本件の本訴は、原告が、被告に対し、原告が所有する本件土地1及び本件土地2(本件各土地)上に被告が所有する本件建物の外壁及び構造物(庇及び立体看板)が存在して本件各土地の所有権を妨害していると主張して、本件各土地の所有権に基づく妨害排除請求として上記外壁及び構造物の撤去を求める事案である。
他方、本件の反訴は、被告が、原告に対し、本件建物を所有することにより、その外壁の直下にある本件土地2を占有し、その所有権を短期取得時効により取得したが、原告が本件土地2につき所有権移転登記を経由していると主張して、本件土地2の所有権に基づく妨害排除請求として本件土地2につき所有権移転登記手続を求める事案である。
被告は、本件土地1を占有していたと認められないから、短期取得時効により本件土地1の所有権を取得していない。他方、被告は、10年間本件土地2を占有し、占有開始時にこれを所有すると信じたことについて過失がなかったと認められるから、短期取得時効により本件土地2の所有権を取得した。
また、原告が被告に対して本件土地1の所有権に基づき上記構造物の撤去を請求することは権利の濫用に当たらない。
よって、原告の本訴請求は、本件土地1の所有権に基づく妨害排除請求として上記構造物の撤去を求める限度で理由があり、被告の反訴請求は全部理由がある。
|