる事項
ホその他地域自然環境保全等事業の実施に関し必要な事項
二自然環境トラスト活動促進事業を実施する場合次に掲げる事項
イ自然環境トラスト活動促進事業に係る自然環境トラスト活動を行う区域
ホその他自然環境トラスト活動促進事業の実施に関し必要な事項
3都道府県又は市町村は、地域計画を作成しようとする場合において、前項第二号ロに掲げる事項に当該都道府県又は市町村以外の者が行う自然環境トラスト活動に係る事項を記載しようとするときは、当該事項について、あらかじめ、その者の同意を得なければならない。
4次に掲げる者は、都道府県又は市町村に対して、当該都道府県又は市町村の区域に係る地域計画の案の作成についての提案をすることができる。
一当該都道府県又は市町村の区域内の土地の所有者等(土地若しくは木竹の所有者又は土地若しくは木竹の使用及び収益を目的とする権利、漁業権若しくは入漁権(臨時設備の設置その他一時使用のため設定されたことが明らかなものを除く。)を有する者をいう。以下同じ。)
二当該都道府県又は市町村の区域内の土地について自然環境トラスト活動を行おうとする一般社団法人等
5前項の提案を受けた都道府県又は市町村は、当該提案を踏まえた地域計画の案を作成する必要がないと判断したときは、その旨及びその理由を、当該提案をした者に通知するよう努めなければならない。
6都道府県又は市町村は、地域計画を作成しようとする場合において、第二項第一号ロ又は第二号ロ若しくはハに掲げる事項に係る行為(以下この項及び次項において「地域自然環境保全等事業等に係る行為」という。)が次に掲げる行為のいずれかに該当するときは、当該事項について、環境省令で定めるところにより、あらかじめ、環境大臣に協議し、地域自然環境保全等事業等に係る行為が第一号、第二号、第四号又は第六号に掲げる行為のいずれかに該当する場合にあっては、その同意を得なければならない。
一国立公園の区域内において行う行為であって、自然公園法第二十条第三項、第二十一条第三項若しくは第二十二条第三項の許可又は同法第三十三条第一項の届出を要するもの
二自然環境保全法(昭和四十七年法律第八十五号)第二十五条第四項、第二十七条第三項若しくは第三十五条の四第三項の許可又は同法第二十八条第一項若しくは第三十五条の五第一項の届出を要する行為
三自然環境保全法第三十条及び第三十五条の七において読み替えて準用する同法第二十一条第一項後段(同法第二十五条第四項、第二十七条第三項又は第三十五条の四第三項に係る部分に限る。)の規定による協議を要する行為
四絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成四年法律第七十五号)第三十七条第四項の許可又は同法第三十九条第一項の届出を要する行為
五絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律第五十四条第二項(同法第三十七条第四項に係る部分に限る。)の規定による協議を要する行為
六鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(平成十四年法律第八十八号)第二十九条第七項に規定する国指定特別保護地区の区域内において行う行為であって、同項の許可を要するもの
7市町村は、地域計画を作成しようとする場合において、地域自然環境保全等事業等に係る行為が次の各号に掲げる行為のいずれかに該当するときは、当該事項について、環境省令で定めるところにより、あらかじめ、それぞれ当該各号に定める都道府県知事に協議し、その同意を得なければならない。ただし、当該都道府県と共同して地域計画を作成しようとする場合は、この限りでない。
一国定公園の区域内において行う行為であって、自然公園法第二十条第三項、第二十一条第三項若しくは第二十二条第三項の許可又は同法第三十三条第一項の届出を要するもの当該国定公園に係る都道府県知事
二鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律第二十九条第七項に規定する都道府県指定特別保護地区の区域内において行う行為であって、同項の許可を要するもの当該都道府県指定特別保護地区に係る都道府県知事
8都道府県又は市町村は、地域計画を作成しようとする場合において、第二項第二号イに掲げる区域に土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第三条各号に掲げるもの又は林道、木材集積場その他森林施業に必要な設備であって、環境省令・文部科学省令で定めるもの(以下この項において「公共施設等」という。)の用に供され、又は供されることが予定されている土地が含まれるときは、あらかじめ、当該公共施設等を管理する者その他の環境省令・文部科学省令で定める者に協議しなければならない。
9都道府県又は市町村は、地域計画を作成しようとするときは、当該地域計画に記載しようとする事項について、次条第一項の協議会が組織されている場合には協議会における協議を、同項の協議会が組織されていない場合には土地の所有者等その他の環境省令・文部科学省令で定める者(前項の環境省令・文部科学省令で定める者を除く。)に協議をしなければならない。
10都道府県又は市町村は、地域計画を作成したときは、遅滞なく、これを公表するよう努めなければならない。
11第三項から前項までの規定は、地域計画の変更について準用する。
(協議会)
第五条地域計画を作成しようとする都道府県又は市町村は、地域計画の作成に関する協議及び地域計画の実施に係る連絡調整を行うための協議会(以下この条において「協議会」という。)を組織することができる。
2協議会は、次に掲げる者をもって構成する。
二地域計画に記載しようとする自然環境トラスト活動を行うと見込まれる一般社団法人等
三前二号に掲げる者のほか、土地の所有者等、関係住民、関係事業者、学識経験者、関係行政機関その他の都道府県又は市町村が必要と認める者
3協議会は、必要があると認めるときは、その構成員以外の関係行政機関に対して、資料の提供、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができる。
4第一項の協議を行うための会議において協議が調った事項については、協議会の構成員は、その協議の結果を尊重しなければならない。
5前三項に定めるもののほか、協議会の運営に関し必要な事項は、協議会が定める。