第二条この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一責任条約千九百九十二年の油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約をいう。
二国際基金条約千九百九十二年の油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約をいう。
三追加基金議定書千九百九十二年の油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約の二千三年の議定書をいう。
四燃料油条約二千一年の燃料油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約をいう。
五難破物除去条約二千七年の難破物の除去に関するナイロビ国際条約をいう。
六原油等原油、重油、潤滑油その他の蒸発しにくい油で政令で定めるものをいう。
七燃料油等燃料油、潤滑油その他の船舶の航行のために用いられる油で政令で定めるものをいう。
八難破物海難により生じた次のいずれかに該当するものをいう。
ロ海上において船舶から失われた物で、沈没し、乗り揚げ、又は漂流しているもの
ハ沈没又は乗揚げのおそれがある船舶(必要な救助が行われていないものに限る。)
九タンカーばら積みの原油等の海上輸送のための船舟類をいう。
十一般船舶旅客又はばら積みの原油等以外の貨物その他の物品の海上輸送のための船舟類(ろかい又は主としてろかいをもつて運転するものを除く。)をいう。
十一タンカー所有者タンカーの船舶所有者(船舶法(明治三十二年法律第四十六号)第五条第一項の規定又は外国の法令の規定により船舶の所有者として登録を受けている者(当該登録を受けている者がないときは、船舶を所有する者)をいう。ただし、外国が所有する船舶について当該国において当該船舶の運航者として登録を受けている会社その他の団体があるときは、当該登録を受けている会社その他の団体をいう。以下同じ。)をいう。
十三船舶油濁等損害タンカー油濁損害、一般船舶等油濁損害及び難破物除去損害をいう。
十四タンカー油濁損害次に掲げる損害又は費用をいう。
イタンカー(ばら積みの原油等以外の貨物の海上輸送をすることができるタンカーにあつては、ばら積みの原油等の輸送の用に供しているもの並びにばら積みの原油等の輸送の用に供した後当該タンカーの全ての貨物艙内に当該原油等が残留しない程度にその貨物艙を洗浄するまでの間において、ばら積みの原油等以外の貨物の輸送の用に供しているもの及び貨物を積載しないで航行しているものに限る。)から流出し、又は排出された原油等による汚染(貨物又は燃料として積載されていた原油等(当該原油等が貨物艙内その他の国土交通省令で定めるタンカー内の場所に残留したもの及び当該原油等を含む混合物で国土交通省令で定めるものを含む。)による汚染に限る。)により生ずる責任条約の締約国の領域(領海を含む。以下同じ。)内又は排他的経済水域(排他的経済水域及び大陸棚に関する法律(平成八年法律第七十四号)第一条第一項に規定する排他的経済水域をいう。以下同じ。)内若しくは責任条約の締約国である外国の責任条約第二条(a)(ii)に規定する水域内における損害
ロイに掲げる損害の原因となる事実が生じた後にその損害を防止し、又は軽減するために執られる相当の措置に要する費用及びその措置により生ずる損害
十五タンカー所有者の損害防止措置費用等タンカー所有者が自発的に前号ロに規定する措置を執る場合におけるその措置に要する費用及びその措置によつて当該タンカー所有者に生ずる損害をいう。
十六一般船舶等油濁損害次に掲げる損害又は費用をいい、タンカー油濁損害に該当するものを除く。
イタンカー又は一般船舶から流出し、又は排出された燃料油等による汚染により生ずる我が国の領域内又は排他的経済水域内における損害
ロタンカー又は一般船舶から流出し、又は排出された燃料油等による汚染により生ずる燃料油条約の締約国である外国の領域内又は燃料油条約第二条(a)(ii)に規定する水域内における損害
ハイ又はロに掲げる損害の原因となる事実が生じた後にその損害を防止し、又は軽減するために執られる相当の措置に要する費用及びその措置により生ずる損害
十七難破物除去損害我が国の領域内若しくは排他的経済水域内又は難破物除去条約の締約国である外国であつて難破物除去条約第三条第二項の規定により通告を行つたものの領域内若しくは難破物除去条約の締約国である外国の難破物除去条約第一条第一項に規定する水域内における次に掲げる措置に要する費用の負担により生ずる損害をいい、タンカー油濁損害又は一般船舶等油濁損害に該当するものを除く。
ロ港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)その他法令の規定又は難破物除去条約第六条の規定による決定により難破物の除去その他の措置が必要となつた場合における当該難破物の標示
十八一単位国際通貨基金協定第三条第一項に規定する特別引出権による一特別引出権に相当する金額をいう。
十九保険者等次に掲げる者をいう。
イこの法律で定めるタンカー油濁損害賠償保障契約においてタンカー所有者の損害を塡補し、又は賠償の義務の履行を担保する者
ロこの法律で定める一般船舶等油濁損害賠償保障契約においてタンカー又は一般船舶の船舶所有者等の損害を塡補し、又は賠償の義務の履行を担保する者
ハこの法律で定める難破物除去損害賠償保障契約においてタンカー又は一般船舶の船舶所有者等の損害を塡補し、又は賠償の義務の履行を担保する者
二十国際基金国際基金条約第二条第一項に規定する千九百九十二年の油による汚染損害の補償のための国際基金をいう。
二十一追加基金追加基金議定書第二条第一項に規定する二千三年の油による汚染損害の補償のための追加的な国際基金をいう。
二十二制限債権タンカー所有者又はこの法律で定めるタンカー油濁損害賠償保障契約、一般船舶等油濁損害賠償保障契約若しくは難破物除去損害賠償保障契約に係る保険者等が、この法律で定めるところによりその責任を制限することができる債権をいう。
二十三受益債務者当該責任制限手続における制限債権に係る債務者で、責任制限手続開始の申立てをした者以外のものをいう。